モンスター誕生(プレイ日記)


【第11回】 ペチャクチャ獣との遭遇

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 11/11
 体力点 … 19/19
 運点 …… 10/10
 メモ … ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ
 所持品 … 革切れ、ペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚

〔161〜〕
 部屋の中には誰もいなかった。おかしいな。確かに、2〜3人でしゃべっていたはずなのだが。とりあえず、部屋の中を調べてみよう。
 部屋の中は丸い形をしており、西と南と北の壁にひとつずつ扉があった。また、扉と扉の間の壁に、アーチ形の窪みが六つあった。窪みはおれが入れる大きさだったが、どれぐらい奥まで続いているかはここからは分からない。部屋の中には生き物の気配はなかった。おれは慎重に部屋の中央まで入って行った……。バタン! これは、入って来た扉が閉まった音だ。もう少し部屋を調べてみよう
 おれはアーチ形の窪みを順番に眺め、どれから調べていこうか考えた。部屋はしんと静まり返り、おれはだんだん苛立ってきた。さっきの話し声はどうなったんだ? その疑問に答えるかのように、窪みの一つから声が聞こえてきた。
ケケゾ。ケネフモネ、ケテン、サラソアトヨ、ケタヨナ、エアヅ。ポル、ケテドン、ロオヨトアネオト? ヅノ、てれーりゲン、アアオト。ふあ、おみえを、かもを、やー、ぽをぞーしそをで、てれーらちさや? えーねー、ぽとごー、よをぐーざ。これならどうだ? おっ、分かるようだな。さて、君のお役に立ちたいのだが、何がお望みかな? うまい食事にありつける場所に案内しようか? 太ったホビットが2匹いるところを知っているが。それとも、君の秘密を握っている人物について話してやろうか? ザラダン・マーのことだよ。さあ、こっちにおいで」
 随分馴れ馴れしい奴だな。おまえのしゃべっていることは最初から分かっていたよ。トローリッシュとか言って、まるっきり“エイゴ”じゃないか。しかも、“Can you understand 〜?”だなんて、失礼な奴だ。だがこいつ、ザラダン・マーと言っていたな。ロックデーモンがいた部屋の紙切れにも出てきた名前だ。とりあえず、声が聞こえてきた窪みに入っていくことにしよう。話し声がしたのは東の壁の真ん中の窪みだったな。
「さあ、もっと近くへ。こっそり君にだけ教えてやろう。違うよ、その窪みじゃないよ。ここだよ。怖がらなくていいから。さて、全知全能の人物とうまいホビットについて話してあげよう。少しばかり長くなるが、我慢してくれよ。何せ他人と話をするのは随分久しぶりだし、外の話も聞きたいからな」
 おれは窪みに入って周囲を見回した。目が慣れるにつれ、ここが短いトンネルで、すぐに行き止まりになっていることがわかった。声の主は……



 奥の壁に凭(もた)れて腰を下ろしていた。頭からすっぽりとフードをかぶっているので、顔を見ることはできない。足元に革製の容器が置かれている。
「さあ、もっと近くにおいでよ。最近耳が遠いものでね。飲み物はどうだい?」
 おれは人影に近づいて行こうとした。が、おれの脳裡にハニカスの言葉が過(よぎ)った。 ――ペチャクチャ獣の話に耳を傾けてはならん。奴は食い物をおびき寄せるためにしゃべっているだけだからな。―― ハニカスの言っていたペチャクチャ獣とは、こいつのことではないのか? だとすると、全て説明がつく。初対面の相手――しかもおれみたいなモンスター――に対して友好的な輩というのは、最後には裏切る奴が多いと聞く。外見では人当たりが良く見えるが、誰かに口も利いてもらえなくなる、新しい話し相手を探す、そしてその相手から口も利いてもらえなくなる、また新しい話し相手を探す、といったことを繰り返してきたのだろう。だいたい、こんな場所で話す人を待つのも不自然だし、こいつはおれを話し相手としてではなくて獲物として見ているのでは……。あっ、分かったぞ。おれは気づいちまった(管理人注:モンスターが何に気づいたかは、上の挿絵をクリックしてください)。こいつに近づいてはいけない!
 おれはその窪みを出て、別の窪みに入って行った。中は真っ暗だったが、微かなきらめき――滴り落ちる水滴のような微かな光――が見えた。慎重に中に入っていくと、部屋の真ん中に岩や土が盛ってあった。両側の壁に、つい最近崩れたような跡がある。盛ってある土を乗り越えて、きらめきに向かうかどうか考えていると、天井がわずかに崩れ、土砂がザラザラと降ってきた。それでも、おれは乗り越えて光を調べることにした。降ってくる土砂で土煙が舞うので、おれは息を止めて盛り土によじ登った。窪みはさして深くなく、すぐにきらめきのあるところまでたどり着いた。天井の小さな穴から、キラキラ光る粉が舞い落ちているのだ。これは“エルフの粉”と呼ばれるものらしい。粉は途切れることなくフワフワと落ちているが、地面に落ちる直前に消えてなくなっていた。粉の真下に立って天井を眺めてみたが、何も分からなかった。結果的に、エルフの粉を全身に浴びるはめになってしまったが、別段どうと言うことはない。すぐに効果が出るということはなさそうだ。エルフの粉の滝を何者かが目隠ししようとしていたのは明らかだが、おれにはそれ以上のことは分からなかった。おれは、窪みから外に出て、この部屋も離れることにした。
 この部屋には、三つの扉がある。西の扉から入ってきたから、出て行くのは北の扉か南の扉のどちらかだろう。おれは北の扉から出て行くことにした。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 11/11
 体力点 … 19/19
 運点 …… 10/10
 メモ … ザラダン・マーの門に着いたら93を引いた番号へ、エルフの粉を全身に浴びてしまった
 所持品 … 革切れ、ペンダント、水晶の棍棒(333)、29番兵への手紙、銀の指輪(『ダラマスにつかみかかる』ときに50を加えた番号へ)、金貨2枚
 (Save Number:405→300)

← 【第10回】へ | 【第12回】へ →


2022/11/06


直前のページに戻る

『モンスター誕生』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。