甦る妖術使い(プレイ日記)


【第18回】 ドワーフの発明品

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 11/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った、スーマ11、タマルは108歳で死んだ
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、4口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、麻痺の杖、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符、銅の腕輪、古い巻物(66)

〔92〜〕
 草木も眠る丑三つ時(という表現がアランシアにあるかどうか分からないが)、忍び寄る影があった。その影は野宿している2つの姿に近づこうとしていた。この影の正体はエルヴィン。珍品の蒐集を趣味としている。もともとエルヴィンという種族はいたずら好きで悪名高いが、時には度が過ぎたいたずらをすることがある。先日も、このエルヴィンは木の上からドングリの雨を旅人に降らせるという悪戯をした。エルヴィンは知る由もないが、ドングリの実が旅人の目に当たり、結果的にその旅人は片目を失うことになった。それがトラウマとなり、その旅人は喬木を見るだけでも足が竦み一歩も動けないほどになってしまったという。無論、エルヴィンはそんなことになったとは知らない。
 そんなエルヴィンの目を惹いたものは、野宿している人間の首にかかっていた銅の護符だった。その護符は角の生えた魔人を象ったものであり、エルヴィンはたいそう気に入った。しめしめ、寝ている隙に盗んでしまおう。そして、ついでにあと2つの品物もいただいてしまおう。エルヴィンは事もあろうに背負い袋にも手を出した……。

 陽気なドワーフの村の近くで眠ったということもあったためか、目覚めは良かった。しかし、なぜか違和感がある。そう言えば、ケンタウルスと出遭ってからある見張られている感じ(第11回参照)がなくなっている。だが、それは本質的な違和感ではなさそうだ。その答えはシャムが出してくれた。
「なあ<批判屋>、お前さんの首に提げてあった銅細工はどうした?」
「銅細工?」
「ほら、恐ろしげな魔物の形をした銅細工さ。」
「ああ、それならここに……ない!」
 私の首にさがっているはずの角の生えた魔人を象った銅の護符がない。他になくなったものがないか背負い袋を確かめる。…銀縁のヒビ割れた鏡銅の腕輪がなくなっている! 3つともまだ効果がわかっていないのに…。失ったのはこの3つの品物だった。盗んだのが何者かを突き止める手段はなかったが、思い当たる節があるのか、シャムが口を開いた。
「これはきっとエルヴィンの仕業に違いない。」
 エルヴィン? だとすると、盗まれた3つの品物は半永久的に戻ってはこないだろう。怒っても虚しいだけだ。気を取り直してドワーフの村に入ろう。それにしても、盗まれた品物は銀と銅であることからすると、エルヴィンは金が嫌いなのだろうか? まあいい。エルヴィンには天罰が下ると信じたい。
 さて、澄んだ小川に架かった橋を渡り、ストーンブリッジに入る。道を歩いている2人のドワーフに、ボ−リーの居場所を聞いてみる。
「あの…すみません。ボーリーという人をご存知でしょうか。」
「ああ、ボーリーなら村の反対側の馬小屋にいるよ。」
「ありがとうございます。」
 私たちは疲れ切った馬から降り、数人のドワーフに挨拶をしながら歩いて村を通り過ぎる。そして馬小屋に着きその門をたたくと、丸顔の赤い頬と長い顎髭のドワーフがニコニコと笑いながら出迎えてくれる。
「おお、あんたがたが<批判屋>さんとシャムさんだろ? ヤズトロモから話を聞いているよ。私がボーリーだ。遠路はるばるご苦労さん。お腹がすいているだろう。まずは朝ごはんを食べて休んだらどうだい? 馬の方は私が面倒を見ておくから。さあ、入った入った。」
 初対面の私たちに対してこの親切さ。さすがは礼儀を重んじるドワーフだ。私たちは言われるがままに小屋に入った。用意された朝食はおいしく、お腹がいっぱいになるまで食べた。しかし、それでもまだ食事は残っている。体力点2点増やす(ですが、(略))
「残りは、村の連中が食べるからそのままにしておいてくれ。食べて一休みしたら、裏手の方に来てくれないか? 面白いものを見せてやろう。ヤズトロモから、あんたがたの冒険の話は聞いているよ。私の発明を試すには絶好のチャンスだ! もうしばらく準備に時間がかかるから、ちょっと待っていてくれよ。」
 ボーリーは興奮したような調子でそう言って外へ出ていく。私たちは10分ほど食休みをし、その後外へ様子をうかがいに行く。
 外の庭で、私は一生のうちで最も奇妙な光景を目にする。ヤズトロモの塔並みに大きい気球が、ボーリーが火から作り出す熱い空気によって満たされている。そしてドワーフの一団が、気球が空に飛んで行ってしまわないようにロープにしがみついている。ボーリーは私たちの姿を見るや、木の爆(は)ぜる音より大きな興奮した声で叫ぶ。
「これがわしの発明さ。熱気球って呼ぶんだ。空を飛んでこれに吊るした籠に入った人間を遠くまで運んでくれる。空に舞い上がって風に乗り、山を越えられるんだ。さて、わしらはガーガンティスを見つけなければならないんだろう。だからお前さんたちが乗ったらすぐに空に出発するぞ。わしらがどこに向かうのか案があったらわしに言っておいてくれ。」
 案? そう言えば、鎖帷子を着た骸骨が持っていた巻物(第6回参照)にガーガンティスのことが書かれていたな。巻物を広げて読み返してみる。
 〜〜ガーガンティスの一匹が西の平地にある“吠える通路”に棲んでいる〜〜
 それだ! よし、次なる目的地は西の平地だ。そうこうしているうちに、ボーリーが私たちに向かって叫ぶ。
「<批判屋>! シャム! 準備はいいかね!? 籠に乗りたまえ。 バランスが取れるように、なるべく端の方に座っていてくれ! わしもすぐ乗り込むとしよう。」
 私たちはこの驚くべき気球に呆気にとられながら、籠の中に乗り込む。最後にボーリーが乗り込み、他のドワーフたちに言う。
「今からわしは、こちらの友人たちとともに、ガーガンティスを見つける旅に出かける。わしの合図で一斉に縄を放してくれ。それと、わしらが出発したら、そのことをヤズトロモに伝えてくれ。」
「よし、わかった。ボーリー、お前さんがたの旅の無事を祈っているよ。」
「ありがとう。では、いくぞ……3、2、1、放せ!」
 ドワーフ達が一斉に手を放す。気球は滑らかにかつ迅速に上昇する。ドワーフたちがこちらに手を振っているのが見える。そして、それもだんだん小さくなっていった。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 11/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った、スーマ11、タマルは108歳で死んだ
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、4口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、麻痺の杖、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符銅の腕輪、古い巻物(66)
 (Save Number:353→135)

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2018/06/13


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