モンスター誕生(プレイ日記)
【第17回】 ロシーナの占い
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
技術点 … 11/11
体力点 … 19/19
運点 …… 10/10
メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら
93
を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった
所持品 …
革切れ
、
ペンダント
、水晶の棍棒(
333
)、29番兵への手紙、
銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに
50
を加えた番号へ)
、金貨2枚
〔107〜〕
おれは、
グロッグとともに
コーブンから西へと歩いて行った。道の傍らにほとんど廃墟と化した建物がある。グロッグが立ち止まり、言った。
「しばらく待っていてくれ。コーブンに行く前、ここにちょっとした物を埋めておいたんだ。何、大した物じゃないよ。記念品みたいなものさ。すぐ戻ってくるから。」
記念品ということは、グロッグにとっては大した物なのだろう。そんなことを考えているうちに、グロッグは背負い袋を持って戻ってきた。
「待たせたな。さあ行こう。」
袋には何か大きなものが入っている。何かの箱だろうか。おれは興味津々だったが、グロッグは何も言わなかった。
再び歩き始めると、グロッグは陽気に話しかけてきた。
「それにしても、おまえは変わった奴だな。見ず知らずのおれを村人から助けてくれたのもそうだが、何も言わない、どこへも行くあてがないとみた。いったいどこから来たんだ? ただ放浪しているわけでもなさそうだし。何か探しているのかい?」
おれは熱心に首を縦に振った。
「ふーん。おれの言うことは分かるんだ。でも、おまえはしゃべれないんだな。」
おれはもう一度首を縦に振った。
「そうか。益々変わった奴に思えてきた。じゃあ、当てっこしようぜ。おれがお前のすることを当てるから、当たっていたら首を縦に、はずれだったら首を横に振ってくれ。まず、おまえが探しているのは、物であって人ではない。」
そう、おれはスカル藻というものを探している。首を縦に振った。
「なるほど、物か。じゃあ、それがどこにあるか、だいたいの見当はついている。」
どこにあるかどころか、スカル藻というものすら知らないんだよな。おれは首を横に振った。
「そうか。おまえが探しているのは物だが、その探している物がどこにあるかは知らないのか……。」
おれはグロッグの質問に答えながら、先に進んで行った。グロッグにしても、話し相手ができたことは嬉しかったのだろう。たとえ、それがおれのようなモンスターで、しかも話すことができなかったとしても。
やがて、道は北寄りに曲がり、十字路になった。東か北か西のどれに進もうかとしたとき、グロッグの顔が輝いた。
「そうだ! ロシーナだ! あいつなら助けてくれるぜ! 西に行こう!」
グロッグの言葉に逆らう気はない。むしろ、この辺りはグロッグの方がおれより詳しいはずだ。グロッグが先導して
西に進み
、おれはグロッグの後に続いた。道は平らな荒野で唯一目につく丘へと続いていた。丘には小さな雑木林がある。そこを抜けると斜面にいくつもの穴が開いており、小さな洞窟になっていた。その斜面の前に小さな小屋が建っている。
「あれがロシーナの家だ。」
グロッグ
が小屋を指差して言った。
「きっと力になってくれるよ。もちろん金さえあればね。」
グロッグはそう言って、ポケットから金貨2枚を取り出した。
「ほら。おれは外で待っているからさ、早く行ってきなよ。」
そう言って、グロッグはおれに
金貨2枚
をくれた。ありがとう、グロッグ。おれは、グロッグに感謝の唸り声(?)をあげて
小屋に入った
。
小屋の中には色鮮やかで手の込んだ織物がそこかしこに掛けられていた。そのため、かなり薄暗くて神秘的な雰囲気が漂っている。部屋の片隅のテーブルには真鍮の香炉が置いてあり、その中の線香からかなり強い香りが漂っていた。香炉のそばに、カードが一組と水晶玉があった。テーブルの後ろにぶら下げられていた織物が揺れ動き、その背後から声が聞こえてきた。
「ロシーナ・ドリーの力を借りたいのは誰じゃ? 自分の運命を知りたいのは、どこの者じゃ?」
おれは、カーテンの後ろから声の主が出てくるのを待ち構えた。そして、声の主が現れた。ロシーナ・ドリーは、太っていて腰の曲がった老婆で、明るい色のローブを身に纏っている。彼女はテーブルに着くと目を狭めておれをじっと見た。
「これはこれは、遠路はるばるおいでくださったようじゃな。では、早速そなたの運命を占って進(しん)ぜよう。お代は金貨2枚じゃ。お持ちじゃろうな?」
おれは、グロッグからもらった
金貨2枚
を
そのまま
ロシーナに手渡した
。
「ありがとう……おお、そうか。そなたはグロッグの知り合いか。あの半オークも孤独な奴じゃから、そなたが仲間になって喜んでおるじゃろう。」
どうしてそれを……。やはり、ロシーナは只者ではなかった。ロシーナはおれの思考に構わず、金貨を服の奥深くにしまい込むと、にっこり微笑んだ。
「さて、そなたの運命がどうなっておるのか見てみよう。私がこの運命のカードを切るから、お好きなところで止めてくだされ。」
ロシーナは、おれの目をじっとのぞきながらカードをゆっくり切り始めた。おれが唸り声をあげると、ロシーナは手を止め、一番上のカードを表に向けた。黒地に疑問符が繊細に描いてある。
「《大いなる謎》。あらゆる出来事は見た目とは異なっておる。そなたの過去、現在、そして未来にはいくつもの謎が秘められており、そなた自身もそれを知らない。」
ロシーナは次のカードをめくった。黒地に小さな黄色い太陽のマークだった。
「ふーむ。《闇に差す一条の光》か。悪くないな。そなたの任務は達成されるじゃろう。じゃが、運命はいたずらで残酷じゃ。安易な道のりではないぞ。」
次のカードは棺に入った若い妊婦で、その次のカードはマントと机だった。
「《母の死》と《魔術》! おぬしの誕生には魔法が関与しておる。それから……」
彼女は今や占いに熱中していた。雲に乗った男がどこか遠くを指差しているカード、次いで、二つの頭を持つ男がそれぞれ別の方向をみているカードがめくられた。
「《誓い》! 《達成しなければならぬ任務》! 何かのためにそなたは送り出されたのじゃな。ああ、まだよくわからぬ。もう少し待っておくれ。」
ロシーナはカードを脇にどけ、水晶玉に神経を集中した。水晶玉は
嫌な記憶
がよみがえるから苦手なんだよなあ……。そんなおれの心配をよそに、水晶玉の中で雲が渦巻き、ロシーナの顔が明るく照らされた。
「ドリーの三姉妹! おまえたちじゃったのか! しかし、こやつはスカル藻のことなど何も知らん。危険のことも……。」
どうやら、ロシーナはドリーの三姉妹と水晶玉を通して何やら話をしているようだった。
「なるほど……。じゃが、私が手助けをしても構うまい。その方がよほど手っ取り早いじゃろう。この者がグロッグに出会ったのも、私のもとに来たのも、全ては天命じゃ。そうじゃろう?」
やがて、水晶玉が光を失った。ロシーナはおれに向き直った。
「待たせてすまなかったのう。」
グロッグといい、ロシーナといい、おれを待たせるのがそんなに悪いことなのだろうか。まあいい。ロシーナは続けて言った。
「そなたの任務は十分に説明されてはおらぬ。青い茎のスカル藻は、ディードル川の南にあるカエル沼にしか生えん。如何にそなたがグロッグと一緒でも、スカル藻を取ってくるのは大変なことじゃ。しかも、何の準備もなく行ったのでは死ぬだけじゃ。あそこにぶら下がっている
ロープ
を持って行くがよい。きっと役に立つじゃろう。おぬしに幸運がありますように!」
おれはロープを肩にぶら下げて、ロシーナに別れを告げた。
運点
に
2
を加える
(が、……)
。
グロッグは、小屋の外にある石に腰かけていた。
「どうだ? 何か分かったか?」
おれは、首を縦に振った。
「おっ、ロープを持っているところを見ると、ロシーナはおまえの助けになったようだな。そのロープは盗めないんだ。以前、ロシーナの家に強盗が押し入ったとき、ロープがひとりでに動き出し、全員ロープに打たれて命からがら逃げだしたそうだ。」
やはり、グロッグとロシーナは知り合いのようだ。
「さて、ロシーナの家からはもと来た道しかない。このまま西へ行っても逆風平原が続いているだけだし、洞窟には何もなかった。さっきの十字路に戻ろうぜ。」
グロッグの提案を受け入れ、おれ達は十字路まで戻り、今度は北に進むことにした。
太陽はほとんど西に沈み、夜の闇があたりをおおい始めている。しかし、ほぼ満ちている月のおかげで歩くのに支障はない。おれ達は黙々と北に進み、やがて巨大な岩が見えてきた。この岩の陰ならば安心して寝られるだろう。おれ達は一晩ぐっすりと眠り、
体力点
に
4
を加えることができた
(が、……)
。
翌朝、おれ達は更に北へ進んで行った。
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
※ 変化があったものは
赤い太字
技術点 … 11/11
体力点 … 19/19
運点 …… 10/10
メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら
93
を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった、
青い茎のスカル藻はディードル川の南のカエル沼にしか生えない
所持品 …
革切れ
、
ペンダント
、水晶の棍棒(
333
)、29番兵への手紙、
銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに
50
を加えた番号へ)
、
金貨2枚
、
ロープ
(Save Number:130)
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2022/11/12
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