甦る妖術使い(プレイ日記)


【第15回】 塔での異変

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 10/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、1口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、銀の杖(37)、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符、銅の腕輪、古い巻物(66)

〔148〜〕
 ついに尾根に達し、逆風平原を見渡すところに出る。私たちはそのまま夜がくるまで駆け続け、シルバー川の北側の岸にある、捨て去られた小屋で平和な一晩を過ごす。…ん、ちょって待て。
「どうした、<批判屋>?」
 シャムが不思議そうに私に問いかける。
「いや、実は、時の経ち方が腑に落ちなくて。」
「それはどういうことだ?」
「私がヤズトロモの塔から失われた湖まで約1日半、そして昨夜君と出会った。地の利を得ている君と出会ってから近道を通って来ている。つまり、今頃はもうヤズトロモの塔に着いていてもおかしくはないんだ。」
「ふむ、それは確かに腑に落ちないな。魔法で時の流れを歪められているか、あるいは――」
「あるいは?」
 私が聞き返す。
「作者(イアン)の杜撰な記述によるものかもしれない。」
「ああ、な〜る。」
 多分、シャムの言った後者の方が正しいだろう。あるいは両方とも正しいかもしれない。そんなことを話し合っているうちに夜が明けた。いくばくもしないうちに私たちは鞍に戻り、ヤズトロモの塔に向かって進み始める。昼前に目的地にたどり着いた私たちは、塔が視界に入ってくるや否や、古い友人に向かって興奮しながら声を上げる。しかし、誰もその声には答えず、私の顔にはとたんに不安の色が広がる。私たちは藪に馬をつなぎ止め、ヤズトロモの塔の扉に向かって小道沿いに進む。彼の薬草園は、茶色ばみ萎びており、黒い棘を持つ醜い藪が、植物や薬草を追いやって急速に伸び始めている。たった3〜4日間でこれほどの変化が起きたことに、私は困惑させられる。やはりイアンの仕業か? 真鍮のベルを鳴らすが、何の答もない。そのとき突然、塔の窓から大きなカラスが舞い降りてきて、一枚の紙を地面に落とす。私はそのヤズトロモからの伝言を拾い上げ読んでみる。
" Dear <批判屋>
 待っていなくて申し訳ない。まだ準備に忙しいのだ。
 東方ダークウッドの森の端にある丸太小屋で待っている。 ヤズトロモ"
 私はシャムにその伝言のことを告げ、私たち2人は急いで馬に戻る。私は東に駆けながらヤズトロモは危ない目に遭っているのではないかと思い悩む。森の端に沿って2qほど走って行くと、木々の中から誰かが呼びかけてくる。
「ヤズトロモとどこで会えるか知っていますよ。」
 この声は…。止まって調べてみよう。森の中をのぞき込むが、誰も見当たらない。と、突然声が再び語り始める。
「あなたに私は見えません。私は透明なのです。私はスーマ、他の次元からやってきた霊魂です。あなたに対抗する混沌の軍勢が強力なので、イアンの命により私はあなたを助ける役目を仰せつかったのです。ヤズトロモはラザックの従者によって小屋からさらわれ、生贄にされるために森の中に連れて行かれました。ここから森の中へ北に向かって駆け入れば、彼を助けることができるでしょう。小屋には罠が待ち受けています。これが私があなたに言える全てです。イアンの命により私はあなたをもう一度だけ助けることが許されています。私を必要とした場合は“スーマ11”と呼んでください。これが私の番号なのです。さようなら、そして幸運を。」
 私はもっと情報を得ようとスーマに声をかけるが答えはない。ここまでイアンの手が伸びているとは…。スーマの言っていたことは本当だろう。ヤズトロモの手紙の内容が本当だとしても、丸太小屋には近づかずに北に向かって進む方が賢明であろう。私たちは、邪悪なものが住むと言われている悪名高き森の深部に入っていく。まわりにある全ての木に用心の目を向けながら、私たちは順調に歩みを進める。しばらく行くと空き地の端に達し、地面に描かれた五芒星形の中央に哀れな老魔法使いが杭で縛り付けられているのを目にする。そして、太った瘤だらけの身体を、緑色のねばねばした皮で覆った、忌まわしい角の生えた魔獣が、魔法陣の周りを熱狂的に歩き回っている。私は黙っていることができずに思わず叫ぶ。
「ヤズトロモ! 今助けますよ!」
 彼を顔を上げて答える。
「一生のうちにこれほど友を見て安心したことはないぞ。早く! ラザックの剣を地獄からの使者に使うのじゃ。」
 そうか。この下劣な存在に対しては普通の剣はただの金属の塊に過ぎない。ということで、ラザックの剣を使うことにする。
 〔魔人の落とし子〕 技術点   6  体力点  6
 〔批判屋〕   技術点  12  体力点 16

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔魔人の落とし子〕6+10=18 < 15=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔魔人の落とし子〕体力点−2=4
[2R] ×〔魔人の落とし子〕6+=15 < 17=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔魔人の落とし子〕体力点−2=2
[3R] ×〔魔人の落とし子〕6+10=16 < 20=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔魔人の落とし子〕体力点−2=0
 アランシア三大魔法使いの一人を手玉に取っていて興奮していただろうが、下級悪魔の宿命であろう、技術点はそれほど高くはなかった。悪魔の落とし子は地面に倒れ、しゅうしゅういう音とともに、湯気を上げながら萎びていき、最後には悪臭を放つ泥濘(ぬかるみ)の水たまりだけになってしまう。その光景に背筋に身震いを感じながらも私はヤズトロモに近づき、彼を自由にする。
「助かった。いや、ありがとう、<批判屋>。」
 老魔法使いは笑みを浮かべながら、いつもと違い熱烈に私の手を握る。表情にこそ出さないものの、相当怖かったに違いない。
「儂の魔法はこの地獄から来た生き物には効かなかったのじゃよ。儂が魔法の使い方を忘れたのか、ラザックが思ったより強力か…。」
 あるいはその両方だな。いや、ここにもイアンの陰謀があるのかも知れない(なぜイアンの話題に持っていく?)
「しかし、ヤズトロモの魔法があんな下級悪魔に効かなかったことを見ると、ラザックという奴は非常に恐ろしい妖術使いに違いありませんね。」
「気にするな。どっちにしろ対決せねばならんのだから。おや…」
 そう言ってヤズトロモはシャムに視線を向ける。
「<批判屋>、教えてはくれぬか。お前さんがどうやって失われた湖を見つけ出したかを、そしてお前さんの連れのエルフはどなたかを。」
「ああ、彼のことね。彼は森エルフのシャム、弓矢の名手だよ。」
 そして、シャムにヤズトロモを紹介する。
「シャム、こちらがアランシア三大魔法使いの一人、ヤズトロモだよ。」
「シャム殿、初めまして、儂がヤズトロモじゃ。」
「ヤズトロモさん、お目にかかれて光栄です。私は森エルフのシャムと申します。」
 私はヤズトロモに、道中いかにしてシャムと出会ったかを語る。危うくシャムに矢を射かけられるところだったことも。
「ふむ。儂は我々の宿敵ラザックについて少々調べたぞ。奴はお前さんの最も恐ろしい相手となるじゃろう。それも、彼を守る手下どもの前を通りぬけられればの話じゃがな。お前さんは、彼を彼自身の剣で倒さねばならないだけでなく、彼の心臓をガーガンティスの角で貫かねばならないのじゃ。伝説によると、ガーガンティスは地下に棲む極めて稀な生き物だそうじゃ。しかし、そんなものが存在するかどうかも定かではないがな。そいつはほとんど武器には不死身で、魔法を使わねば角を切り落とせるまでいかないと言われておる。そうして初めて、ガーガンティスは死ぬのじゃ。さあ、この地獄の森を出て儂の塔に戻ろうかのう。儂の友人が我々を待っているはずじゃ。」
「うん、わかった。」
 私たちが塔に戻るまで大して時間がかからないが、誰も出迎えに来ない。
「奇妙じゃな。」
 しかめっ面をしながらヤズトロモがつぶやく。
「何が奇妙なんです?」
 私はヤズトロモに尋ねた。
「ブドロンはもう着いているころだが。何事もなければよいのじゃが。彼は亡霊の出る墓場がどこにあるか知っていて、それが重要なんじゃ。ラザックの父タマルの墓石を読む手助けになるじゃろうに。儂はそれがマイルウォーターとストーンブリッジの間にあると思う。確とではないがな。さて、どうしたものかのう。朝まではブドロンが着くと見込んで儂の塔で待つも良し、それともブドロンに会いに今出発するも良し。<批判屋>、判断はお前に任せる。」

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 10/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った、スーマ11
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、1口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、銀の杖(37)、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符、銅の腕輪、古い巻物(66)
 (Save Number:278)

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2018/03/24


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