暗黒教団の陰謀(プレイ日記)


【第21回】 ギルマン・ハウスにて

〔STATUS(現在の値/原点)〕
 生命力 … 27/27
 気力 … 16/17
 知性 … 15
 経験 … 10
 狂気 … 1
 所持金 … 0ドル
 手に入れたもの … 叔父の手帳、鉄製の鍵、奇妙な魚をかたどったペンダント×2、石笛
 メモ … 緊急脱出の呪文は『ネクロノミコン』の108ページに載っている
 RIP … @ナイフが背中に刺さって死亡(322)、A浜辺で射殺される(517)

〔148〜〕
 私はジョシュの話を思い返してみた。<悪魔の暗礁>に行った者が一時的に姿を消してしまい、戻ってきたときには行ったときと人数が違っている(減っている)というのだから。恐ろしい伝説がつきまとっていて近づく者もいないが、<悪魔の暗礁>には地下へ通じる穴のようなものでもあるのだろうか。 ……あります!
 いろいろ考えた末、私はギルマン・ハウスへ行くことにした。確か、博士は501号室を借りていると言っていた。博士に会えるか会えないかに関係なく、ギルマン・ハウスで待つのが賢明だろう。後のことはそこでゆっくりと考えればいい。それに<悪魔の暗礁>に行くと、帰りのスポーツカーで殺されてしまう。
 私はギルマン・ハウスへ向かった。ギルマン・ハウスは5階建ての木造ホテルでペンキも剥げ落ち、どうにもみすぼらしい。だが、シュリュズベリィ博士が借りているくらいだから、安全は保証されているのだろう。私はギルマン・ハウスの中に入る。中には受付の男が1人いるだけだった。この男も、今や見慣れたインスマス面だった。
「すみません。…あの、501号室に泊まっている人はいますか。」
「どういう用かね。」
 受付係は疑いの目でこちらを見て、低い声で言った。
 シュリュズベリィ博士はギルマン・ハウスの経営者が助手だと言っていたが、この受付係は信用できるのだろうか。ここで、ギャンブル…5+4=9で、と出ました。
「実は、私はシュリュズベリィ博士と会う約束になっているんです。」
 それを聞くと、受付係は目をぎらつかせ、カウンターから出てこちらににじりよった。この受付係は敵なのだろうか。私がシュリュズベリィ博士の名前を持ち出したことで、のっぴきならぬ羽目に陥ったのかもしれない。何しろ博士は<旧支配者>に仕える者たちの仇敵なのだから。受付係は手強そうだ。…ここは覚悟を決めて闘おう。もうインスマス面くらいでは驚かなくなったからな。よし、来るなら来い!
 私がつかみかかろうとすると、受付係は素早く後ろに飛びずさり、にっこり笑って頷いた。
「お疑いも尤もですね。」
 そう言って、カウンターのベルを鳴らした。さっきと態度がまるで違うぞ。
「<批判屋>さんですね。博士から連絡を受けていますよ。」
 わたしはほっとして、受付係につかみかかろうとしたことを詫びた。やがて、経営者が現れ、私を階段に導いた。
「あの受付係は信用していいのですよ。一度シュリュズベリィ博士に命を助けてもらったことがあって、今では博士の味方なんです。」
 インスマス面の人たち全てが悪い輩ではなかった。受付係は忠義に厚い人だった。
「なにぶん、古いホテルでエレベーターがなくてご不便をおかけします。まさかのときのために、博士は最上階の一番端の部屋を利用しているのです。」
 私と経営者は501号室の前に来た。
「博士が戻るまでゆっくり寛(くつろ)いでください。何か御用がありましたら、部屋の電話で呼んでいただけたらすぐにお部屋に参ります。そうそう、申し遅れました。私はアンドルー・フェランと申します。では、これで。」
 …アンドルー・ジョン・ワイルズなら知っているが。かの有名なフェルマーの最終定理を証明したことで知られる数学者だ。そんなことを考えているうちにフェランは立ち去っていた。
 私は501号室に入った。ホテルの外観とは異なり、部屋の中は清潔だった。部屋の椅子に腰をかける。
 腕時計を見ると4時過ぎだ。余裕ができたことで、ふと『ネクロノミコン』のことを思い出した。そう言えば緊急脱出には呪文が必要だったんだ。この部屋でシュリュズベリィ博士が戻ってくるのを待てば確実に呪文を教えてもらうことができる。だが、シュリュズベリィ博士が別れ際に言った言葉が気になる。――もしも私が8時までに戻らなかったら、直接ダゴン秘密教団の会館に行ってくれ。変装する道具は部屋に置いてある。例の衣装だよ。――「もしも私が8時までに戻らなかったら」ということは、シュリュズベリィ博士に会えない可能性もあるということだ。呪文はアーカムのミスカトニック大学附属図書館で見ることができるが、アーカム行きのバスではもう間に合わない。どうしようか……そうだ、経営者のアンドルー・フェランに車を借りればいいんだ。まだ4時過ぎだから、猛スピードで飛ばせば8時までには戻って来られるだろう。私は部屋の内線でフェランを呼び出した。
「もしもし。どうしました、<批判屋>さん。」
「あの…、すみませんが、車を貸してはもらえないでしょうか。」
「どうしてですか?」
 当然ながらフェランは理由を尋ねた。
「どうしても使いたいとおっしゃるのならお貸ししても構いませんが、あまり動き回らず、部屋で体を休めておかれた方がいいと思いますよ。」
 フェランの言うことはごく正論だ。ここはごまかしてもしょうがない。正直に理由を言おう
「実は、アーカムのミスカトニック大学附属図書館で『ネクロノミコン』という本を見なくてはならないんです。」
「何だ、そういうことでしたか。それならわざわざアーカムまで戻る必要はありませんよ。シュリュズベリィ博士の鞄に入っていますからね。それとも、お車を使われるのは、それ以外の理由でですか?」
「いいえ、車はもう貸してもらわなくて結構です。ありがとうございました。」
 私は受話器を置くと、慌てて博士の鞄を探した。ベッドのそばに黒い鞄があるではないか。私は鞄を開ける。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 生命力 … 27/27
 気力 … 16/17
 知性 … 15
 経験 … 10
 狂気 … 1
 所持金 … 0ドル
 手に入れたもの … 叔父の手帳、鉄製の鍵、奇妙な魚をかたどったペンダント×2、石笛
 メモ … 緊急脱出の呪文は『ネクロノミコン』の108ページに載っている
 RIP … @ナイフが背中に刺さって死亡(322)、A浜辺で射殺される(517)
 (Save Number:79→266)

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2016/11/11


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