真夜中の盗賊(プレイ日記)


【第11回】 暗闇での決心

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〔236〕

 通路は地下の岩盤をくり抜いただけの粗末な代物で、北に向かって延びていた。そして数メートルほど進むと、またもや頑丈そうなドアが行く手を塞いだ。先程の鉄のドアのこともあるので用心したが、蠍もいなければ、このドアには鍵すらかかっていなかった。不思議に思い、そのまま扉の向こうへ足を運んだ。ふと、手に持っている松明が消えた。否、消えてはいない。松明は燃えている。なぜなら、松明から放つ熱を感じるからだ。しかし、辺りは暗闇だ。これは一体どういうことか。どうやらこの暗闇は魔法によって作り出されたものらしい。そして闇の中から、何かを引きずっているような音が聞こえてきた。ここで一旦元の通路に戻る。松明は再び明るさを取り戻した。
 私は元の通路で考えた。恐らく“バジリスクの瞳”はこの先にあるのだろう。もしここで引き返したならば、私は試験に失敗することになり、残りの一生を後悔のもとに暮らさなければならなくなる。しかし、だからと言ってこのまま進んで行けば、この先に待つであろう何かと対決しなければならない。それが何であれ、向こうはこの魔法の闇の中でもこちらの姿を見ることができるのであろうが、こちらは相手の姿を見ることはできない。これは大変なハンデだ。先へ進むか、進まないか。答えは決まっている。
 私は意を決して、再び暗闇の中に足を踏み入れた。こんなところで逃げたのでは、逃げるだけの一生を終えることになる。時には逃げることも大事だが、ここまで来て逃げるよりは、たとえ死んでも悔いのない生き方をしたい。死ぬときに悔いのないように生きることこそが大事なのではないか。私は暗闇の中で決心した。先に待ち受けているのが何かは分からないが、先へ進むのみだ。
 ここで、私の足に巻いているボロ布のお蔭で、良い発見をした。先程向こうはこちらの姿を見ることができると推察したが、それは間違いだった。向こうもこの暗闇ではこちらを見ることができないのだ。もしこちらを見ることができているのならば、何かしらの攻撃を加えてくることだろう。私は足音を立てずに闇の中を進み、反対側の壁へと向かって行った。壁にぶつかると、そこには木のドアらしきものがあった。取っ手に手をかける。しかし、こちらのドアには鍵がかかっているようだ。ふと、合鍵の束のうちの1本が仄かに光った。この光った鍵を挿し込んでみる……回った。ドアの向こうは松明で照らされた通路が続いていた。だが、闇の方から再び引きずるような物音が聞こえてきた。私が扉を開けたことで、私の存在に気づいたのだろう。私はドアを閉じた。
 私が手にしている松明が再び明るさを取り戻した。やはりあの暗闇は魔法によるものだったのだ。ドアの外には光り輝く液体の入った小さな瓶が置いてあった。その輝きはあまりにも眩しく、目が痛くなるほどだった。この光なら、先程の暗闇の中を照らすことができるかもしれない。帰りにまたここを通らないとも限らない。試してみよう。私は暗闇のドアを開け、瓶を床に置く。途端に、魔法で造られた闇が消え失せ、部屋が明るく照らし出された。先程の音の正体は何だろう? 多分まだ生きているはずだが……。巨大な金色っぽい茶色っぽいトカゲがいて、そのトカゲの目が黄色く輝く……何か、非常にまずい予感がする。そしてそういう予感は大抵当たるのだ。そう、こいつはバジリスクだ! “バジリスクの瞳”ならぬ本物のバジリスクに遭遇した。ここで運だめしを行う。DD=7≦9と出ました(運点−1)。バジリスクの目で見つめられたらもはやこれまで、石化するのを待つだけだ。私は即座に目を反らした。間に合った。こいつを倒すということは考えず、急いでドアを閉めた。こちらからはあまり役に立たないかもしれないが、一応ギルドの印を書いておこう。「石化の呪い」に関する印だ。そして、私は通路の先を進んだ。
 どうやらバジリスクはあの部屋から出ることはできないようだ。それでも、バジリスクに見つめられているような気がしてならない。私はどんどんと曲がりくねった通路を進んで行った。ここまで来れば大丈夫だろう。
 先の方が少し明るくなってきた。もう少し進むと、洞窟に入ったことが分かった。洞窟には何もなかったが、壁の鉄製の松明受けには、明かりの灯った松明があった。そしてその洞窟の向こう側には、更に暗闇に通じる通路が口を開いている。別に何もなさそうだったので、私は洞窟を横切り始めた。
 と、私が洞窟の反対側にたどり着く前に異変が起きた。何と、私の影がひとりでに動き出して、実体を持ちながら私に襲いかかってくるではないか。影と戦うか? いや、他に何か方法がありそうだ。暗闇の罠をくぐり抜けた私は至って冷静だった。何とかしてこの影を追い払えないものだろうか。ふと、私の脳裡に一つの考えが閃いた。影というものは何かが光を遮ったときにできるものである。今、私の影は洞窟の松明と反対側にいる。即ち、私という「モノ」が松明の光を遮っているのが原因なのだ。ならば、別の光――例えば、私の手にある松明でこの影をできなくさせればよいのではないか。私は自分の松明を頭上に掲げた。影がだんだん薄れていく。今や太陽の南中高度が90度の如く、影は私の足下にしかできていない。作戦成功だ! 私は自分の影ができないように松明の位置を調節しながら洞窟の反対側へ少しずつ移動した。

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2025/10/17


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