甦る妖術使い(プレイ日記)


【第14回】 夜の出会い

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 10/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、1口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、銀の杖(37)、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符、銅の腕輪、古い巻物(66)

〔67〜〕
 巨人の谷を越えると、また山に登ることになる。しかし、その他は何も起こらず、2日目の夜が来る。昨夜は狼男の襲来だったが、今夜は大丈夫そうだ。さて、野宿をどこにしようか。ちょっと先の方に、焚火のような明かりが見える。誰かいるのだろうか。しかし、暗くて焚火のそばに誰かがいるのかどうかすらわからない。ふと、目線を元に戻す。近くに岩がたくさんあり、隙間がある。岩の間で眠れば目立たなくて安全そうだが…待てよ。時には、物はその見かけとは全く違うということもある。ハーフエルフのジェラの言葉を思い出した。
 〜〜<批判屋>さん、あなたの行く方向の山には、岩妖怪がたくさんいます。気をつけてください。〜〜
 岩妖怪には目がないため、まだこちらの存在には気づいていないだろうが、しかし、触れた瞬間、こちらの存在に気づき、こちら目がけて転がってきたら……。周囲にある岩が全て岩妖怪だったとしたら、私は一瞬でペシャンコに押しつぶされてしまうことだろう。ギャグマンガだったらひらひらの紙となってお湯をかければ元に戻れるだろうが、無論これはギャグマンガではない。情けは人のためならず、ジェラの言葉のお蔭で私は命拾いした。ということで、ジェラに感謝しつつ、私はこの辺りの岩から逃れるようにして焚火の方へ進むことにした。
 焚火に近づくと、男の声が聞こえる。
「止まれ、さもないとお前さんに矢をぶち込むぞ。」
 辺りは非常に暗く、私には声の主を突き止めることはできない。私は警告に従うことにして、手綱を引き、馬を止める。男が再び声をかける。
「賢明な選択だ、見知らぬ人よ。さて、お前さんは正義の使者か、それとも混沌の従者か、答えてもらいたい。」
 恐らく、これは命を懸けた問いになるだろう。向こうの意にそぐわない返答をしたら、私は矢の餌食になり果てることは目に見えている。私は自分の素性を相手に伝える決心をする。
「分かった。答えよう。だが、まずは私の話を最後まで聞いてもらいたい。」
「よかろう。」
「私は自分を“正義”とは思っていない。自分を正義と名乗る輩に限って独善的で暴力的だからな。だが、私は混沌の従者ではない。それどころか“混沌”に立ち向かおうとしている。それも、従者ではなく混沌の元兇と呼べる存在にだ。混沌に立ち向かうのがそちらの“正義”という定義ならば、私は“正義の使者”とやらになる。話は以上だ。」
 しばらく沈黙が訪れる。向こうの意にそぐわなかったのだろうか?
 姿の見えない男は再び口を開く。だが、今度は先程よりも少し友好的に感じられる。
「もし、お前さんが私の思っている正義の使者なら、馬を降りて剣を地面に突き刺してから、こっちへ来て一緒にアヒルの焼肉でも食べようではないか。」
 馬を降りて剣を地面に突き刺してから焚火のそばへ行く、だと? もし、その隙に矢を放たれたら……。しかし、隠れている男の言うことも本当のように思える。考えてみれば、向こうはいくらでもこちらに矢を撃つ機会があるはずだ。それでいて矢をこちらに撃たないということは、この男は卑劣な輩ではないことになる。
「よし、分かった。だが、そちらへ行くときに矢をこっちに撃たないと約束できるか。」
「いいだろう。約束する。」
 これで交渉成立だ。今度は私が誠実に行動する番だ。男に言われるがまま私は馬を降りて剣を地面に突き刺して、焚火に歩み寄る。男は木の陰から焚火の明るい方へ歩み寄る。男は長身で、濃い緑色の上着に身を包んでいる。そして、そのフードから顔を出すと、歓迎の印に手を広げて見せる。両手には何も持っていないことから、私を矢で撃つ気がないのは明らかだ。
「いただきます。」
 私は焚火のそばに座り込み、火にかかっていたアヒルと野生の茸を口にする。体力点を加える(ですが、原点数なのでこのままです。この冒険で初めてこの言い回しをします!)
「私の名はシャム。エルフの狩人だ。最近、アランシアも物騒でな、野宿するときはこうして敵か味方かを確かめなくてはならないのだ。混沌の従者は何者もこの私の矢からは逃れられない。」
 手の甲で口元を拭いながら、男は陽気そうな声で言う。
「ところで、君は何でこんな不毛な山で何をしているんだ?」
 それは……。シャムに自分の任務について話そうか? 少し考え、話すことにする。彼は、先程の偏屈的な思想を最後まで聞いてくれたからな。十分信頼に値するだろう。
「申し遅れました。私は<批判屋>と申すものです。実は、妖術使いラザックを倒すために、魔法使いヤズトロモに命じられて失われた湖まで行き、ラザックの剣を取りに行き申した。先程貴殿の話にあった、アランシアが物騒になったのは、恐らくラザックが甦ってからのことだと思う。ラザックを倒さないと、アランシアは永遠の暗黒地帯と化すであろう。」
 シャムは、私が一通り話し終えると、深刻そうにこちらを見つめた。
「で、そんな大事な任務を負った君に、私は矢を射かけようとしたのか。すまぬ、許してくれ!」
 シャムはそう言うなり、私に平身低頭謝罪した。
「いやいや、こんな物騒なご時世だから用心するに越したことはない。シャム殿はこちらに矢を射かけようとはしたかも知れないが、実際には射かけなかったではないか。私の任務を分かってもらえればそれでいいんだ。」
 かく言う私も、ハーフエルフのジェラを初めは信用しなかった。用心しなければならないのは誰でも同じだ。
「その償いと言ってはなんだが、もし君さえ良ければ、この先同行させてはもらえないだろうか。この私の弓の腕、何かの役には立つと思うが。」
 無論、大歓迎だ。助けが増えるのは願ったり叶ったりだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします。シャム殿さえよろしければ、是非。」
 こうして、私はシャムと仲間になった。その晩はそれ以上何も起こらず、ゆっくりと休むことができた。
 翌朝、私たちは馬にまたがり、西へと進み始める。馬はもともと2人乗り用に訓練されている上、エルフのシャムは軽く、馬にとってはほとんど苦にならないようだった。シャムが道案内をして最も容易(たやす)く、そして最も早く山から抜ける道を選んでいく。夕方になる頃には、私たちは山の端近くにまでたどり着く。と、そのとき、シャムが先の方の大きな岩陰に、2つの人影がしゃがみこんでいるのに気がつく。
「山の野人だ。奴らはこっちが気がついているとは思っていないようだ。きっと我々が横を通り過ぎるときに襲い掛かってくるつもりだろう。どうする? 剣の練習でもして行くかい、それとも、疲れるからやめとくかい?」
やめておこう。今はヤズトロモの塔へ早く戻りたいし。」
「よし、分かった。じゃあ、馬を北に向けよう。奴らの奇襲攻撃が当たらないように。」
 野人に気づいていないふりをしながら、大きな岩に向かって無頓着に進む……そして、いきなり進路を北に変える。思った通りだ。野人たちはこちらがいきなり進路を変えたものだから、慌てふためいている。矢を2本こちらに放つが、もちろんどちらも当たらない。
「ぐぉぉぉーーーっ!」
 野人たちは己の失敗の怒りでこちらに拳を振り上げる。残念でした〜。彼らの弓の範囲外に出たのを確認して、再び西へ向かう。ヤズトロモの塔は近い!

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/16
 運点 … 10/12
 メモ … カメレオナイトの血を塗った、御影石の扉から先へ進むには184と押す、ガラス球の煙を吸った
 宝物 … 金塊(金貨10枚分)、正気の水晶、月の指輪、髑髏の指輪、金貨7枚、宝石付きの金の指輪
 手に入れた物 … ヤズトロモの治療薬(体力点+4、1口分)、鎖帷子、聖水の瓶、ナイフ、銀縁のヒビ割れた鏡、銀の杖(37)、蝋燭、守護者、ラザックの剣、角の生えた魔人を象った銅の護符、銅の腕輪、古い巻物(66)
 (Save Number:327→148)

← 【第13回】へ | 【第15回】へ →


2018/02/19


直前のページに戻る

『甦る妖術使い』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。