ナイトメア キャッスル(プレイ日記)
【第15回】 伝説の武器
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
技術点 ……… 10/10
体力点 ……… 23/25
運点 ………… 11/12
意志力点 …… 11/12
金貨(枚) …… 4
食糧(食) …… 4
所持品 ……… ザック、剣、
トールダー男爵から寄贈された指輪
、青い金属製の三叉槍の頭、
緑色の球体
〔7〜〕
扉の向こうは、一続きの下り階段が伸びていた。最初の数段はオレンジ色の炎によって見えているが、更に降りて行くと真っ暗闇に包まれた。流石の緑色の球体でも、この暗闇では光を集められないだろう。ここはゆっくり慎重に階段を降りていくことにする。階段の半ばと思しき場所まで降りたとき、暗闇から声がした。
「そこで止まれ、曲者よ。我が主人の名を挙げてみよ。さもなくば、それ以上近づくことは許さぬぞ。」
残念ながら、私には声のありかを突き止めることはできない。この声を無視してそのまま降りて行くか、それとも“主人”とやらの名前を言ってみるか? ここで少し考えてみる。この“声”はこの階段を下る者全てにこの問いかけをするのだろう。ならば、私が声の主の敵か味方かも分からないということだ。これまで出てきた“名前”と言ったら……トールダー、オイデン、ヒュー、ザカーズ、セルニック、<南の星亭>の主人、食料品店の店主、古物商、ドワーフの庭師……って、途中から名前ではなくなってきているぞ。そもそも、私がこのニューバーグ城塞に潜入した理由を考えると……ここは悪の巣窟だ。今やトールダーですら“悪人”になっている。その元兇とは……。私は立ち止まって答えた。
「
ザカーズ
!」
私の声がやむよりも早く、岩の窪みごとに置かれた水晶が一斉に輝き出し、階段は光で満ちあふれた。暗闇のときよりも歩きやすくなったことは言うまでもない。ということは、私の答えは“正しかった”のだ。さて、この水晶、私の左肩のすぐ横にもある。著者の声が聞こえてくる。――
宝石を窪みから取り出そうとするなら
――せんわ! こんなところで欲に目が眩んだらどうなるかが分からない私だとでも思ったのか。実はこの水晶は摂氏1000度に熱せられていました、とか水晶を窪みから外した途端に階段が木端微塵に砕け散りました、とか、どうせそんなオチでしょうが。その手は桑名の焼き蛤(はまぐり)だ。というわけで、水晶には指一本触れず、
そのまま階段を降りて
行くことにします。さて、ぐるぐるグルグル階段を降りて行くと……ほーらね。一段だけ他の段と違うのがあった。水晶の輝きでうっすらと光を放つ不思議な石でできていた段だとさ。この石がラ●ュタに出てくる飛行石だったとしても、人間の体重を支えるだけの強度はないだろう。もし、明かりがなかったら、この段を踏むことは必至だったろう。これが本当の段違い……なんちゃって。それ以降の段は別に変わったところはなく、無事に階段を降り切った。罠を回避した私に幸運が向いてきているようだ(
運点+1
)。
さて、階段の向こうには開けっぱなしの扉の戸口が見え、内部をのぞかせていた。内部からは青い光が漏れ出ていた。それは、中央に置かれた頭部の開いた石棺からだった。
私は扉をくぐり、棺をもっとよく調べる。棺に横たえられているのは一体の骸骨だった。肋骨の上に一辺の青い金属製の柄が載せられていた。隆起した畝や、不思議な彫刻が表面を覆っている。これはもしや……。私は骸骨になるべく触れないよう、静かに
青い金属製の柄を取り上げた
。それは驚くほど軽く、中が空洞と思えるほどだった。その歪(いびつ)な形にも関わらず、金属製の柄はぴったりと手に収まった。柄の一方の端はねじ山になっていて、柄だけではまだ完全ではないことは明らかだった。もしや……と思った次の瞬間、私の持っている
青い金属製の三叉槍の頭から錆が取れていった
。まるで、頭と柄が一つになりたがっているようだった。私は金属製の頭を柄に嵌め込んだ。ぴったりだ! と、次の瞬間、青い閃光が走った。あまりの眩しさに私は目を瞑る。閃光が収まり、次に目を開いたときには、私の目の前には青く光る三叉槍があった。
「おお、ついに
スカルロスの三叉槍
を復活させたか。」
突如、どこからともなく声がした。声の主を探す。どうやら、その声は三叉槍から発しているようだった。それにしても、この声、どこかで聞いたことがあるぞ……分かった、私に三叉槍の頭を売りつけた古物商の声だ。
「わしは長い間、お主のようなスカルロスの三叉槍を復活させる勇士が現われると信じていた。今から、このスカルロスの三叉槍について説明しよう。この武器は、はるかなる昔、遠い北の山々での忘れ去られた魔法で鍛造された伝説の武器である。それは青い光沢を放つ金属によって造られ、複雑な彫り物に覆われていた。頭の部分――三つに分かれた穂先が円筒形の管につながっている――は小ぶりでスマートな造りで、柄の部分は対照的にがっしりしていたが、片手でもやすやすと持ち上げることができる。力の源はこの柄の根元にあった。武器が再び合体した今、双方は急速に光を失いつつあった。」
あのう、それ、まるっきり棒読みなんですけれど……。ただ単純に原稿を読んでいるだけですか?
「うう、すまぬ。最近物覚えが悪くてのう。原稿がないと説明することができんのじゃよ。では、この武器の性能について説明しよう。この武器はただ使いやすいだけでなく、極めて強力な武器じゃ。槍を持っておるだけで、相手を一撃したのと同じ力を得られる。この武器を使用するときは
技術点
に
2
を加えることができる(管理人注:このボーナスは
原技術点
とは別に加えられますが、この槍を使用中の場合、即ち戦闘中に限るものとします)。相手が人間の場合は普通のダメージなのじゃが、相手が化け物の場合は威力が倍増する。いいか、よく聴くんじゃぞ。そもそもこの武器は魔法使いや不死身の怪物たちを倒すために鍛造されたのじゃ。従って、相手が化け物(人間以外)の場合は
体力点
を
4点
減ずることができるのじゃ。槍にかけられた魔法が力と強い意志を与えてくれるじゃろう。どうじゃ、その武器があると安心感がまるで違うじゃろ。そして、わしからもこの武器を復活させた記念にお主を祝福して進ぜよう。さあ、この武器を是非とも有効活用してくれたまえ。わしからの援助は以上じゃ。また会おう、勇士よ。」
勝手にしゃべり終わった後、古物商の声はだんだんと消えていった……。さて、各能力値をここで整理しておこう。まず、スカルロスの三叉槍により
意志力点
を
2点
回復することができた。そして、古物商の
一方的な
祝福により、
運点
を
2点
回復することができた。私は意気揚々と階段を上り、再び3つの扉に戻ってきた。
さて、残る扉はあと一つだ。一応開けてみよう。鍵穴が3個……ん、どれも同じ鍵と鍵穴だぞ。それでも、鍵穴が3個ある理由は明白だった。単純計算で、鍵1個分の3倍の手間と時間がかかるのだ。ジパングでも、近年は同じ鍵穴を2つ取り付ける家が増えてきた。空き巣を逮捕するに至らずとも、空き巣を諦めさせれば良いのだ。そんなことを考えながら、私は最後の扉に入った。
そこは、剣、盾、槍、棍棒などが何十列にも渡って並ぶ
武器庫
だった。だが、こんな形の武器は見たことがないぞ。きっと南国産の武器なのだろう。不思議なのは、こんなところに保管されているにも関わらず、錆一つ、それどころか塵一つ見当たらなかった。いつもだったら新しい武器に挑戦するところだが、今の私にはこのスカルロスの三叉槍がある。どんなに武器を持っていても、一度に使える武器は一つだけだ。たとえ二刀流であったとしても同じ武器を2本同時に使える人はいない。ということで、このまま
武器庫を立ち去る
ことにしましょう。
さあ、これで3つの扉を全て調べ尽くしたぞ。地下牢に戻る前に、木製の扉に入ることにする。
腐蝕妖怪
に鍵を返すためだ。トールダーの旧友たるもの、たとえ相手が妖怪であったとしても、約束を違えてはならないのだ。
先程と同じく、俄かに水面から光が見えてきた。
「き〜さ〜ま〜〜、わしの長年のまどろみを破りおって……ヒイイイィィィィィッ!」
あら、さっきと反応が違うね。なんででしょう? あれ、もしかして、このスカルロスの三叉槍が怖いの?
「その槍を捨てろ〜〜〜〜っ。」
それはできない相談ですが、
腐蝕妖怪
さん、鍵をお返しします。ありがとうございました。そして、腐蝕妖怪に槍を向けながら後ろ足で木製の扉までたどり着き、部屋を後にした。
考えてみると、あの腐蝕妖怪もかわいそうな存在だったなあ。元は人間だったろうに、邪悪な魔法であんな姿に変えられてしまったんだろうなあ。もし私は地底に棲む悪の権化を倒したら、腐蝕妖怪も人間に戻れるかもしれない。
私は行きとは打って変わって自信満々の状態で地下牢に戻ってきた。
この地下牢での大発見は間違いなく私に希望を齎した。今思うと、指輪をヒュー老人にくれてやった……いや、寄附したのはスカルロスの三叉槍を手に入れるために必要不可欠だったのかもしれない。これも天命と言えば天命だろう。暗い地下室から生まれ育つ光もあるものだ。
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
※ 変化があったものは
赤い太字
技術点 ……… 10
(+2)
/10
(スカルロスの三叉槍を使う場合のみ)
体力点 ……… 23/25
運点 …………
12
/12
意志力点 ……
12
/12
金貨(枚) …… 4
食糧(食) …… 4
所持品 ……… ザック、剣、
トールダー男爵から寄贈された指輪
、
スカルロスの三叉槍
、
緑色の球体
備考 …………
スカルロスの三叉槍
で人間以外の敵に与えるダメージは4点
(Save Number:206)
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2023/11/29
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