真夜中の盗賊(プレイ日記)


【第15回】 胞子と迷路

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〔341〕

 縦穴の上は、またもや通路だった。縦穴は結構な高さだったが、それを登り切っても尚地下通路ということは、これまでかなり地下深く降りた何よりの証拠なのだろう。先に進むにつれて辺りはだんだん湿っぽい空気に包まれ始め、壁には水滴がたまっていた。先程の乾いた縦穴とは対照的だ。更に行くと天井や壁は黴で覆われるようになっていった。しばらく行くと、通路は行き止まりになっていた。壁は厚い黄色の黴で覆われ、まるで何かの動物の毛皮のようにも思える。見る限り、先へ行く方法はないように思える。しかし、これまでの経験から隠された出口があることを信じて疑わなかった。何しろ、ここまでの間にこういった見せかけの行き止まりには何度もお目にかかっているからだ。魔法の大剣を手に入れた骸骨の間、そして先程の大蜘蛛。或いは、ここよりも前に何かがあって、ここは本当に行き止まりなのかもしれない。いずれにせよ、何かしらの道はある。
 ふと、私は動物の毛皮のような黴を“感知”した。この分厚い黴の下に、何か光り輝くものがあったのだ。近づいてよく見てみると、それは金属製の取っ手のようだった。すると、この黴がドアを覆っているのだろうか……。一歩下がって行き止まりの壁全体を見渡す。壁全体が黄色い黴に覆われてはいるものの、長方形の枠が縁どられている。やはりこの金属はドアの取っ手だ。ここは行き止まりなどではない。だが、ドアを覆っている毛皮っぽい、岩石っぽいものは何だろう。もう少し近くに寄って調べてみる。ドアには触れない。なぜなら、木のゴーレムのようにいきなり襲いかかられてはたまらないからだ。注意深くドアに触れない範囲で見てみると……生き物の体だった。一面に生えた黴が、正確な輪郭をよくわからなくはしているものの、それは確かに生き物の体だった。そして、触った途端に当たりに胞子をまき散らす種類の黴があるという話を思い出した。その黴には毒性があり、それを吸い込んでしまうと即座に死が訪れるという。黴はその死体を栄養源にして成長するのである。ということは、これはかなり厄介な話だぞ。私は黴に触らないようにドアを開けなくてはならない。
 私は、鉄の鍵を蠍に気づかれずに“すり”取ったことを思い出した。あのときと同じ要領でやればいいのだ。だが、その前に、私は準備を行う。私自身をバックパックごと黒いフードつきのマントで覆い、更に布の切れ端で簡易なマスクを作り、鼻と耳に栓をする。こういう黴は大抵粘膜や穴から侵入するものだ。よし、準備は整った。私は用心しながらドアの取っ手に手を伸ばし、黴に触らないようにしながら三本の指で取っ手をつまんだ。どうか鍵がかかっていませんように……。カチャ……ドアは微かな音を立てて開いた。途端に周り中に黄色い胞子が飛び散り始めた。私は身を低くして、ドアの先にある小さな部屋の中へ入り込んだ。走って転ばないように、早足で歩を進める。私は慎重にフードを脱いで、胞子がついていないかどうか確かめる。少しついていたので、軽く払った。胞子はゆっくりと床に落ちていく。幸いここの床は乾いているので、胞子も長くは生きられないだろう。胞子を落とし切ったことを確かめてから、私は鼻と耳の栓を外し、マスクを取った。ああ、怖かった……。私は思わず安堵のため息をついた。無論岩ウジが出てきて……などということは起こらなかった。
 さて、落ち着いたところで部屋を調べてみる。とはいっても、この部屋にあるのは、今しがた死の黴から逃れてきたドアと、反対側の出口だけだ。私は胞子から離れたい一心で出口へ向かう……ところが、次の通路はすぐに二股に分かれており、それぞれの通路の両側の壁には、別の通路に通じる入口が数え切れないほど開いていた。さながらそれは迷路のようだった。迷路? もしかして、サジタリスの部屋で見つけたあの迷路の地図は、ここの迷路のことだろうか? 物は試しだ。地図を見てみよう。
 私は、地図を開く。確かこの地図は巻物だったはずだ。現在地を確認する。よし、ここだ。そして、最初は右に進み、次の通路は二番目の壁の左側の通路を……。地図を調べているうちに、ジパングの故山本弘氏の『モンスターの逆襲』に出てきたストームシャドウの洞窟を思い出した。「不細工な姿」にされたサティンが知っている部屋は、知っていないとまず行き着くことができないであろう道順だった。そんなことを思いながら、私はこの迷路を抜ける道を捜し出した。地図を片手に迷路を進んで行く……数分後、通路だらけだった壁がなくなり、迷路の出口が見えてきた。私はこの迷路をいとも簡単に抜けてしまった。この地図を持っていた人は、運悪くサジタリスの餌食になってしまったのだろう。私はこの地図を持っていた人に感謝しながら、地図をしまった。迷路を抜けたところでお腹がすいたので、食料を食べることにする(食料−1体力点+4)。食べ終わった私は、迷路の出口に進んだ。

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2025/10/29


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