ソーサリー


 ゲームブック界の巨擘の一人であるスティーブ・ジャクソン(英)の代表作と言えば何と言っても『ソーサリーシリーズ』でしょう。全4巻の総項目数2265という超大作のゲームブックは、不朽の名作とも呼ばれています。日本では1985年にソーサリー第1巻『魔法使いの丘』という訳書名で東京創元社から出版されました。以下、第2巻『城砦都市カーレ』、第3巻『七匹の大蛇』そして完結篇の第4巻『王たちの冠』と、全4巻刊行されました。
 現在では、創土社から復刻版として刊行されており、翻訳権や版権、著作権などの関係から訳書名も変えて出版されています。訳書名も、それぞれ『シャムタンティの丘を越えて』『魔の罠の都』『七匹の大蛇』『諸王の冠』となっており、訳文や雰囲気もガラリと変わっています。
 以下、ソーサリー全般のおおまかな物語とシステムを述べてみることにします。

<あらすじ>
 主人公の故郷アナランドにある、魔法の力を持つという《王たちの冠》がマンパンの大魔王の手先であるバードマンに盗まれてしまった!アナランドを出発し、無法地帯カクハバードを通り抜け、マンパン砦へ赴き《王たちの冠》を取り戻すための旅に出発する。


 このソーサリーシリーズは、初級ルール(戦士)と上級ルール(魔術師)があります。
 初級ルールの場合は魔法のことは一切考える必要はありません。技術点(技量ポイント)も魔術師よりも2点高めですから戦闘では魔術師よりも有利に運ぶことでしょう。上級ルールの場合は魔法の呪文を出発前にいくつか覚える必要がありますし、技術点も戦士より低くなります。
 以上のことを考えれば初級ルールの方が良いように見えます…が、しかし!巻を進んでいくに連れて、実は上級ルールの方が難易度的には簡単だったりします。(これについては順を追って述べます。既にクリアされた方は、私がこう述べた理由がおわかりと思いますが)。
 それに、48種類の魔法を場面場面で取捨選択して唱えることこそが、このソーサリーシリーズの最大の魅力だと思っています。使い勝手の良い呪文、あまり良くない呪文、あるいは覚えない方が良い呪文などを、クリアして振り返ってみるのもまた一興でしょう。私は今でさえ48種類の呪文を全て(呪文名、効果、必要アイテム、消費体力点)覚えていますが、それだけこのソーサリーシリーズを読み込んだという証拠なのでしょう。実際、私の持っている東京創元社(赤いユニコーンの背表紙です)のソーサリーシリーズはどれももうボロボロです。カバーは擦り切れておりところどころテープで貼り合わせ、本の小口(背表紙の反対側の部分、主にページをめくるときに持つところ)の中央は手垢で薄黒くなり、殊に『王たちの冠』の裏表紙は手の脂で文字がかすれている程です。やはり、当時はソーサリーシリーズをそれだけ読み返していたんだなあと思います。
 あと、主人公は正義の女神リーブラ(復刻版ではリブラ)の信者です。神に対して非常に信心深いところが、流石は英国の作品だなあとも思います。東京創元社版の『はじめに』で「そのうえ神様がついていてくれれば」とあるあたりにもそれが出ています。
 しかし、これだけの長丁場でありながら出発時の食糧がたったの2食分というのはちょっと辛い部分があるとは思います。しかも、従来のファンティングファンタジーシリーズでは体力点+4なのに、ソーサリーはその日初めての食事で2点二食目以降は1点というのも結構厳しいところです。なぜ4点ではないのでしょう。もしかすると、その分を補って出発時から金貨20枚を持っているのかもしれませんね。
 その他のルールに関しては、他のファイティングファンタジーシリーズと大体同じです。

 それでは、各巻の分析と私の感想を以下述べたいと思います。


魔法使いの丘
城砦都市カーレ
七匹の大蛇
王たちの冠

2005/05/13


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