ナイトメア キャッスル(プレイ日記)
【第2回】 南の星亭にて
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
技術点 ……… 10/10
体力点 ……… 24/24
運点 ………… 12/12
意志力点 …… 11/11
所持品 … ザック、剣
〔119〜〕
南の星亭の扉は閉まっていた。だが、旅館というからには夜になってからこそが商売だろう。私は、扉を叩いた。
「おや、お客さんですね。ようこそおいでくださいました。」
他に客がいなかったせいか、宿泊を頼むのは簡単だった。まずは夕食をとる。食堂には私一人しかおらず、蝋燭の光が仄かに照らされているだけだった。何か寂しい雰囲気だった。もしこれまでに多くの
体力点
を失っているのならここで
4点
加えてもよい……って、それは恐らく制限時間内に楼門を脱出できなかったらそうなっていただろう。だが、今は原点数です。
「今ここにお泊りになっているのはお客さんだけで、なにぶんご不便をおかけしますがお許しくださいませ。」
それはいいのだが、一体何が起きているのだろうか。私は思い切って、
トールダー男爵との関わりについて話す
ことにした。
「トールダー男爵の知り合いですと? 太守様の知り合いなら大歓迎だ。とびきり上等なニューバーグ製のブランデーはいかがでしょうか。なに、いらない? 以前にも飲んだことがおありとか――いや、待てよ。」
そう言って亭主は私をじっと見据えた。
「お客さん、私をたぶらかそうとしているのではないかね? ヘルム・ヒルの戦いに参加したといっても、あの戦いのことはニューバーグ市民だったら誰でも知っていることだしな。お客さんが何かトールダー男爵の知り合いという証拠になるものはおありですかな?」
そんな証拠は……ある。実は、私はベルトの下に、トールーから私宛のメッセージを掘り込んだ指輪を隠し持っている……って、私もそんなことは知らなかった。ただ、後付けの設定で持っていることにされたのだ。この指輪は世界に二つとない非常に高価な指輪だから、あまり人に見せびらかしたくはないのだが、この際だから仕方がない。
私もまだ見たことのない
指輪を亭主に見せることにしよう
。見よ、この指輪を。
亭主は私の差し出した指輪を見て、亭主の疑わしい顔が一瞬にして驚きの表情になった。
「これはなんと見事な贈り物だろう! 太守様はたいそうお客さんを高く買っておられると見ましたぞ。お客さんがトールダー男爵のただの知り合いではなく、かけがえのない親友ということがよく分かりました。お願いです。どうかこの町の悪を一掃してください。」
この町の悪を一掃? やはりニューバーグは悪の手によって支配されていたのだ。その間にも、亭主は話を続けた。
「我々の生活はいまや異国人らによって脅かされているのです。せんだって南の国を訪れられた男爵は、何人かの異国の戦士を伴って帰られました。ところがその戦士たちは、まるでここが自分達の領土であるかのようにふるまうのです。何より恐ろしいのは、住民達が次々と姿を消すようになったことです。そして夜になると、何か怪しげな者達がうろつき回るのです。ですが、まだその正体を見た者は誰もいません。というのも日暮れ後にうっかり外を出あるこうものなら、その人間は二度と戻っては来ないからです。朝になって夥しい血痕や巨大な獣の足跡が見つかったりすることもあります。」
これで、この南の星亭が夕方に閉まっていた理由が分かった。確かに、こういった状況では閉めざるを得ないだろう。
「なぜ太守様自らが乗り出されようとしないのか私には分かりません。何かきっと深い理由があるのでしょう。私からは大した助言は差し上げられませんが、とにかく絶対に夜外を出歩かないことです。鎧戸を開けてもいけません。明日になったらオイデンの寺院に住むヒュー老人のもとを訪ねてください。彼はこのニューバーグの最長老なのです。半分頭の狂いかけた老人などとニューバーグ市民は言いますが、私はその言葉には限りない叡智が含まれているものと思っています。どうか私達、いや、トールダー男爵をお助けください。」
亭主はそう言って私を2階の寝室に案内した。
「それでは、おやすみなさい。」
そう言って亭主は階下へと降りていった。
案内された部屋は一人用の部屋だったが、その割には広く、清潔で居心地が良かった。恐らく、亭主が気を利かせてくれて一番良い部屋に案内してくれたのだろう。あの亭主は信用しても良さそうだ。
私は注意深く鎧戸を開けてみる
(って、鎧戸を開けてはいかんと言われただろうが)
。夜のニューバーグは静まり返っている。私はバルコニーに足を踏み入れた。通りへはここからほんのひとっ跳びで、通りからこのバルコニーへ戻ることも大したことないだろう。さあ、どうするか。夜のニューバーグを散歩(?)しようか。いや、やめておこう。亭主は「絶対に夜外を出歩くな」と言っていた。「絶対にするな」と言われるとしたくなるのが人間の心理だが、それは命に関わる危険があるから禁止するのだろう。それに、開けっ放しのバルコニーから何者かが侵入してくる可能性もある。私の身勝手な行動で南の星亭の人達に迷惑をかけるわけにはいかない。ということで、バルコニーから室内に戻り、鎧戸を閉め直して
ベッドに向かう
ことにした。
ベッドに入って、私は今日の出来事を思い出した。ニューバーグへ向かう直前に罠にかかり、頭を殴られて地下牢に閉じ込められた。そう言えば、頭は……触るとまだ痛い。私の頭を殴ったのも南国人だろう。今度出遭ったら覚えてろよ。そんなことを考えているうちに、自然と眠りに落ちていく……。
キャーーーーーーッッッ!!
私は甲高い叫び声で目を覚ました。何だ、今の悲鳴は。悲鳴が治まった後、怪物らしき存在がごそごそ動き回る音が聞こえた。鎧戸1枚を隔てたすぐ向こうで何かが起きているようだ。私は恐怖のあまり、起き上がることができなかった。しばらくは様子を見るように目を開けていたが、やがて再び眠りに落ちた。
恐ろしい怪物
(見る勇気のある方のみどうぞ)
の姿が頭の中に蘇った……。
「お客さん、お目覚めですか。」
目が覚めると、ベッドの側には亭主の姿があった。
「随分魘されていたようですな。朝食のご用意ができておりますので、どうぞ食堂へお越しください。」
亭主はそれだけ言って、階下に戻った。私は食堂に向かった。女将さん(亭主の奥さん)の作った料理は栄養、味、量、三拍子そろっていた。もし負傷しているならこの食事で
体力点
を
4点
獲得……って、やっぱり昨夜「散歩」しなかったのは正解だったようだ。
食事の後、部屋に戻り、身支度を済ませる。
「毎度ありがとうございます。またご利用ください。」
亭主に支払いを済ませると、手元には
金貨5枚
が残っていた。私は南の星亭を出た。
どんよりした鉛色の空の下で「南の星亭」と書かれた看板が霧雨交じりの風に音を立てて揺れていた。さて、これからどうしよう? 昨夜の亭主の話だと、ヒュー老人を訪ねるのがよいらしいが、そのヒュー老人の住むオイデンの寺院がニューバーグのどこにあるのかが分からない。とりあえず、
ニューバーグの町を歩こう
。
〔STATUS
(現在の値/原点)
〕
※ 変化があったものは
赤い太字
技術点 ……… 10/10
体力点 ……… 24/24
運点 ………… 12/12
意志力点 …… 11/11
金貨(枚) ……
5
所持品 ……… ザック、剣
(Save Number:245→137)
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2023/09/18
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