モンスター誕生(プレイ日記)


【第16回】 グロッグとの出会い

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 11/11
 体力点 … 19/19
 運点 …… 10/10
 メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった
 所持品 … 革切れペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚

〔95〜〕
 石柱の間を抜けて南に少し歩くと、「コーブンの村」と書かれた標識が立っていた。家はこじんまりとしており、村の中心を通る道もでこぼこで埃だらけだった。ちょうど朝の畑仕事の時間らしく、たくさんの人影が見える。だが、おれが道を歩いていると、村人達はさっと自分の家に隠れてしまった。中から様子を窺っているようで、誰一人として通りに出てこようとはしない。通りは南から西に続いていた、あたりを見回すと《食料品》や《薬屋》と書かれている看板のかかった小屋が目に入った。だが、おれが入ったところで、怖がらせるだけだろう。おれはどの小屋にも入らず、西に向かってまっすぐ進んで行った
 道を行く村人は、おれの姿を見るなり逃げていく。だが、もうそんなことには慣れた。やがて、一軒の小屋の中から興奮した叫び声や罵り声が聞こえてきた。そちらに近づいていくと、声はますます大きくなる。バシッという音が聞こえた途端、小屋の扉が壊れて中から黒い人影が飛び出してきた。いや、人ではない。色の黒い半オークだ。半オークがよろよろと立ち上がる間に、小屋の中から上半身裸のたくましい男が出てきた。その後ろから、数人の村人が野次を飛ばしている。



 だが、おれの姿を見た途端、その場にいた全員が静まり返った。
 おれの心の中で、倒れている半オークに味方をしたいという感情が湧きおこった。これが“ドウジョウ”とか“ホウガンビイキ”というヤツなのだろうか。半オークが何をしたかは分からない。だが、おれは地面に倒れている半オークを取り囲んで嘲笑っている“ニンゲン”という奴等が気に入らなかった。見たところ、村人は四人いる。おれが半オークに味方をしたところで、卑怯とかではないだろう。
 おれは、半オークの前に立ちはだかり、村人と向き合った。観衆の間から喘ぎ声が漏れた。男は何も武器を持っていなかったが、素手での喧嘩には自信がありそうだった。他の村人達の顔から笑いの表情が消え、遠巻きに取り巻いてこの戦いを見守っている。半オークは何とか立ち上がろうとしつつも、おれが助けようとしているのが分かったようだ。
 〔村人〕    技術点  7  体力点  8
 〔モンスター〕 技術点 11  体力点 19

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔村人〕7+=10 < 19=11+〔モンスター〕○ ⇒ 〔村人〕体力点−2=6
[2R] 即死〔村人〕7+11=18 ≪ 19=11+4ゾロ〔モンスター〕 ⇒ 〔村人〕体力点=0

 おれの最初の一撃が、村人の腹に命中した。上半身裸の男の身体はくの字に曲がり、何かを吐き出した。これが地下迷宮にいる連中だったらある程度鎧で止まっただろうが上半身裸の男には耐えきれなかったようだ。そして、二発目は男の顎に命中し、勢い余って男の首を胴体からぶっ飛ばしてしまった。首は血しぶきとともに観衆の一人に飛んで行った。飛んできた首を受け止めた観衆は、最初はそれが何だか分からず、怪訝な顔をしていたが、それが村人の首であると分かると、悲鳴をあげて慌てて首を放り出した。村人の胴体は村の通りに頽(くずお)れた。コーブンの通りは地獄絵図と化していた。
「ログ!」
 村人達は、あまりの凄惨な光景に全身が凍りつき、微動だにしなかった。おれ自身、次に何をすればよいか分からなくなっていた。
「速く逃げるんだ! ぐずぐずしていると殺されるぞ! おれについて来い!」
 背後でがらがら声がする。さっきまで地面に倒れていた半オークだった。おれは半オークの声で我に返った。村人達は、ログと呼ばれた男の惨殺のショックからまだ立ち直っていないようだった。おれは、半オークの言葉に従い、慌ててその場から立ち去った。村人達が我に返ったころ、おれ達の姿はコーブンの村人達からは見えなかった。
 おれ達は、コーブンの村はずれの道をとぼとぼと歩いている。
「助けてもらったことには礼を言う。だが、他人の喧嘩に口を突っ込むなんて、おまえは愚かな奴だ。」
 半オークがこすからそうな目つきでおれを見ながら言った。
「おれがおまえの立場だったら、絶対にあんなことはしないな。そりゃあ、人間どもはおれを殺しただろうよ。だが、それがおまえにとって何だってんだ? そもそもおれが犬を盗んだのが原因だしな。おれは腹が減っていたから仕方がないぜ。まず殺してから食うんだったな。そうすりゃあ、犬が騒いで人間どもに見つかることもなかっただろうよ。なあ、腹が減ったら誰だって盗みくらいするよな?」
 おれは、唸り声をあげるしかなかった。
「おまえもそう思うだろ? どうした、しゃべれないのか? だが、おれの言葉は分かるようだな。おれの名は、グログナグ・クロートゥースってんだ。何、長い? みんなそう言うよ。だから、おれのことはグロッグと呼んでくれ。おまえはどこに行くつもりなんだ? 何か食い物を持っているかい? おれが一緒に行っても構わないか?」
 よくしゃべる半オークだ。だが、グロッグはおれの知らないことを知っているかもしれない。グロッグによると、おれはグロッグの“イノチノオンジン(オンモンスター)”というやつになるらしい。おれにとっても悪い話ではないだろう。グロッグと一緒の間は、一の位が7の項目番号に進んだときには52を引いた番号に進むらしい。これも管理人が勝手にやってくれるから、おれは安心してグロッグと一緒に旅ができる。

 ドリーの三姉妹達は、おれの行動を監視していた。
盲目「イーヒッヒッヒ。こやつ、半オークを味方につけおったぞ。」
歯無「この半オークも重要な奴じゃからのう。これも天命じゃな。」
蛇声「スー。わすらはきゃつが正すい道をしゅしゅむと信ずよう。」

 ドリーの三姉妹がこんな会話をしていることなど、もちろんおれは知らない。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 11/11
 体力点 … 19/19
 運点 …… 10/10
 メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった
 所持品 … 革切れペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚
 (Save Number:438→107)

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2022/11/11


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