七匹の大蛇


 この作品は、全4巻中で唯一原版(東京創元社)と復刻版(創土社)で訳書名が同じ巻です(笑)。
 首尾よくカーレの北門をくぐり抜けてバクランドに突入しました。
 バクランドを歩き始めてすぐに4羽のヨタカに襲撃されます。悪戦苦闘している途中、力強い助っ人が現れます。アナランドの闘鳥イヌワシです。イヌワシが主人公の近くに舞い降りてきます。そのイヌワシに括り付けられていた手紙を読んで愕然とします。なんと、自分の任務がマンパンのスパイである七匹の大蛇に知られてしまったと書いてあったのです!このままではマンパンに着く前に待ち伏せされてしまうのは確実です。手紙によると、大蛇は今頃バクランドにいるだろうのことです。主人公は、7匹の大蛇を探しながらバクランドを旅することになります。
 このバクランドに味方となる人物などほとんどいないと思われる中、シャドラックやステップのディンタインタ(シャム)、そしてフェネストラといった人物も出て来ます。そしてどうにかイルクララ湖を渡り終えます。渡った先には沼ゴブリンがいて、そしてその後すぐに7匹の大蛇の中でも最も恐ろしい「時の蛇」に遭遇します。この「時の蛇」、普通の魔法や剣では「絶対」勝てません(通常ならば時の蛇の技術点は30と心得た方が良いでしょう)。時間を自由に操れる「時の蛇」に立ち向かうには、ある呪文を唱える必要があります。一旦唱えれば「時の蛇」はただののろまな蛇でしかなくなり、7匹の大蛇中一番のザコになります(唱えなければ一番のボス格です!)。この呪文を知るには、沼ゴブリンと話をする必要があります。…そう、『城砦都市カーレ』で出てきた絶対に必要なアイテムはここで使うわけです。あとは、ローマ数字の知識が多少必要になります。時計の文字盤と、L=50、C=100、D=500、M=1000くらいは覚えておいた方が良いでしょう。
 「時の蛇」を倒した後は、7匹の大蛇をどのくらい退治したかで賞罰が出ます。まあ、少なくとも「時の蛇」は倒しているわけですから、倒した数がゼロということはないでしょう。このあたりも作者の「抜け」があります。後から発見されたバグみたいなものですね(捕まった大蛇もいることですし…)。
 第2巻から継続してプレイしている人にはボーナスがあります。七匹の大蛇から、マンパン砦に関する情報を聞き出すことができるのです。尤も、情報を聞き出せても大蛇が攻撃をやめることはないのですが(笑)。
 魔法は、前半の2巻でだいたい出てきました。ですから、この巻ではニセの魔法はほとんど(通算で2回しか)出てきません。また、道中で女魔法使いフェネストラと物々交換をすることにより、全ての魔法の道具の入手が可能となります。ですから、イルクララ湖を渡った後アイテムの欠如というのはほとんどなくなります。ここからがソーサリーの魔法の腕の本格的な見せ所です。いかに適材適所、魔法をきちんと使えるかということになります。
 ところで、私の友達はフェネストラとの物々交換において金貨を魔法の道具として差し出していました。これってありですか?でも、確かにWOKの魔法で使う道具ですから…まあOKということにしましょう。彼は頭が柔らかいということで(実は、彼に聞いた後私もこの方法を実行しました)。
 あと、第3巻で注意すべきことは…「女には気をつけろ」ということですね(笑)。

 …復刻版で一つだけ苦言を呈しておきます。
 バクランド(バク地方)に棲息する7人の精霊さんたちは、「魔法の文句」とやらの中に『女神リーブラ』という言葉を混ぜておきます。原版では「ラブーリミガメ」と、きちんと日本人向けに訳しています。しかし、復刻版は「アルビル・マダルビル」というカタカナ英語表記で、一見罠とはわからない翻訳になっています。復刻版第4巻の巻末で種明かしをしていますが、これは単なる言い訳にしか聞こえません。この部分だけは、原書通り“Arbil Madarbil”として欲しかったと思います。これでは「赤坂」を逆さまにしてもなぜ「赤坂」のままなのかが永遠の謎になってしまうことでしょう…(笑)。
 それにしても、第2巻でスラン教に改宗した人ならこの「魔法の文句」を唱えても大丈夫な気がするのですが…気のせいでしょうか。

2005/05/16


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