暗黒教団の陰謀(プレイ日記)


【第8回】 シュリュズベリイ博士

〔STATUS(現在の値/原点)
 生命力 … 26/27
 気力 … 15/17
 知性 … 15
 経験 … 5
 狂気 … 3
 所持金 … 10ドル
 手に入れたもの … 叔父の手帳、鉄製の鍵、奇妙な魚をかたどったペンダント
 メモ … なし

〔12〜〕
 私が老人に話しかけると、老人は片手を上げて腰をかがめた。そして床に落ちた黒眼鏡を手探りすることもなく拾い上げると、顔にかけ、目がないというのに私をじっと見つめるようにした。何だか本当に見つめられているような気がしてならない。不気味さを感じるばかりだ。ただの老人ではないらしい。何か威圧感のようなものさえ感じられる。やがて老人が口を開いた。
「もしかして、君はピースリー博士の甥ではないかな。」
 ピースリー…ああ、叔父の名前か。初めて知った。実際の私の叔父は…そんなことはどうでもいい。どうして老人は私のことを知っているのだろうか。叔父はインスマスで調査したときに敵に顔を知られているのかもしれない。叔父と私は顔がよく似ているのだ。オホーツクに消ゆ(注:このネタを知っている人は、文字通り相当な「ファミ通」です)とは違い、実際に血がつながっているから無理もないのだが。しかし、叔父の名前まで知っているとなると……。黒眼鏡の老人は敵なのか味方なのか。味方でしょう、これは。もし本当に敵ならば、こんなことは聞いてはこない。こないで私に襲い掛かるかだまし討ちをするかするだろう。
「あの…どちらさまでしょうか。」
「ああ、これは失礼。私の名はシュリュズベリイ。君の叔父さんの研究仲間じゃよ。」
 私はびっくりしてしまった。叔父の手帳に名前が記されている人物ではないか。何という巡り遭わせだろう。
「あなたがシュリュズベリイ博士だったのですね。私は<批判屋>と申します。いつもピースリーがお世話になっております。しかし、驚きました。まさか叔父の手帳に記されている人に遭うなんて…」
「驚くのも無理はないね。私は1915年に謎の失踪をして、22年間にわたって姿を隠していた後、広範囲な調査を行って、クトゥルーを仕留める一歩手前までいった。じゃが、計画が失敗して1947年にまた姿を隠し、不気味なハレー彗星の訪れとともにこうしてまた現れているのじゃから。初めて地球を離れてからもう七十年にもなるかのう。」
 ほえ? 何だか博士は私を誤解しているようだ。確かに私は驚きはしたが、驚いている理由が私と博士とは捉え方が違うようだ。それに、初めて地球を離れてから70年…って、博士は一体何歳なんだろう?この人は一体何を言っているのだろうか…。
 博士は狂っているのかもしれない。しかし叔父のメモを読んだ限りでは信頼して良さそうだ。クトゥルーのことまで口にしているのだから。博士がインスマスにいるのは調査のためだろう。そうだ、叔父の話が出てきたのだから、昨夜起こったことを博士に話してみよう。私は叔父が消えてしまったことをシュリュズベリイ博士に打ち明けた。
「大丈夫じゃ。ピースリー博士のことは心配しなくてよろしい。」
 博士はそう言って私の腕をとり、家の中から小路に出た。これではまるでこっちが盲人で博士が導いているみたいだ。
「あの…博士は目が見えないのではないでしょうか。」
「今はそんなことを話しておる暇はない。」
 博士はそう言って、足早に歩いた。小路を抜けるとさっと左に曲がり、中央広場に向かっていく。さっき口にしたことといい、目がないのにどうやら見えるらしいことといい、どうにも不思議な人物だった。
「ジョシュというアル中の男の家を探していたんだが、よくわからなくてね。次々に家をのぞき込んでいたら、あの2人に捕まってしまったんじゃよ。胡散臭い男だと思われたんじゃろうな。あの2人が連中の仲間でなくてよかったが。」
「連中…? あ、そう言えば、殴られてお怪我などはありませんか?」
「あんなことくらいではびくともせんよ。痛みなんか、もう感じない体になっているからね。」
 シュリュズベリイ博士は笑みを浮かべながら、また妙なことを言った。ふと気配を感じて振り返ってみると、さっきの2人が更に3人の男を連れて、あとをつけているではないか。もし襲い掛かられたら多勢に無勢…だが、私はシュリュズベリイ博士の余裕綽々な態度を見て、平静さを取り戻した。その気になれば、博士はあいつらなど簡単に倒せるのではないだろうか。気にせず歩き続けよう
 私とシュリュズベリイ博士は中央広場までやってきた(戻ってきた)。ダゴン秘密教団の会館を再び見る。あれぇ、さっきと何か様子が違うぞ。……そうか、私が倒したあのインスマス面の男の姿がなくなっている。あとをつけてきた5人の男たちは、会館を眺めている私たちを見て、こそこそ逃げ出してしまった。やはり、この会館は曰くつきのもののようだ。
 とそのとき、会館の扉が開き、何人かの男が現れた。全員僧服を纏っているが、胸には星と髑髏をかたどった刺繍が銀糸で施されている。何とも不気味な姿だった。1人が私の方を指差し、何事か言うと他の者が一斉に押し寄せてきた。インスマス面の男を倒した犯人が私であることをどうやら知っているらしい。
「<星の智慧派>だ!」
 シュリュズベリイ博士が叫んだ。敵は7人いる。もう逃げてもしょうがない。ここは覚悟を決めて闘うのみだ。7人の敵が一斉に襲い掛かってきた。

 <星の智慧派>  気力ポイント  5     生命力ポイント  4

 敵のポイントは低いが、一斉に襲い掛かってきたため、それぞれのポイントを7倍しなければならない。したがって、気力ポイント35、生命力ポイント28の敵を相手にすることになる…って、何だそりゃぁぁ? 一応「闘いかた」のルールには、複数の敵が同時に襲い掛かってきた場合は気力ポイント生命力ポイントのそれぞれを合算した1人の敵との闘いになると書いてはいるが…このルール、無茶苦茶だ!
「仕方がない、<批判屋>君、悪法も法じゃよ。」
「博士、何を呑気にソクラテスみたいなことを言っているんですか。よし、こうなったらヤケだ。闘ってやろうじゃないか。」
 私が身構えると、シュリュズベリイ博士も身構えた。
「どれ、<批判屋>君、私も及ばずながら力になろう。」
 そう、博士がいたのだ。博士は「及ばずながら」と謙遜していたが、謎の人物シュリュズベリイ博士の力はすごかった。そのうえ、博士はこの種の闘いに慣れているらしい。博士の力は百人力とまでは言わないものの、私の2倍の力はあった。したがって、私の気力ポイント生命力ポイントをこの闘いに限り3倍にすることができる。闘いが終わり次第、元の数値に戻す。

 <星の智慧派>  気力ポイント 35     生命力ポイント 28
 〔批判屋〕    気力ポイント 45     生命力ポイント 78

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]
[1R] ×<星の智慧派>35+=42 < 52=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=24
[2R] ×<星の智慧派>35+=44 < 53=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=20
[3R] ×<星の智慧派>35+=38 < 55=45+10〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=16
[4R] ×<星の智慧派>35+=41 < 52=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=12
[5R] ×<星の智慧派>35+12=47 < 48=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=8
[6R] ×<星の智慧派>35+=37 < 53=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=4
[7R] ×<星の智慧派>35+=43 < 52=45+〔批判屋〕○ ⇒ <星の智慧派>生命力ポイント−4=0

 気力ポイントが10ポイント以上離れている場合は一方的な勝負となる。5Rで仮に私がピンゾロの丁(1と1の目)を出したとしても引き分け…生命力ポイントの面でも上回っているこちらの勝利だ(無傷ではすまないが)。これも全て博士のお蔭だ。何と心強い人なのだろう。<星の智慧派>との闘いに勝ったことにより経験ポイントを1増やすことができる。闘いの後、シュリュズベリイ博士が口を開いた。
「<星の智慧派>の連中は恐れるには足らんよ。どちらかと言えば、やつらは知性派で悪知恵ははたらくが、行動力に欠けていてこういう正面きっての闘いはからきしだめだからね。手ごわいのは、ダゴン秘密教団とルルイエの深きものどもだ。どちらも超人的な体力を持っている。尤も、昼間に現れることは滅多にないが。」
 博士はそう言った後、倒れた男の服から奇妙な魚のペンダントを取り出した。
「これを持っておきなさい。」
 私はそのペンダントを受け取りながらふと思った。前にこれと同じようなものを見た気がする。たしか…
「これと同じものですか。」
「おお、それじゃそれじゃ。じゃが、なぜ君が持っておるのかね。」
 私はインスマス面の男と闘ったことをシュリュズベリイ博士に話した。
「昼間現れたからには、ダゴン秘密教団の手下だったのじゃろう。これからは気をつけることじゃな。ルルイエの深きものどもを躱(かわ)す手立てはあるが、ダゴン秘密教団は半分人間の血が混じっているから始末に困るんじゃ。さて、アル中のジョシュも見つからないし、私はこれからマーシュ精錬所に行ってみるが、君はどうするかね。」
 無論、私はこの申し出を断るほど愚かではない。1人では心細い調査も、博士と一緒ならば大船に乗った気分だ。
ぜひ、同行させてください。
「ふむ。こちらこそよろしく頼みますぞ。」

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 生命力 … 26/27
 気力 … 15/17
 知性 … 15
 経験 … 
 狂気 … 3
 所持金 … 10ドル
 手に入れたもの … 叔父の手帳、鉄製の鍵、奇妙な魚をかたどったペンダント×2
 メモ … なし
 (Save Number:469→4)

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2016/03/26


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