モンスター誕生(プレイ日記)


【第20回】 半オークとの友情

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 11/11
 体力点 … 18/19
 運点 …… 8/10
 メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった、青い茎のスカル藻はディードル川の南のカエル沼にしか生えない
 所持品 … 革切れペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚、ロープ、青い茎の草(49)

287〜〕
 カエル男達はおれを取り囲んだ。もはやこれまでか……。こうなったら、せめて何人かのカエル男を道連れにしてやる。おれは心に決めた。
 一方、おれがカエル男と戦っている間にグロッグはいつの間にかいなくなっていた。逃げたのだろうか? いや、そうではなかった。グロッグは、おれを取り囲む輪の外を忍び足で回り込んだ。カエル男達はおれに気を取られてグロッグに全く気づいていない。グロッグはカエル男のリーダーの背後に忍び寄る。突如、グロッグはカエル男のリーダーの首筋を絞め上げた。
「おい、カエル男ども。こいつがどうなってもいいのか。」
 グロッグは、カエル男のリーダーの首筋に剣を突き付けた!
「動くとこいつの命はねえぞ。」
 グロッグの行動には、その場にいた全員――おれも含めて――が驚いていた。グロッグはリーダーの首筋を剣先で突っつく。
「脅しじゃねえぞ。こいつの命が惜しかったら、早く道を開けろ!」
 カエル男達はリーダーを守るため、黙って道を開けた。グロッグは、おれの方を向いた。
「さあ、行くぞ。」
 おれは黙って頷き、カエル沼の道を進んだ。グロッグがカエル男のリーダーに剣を突き付けながら後に続く。カエル男達はおれ達の後をついて来はしたものの、リーダーが殺される危険を冒したくはないらしく、襲っては来なかった。やがて、道がしっかりした土に戻る頃、グロッグはリーダーの背中を蹴飛ばして解放した。
「逃げるぞ! 走れ!」
 グロッグの号令とともにおれは走り出した……が、おれ達の後をつけてきたカエル男の一人が、リーダーを人質に取ったお返しにと言わんばかり、グロッグ目掛けて鉾を投げつけた。鉾はグロッグの背中に命中した!
「グアアアアァァ!」
 グロッグが悲鳴をあげて倒れる。おれは、グロッグの背中から鉾を引き抜き、カエル男に投げ返した。
「グエエエエェェ!」
 鉾はカエル男のリーダーの目に突き刺さった。片目を失ったショックで、カエル男のリーダーはバランスを崩し、開けた場所の中央の底なし沼にはまり込んだ。他のカエル男達はリーダーを助けようとするあまり右往左往している。もともとカエル男達は、自分の聖域から出る気はなかったようで、もうおれ達のことはどうでも良いようだった。その隙に、おれはグロッグを担いでカエル沼から逃げ出した。
 おれは、標識のある地点まで戻ってきた。グロッグを地面に降ろす。人間どもは、今のおれのことを“カジバノバカヂカラ”と言うらしい。確かに、カエル沼を逃げ出すときのおれの力は尋常ではなかった。グロッグを担げるだけの力も、カエル男のリーダーに鉾を投げ返す力も、今のおれにはない。それよりも、グロッグは大丈夫か? グロッグの表情が苦痛に歪んではいたものの、グロッグは辛うじて目を開けた。息も絶え絶えに、弱々しく話しかけてくる。
「どうやら、おまえは探している物を見つけたようだな。だが、おれはもうだめだ。」
 もうだめ? 一体どういうことだ? グロッグは、困惑するおれには構わず、話を続けた。
「思えば、おれはいつも孤独だった。だが、おまえと出会えたことで、おれは仲間というものを初めて知った。おれを仲間にしてくれた礼と言ってはなんだが、おれの背負い袋を持って行け。何かの役に立つだろう。」
 おれは、グロッグの背負い袋を開けた。中には、木箱と幸運の薬が入っていた。この薬を飲めば運点原点まで回復させることができるらしいが、おれにとってはこんな薬よりもグロッグの方が遥かに大事だった。
「おまえと一緒にいる間は、おれが生きているうちで一番幸せだった。こんなおれに付き合ってくれて、ありがとうよ……」
 そう言った次の瞬間、グロッグは目と口を閉じた。
 おれは、最初グロッグに何が起きたのか分からなかった。いくらグロッグの身体を揺すっても、グロッグが目を開くことはなかった……。そう、グロッグは死んでしまったのだ。
 グロッグが死んだと分かった瞬間、おれの目から汗が流れ落ちてきた。汗は目からも出るものだということを、おれは初めて知った。だが、この汗は変だ。いくら拭いても止まらない。一体何なんだ。グロッグの死体を見れば見るほどおれの目から汗が流れてくる。これまでも、おれは数多くの死に直面した。ヨアのスワインベアドはおれの手で絞め殺してしまった。地下迷宮にいた冒険者達もおれは殺した。そのときは、目から汗なんか出なかったのに、これは一体どういうことだ? おれがおれでなくなったみたいだ。おれは、汗まみれの目でグロッグの死に顔をもう一度よく見た。その表情は満足しているようだった。これが半オークとモンスターの“ユウジョウ”という奴だったのだろうか?
 おれは、目から汗が止まらないまま、いつの間にか眠りに落ちていた。空には煌々と満月が輝いていた。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 11/11
 体力点 … 18/19
 運点 …… 8/10
 メモ …… ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった、青い茎のスカル藻はディードル川の南のカエル沼にしか生えない
 所持品 … 革切れペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚、ロープ、青い茎の草(49)、幸運の薬(運点が原点まで回復する)
 (Save Number:92)

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2022/11/15


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