仮面の破壊者(プレイ日記)


【第24回】 雪の北部山脈へ

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 10(+1*)/10 墓鬼の剣(*技術点+1で原点を超えても可)
 体力点 ……… 22/22
 運点 ………… 10/10
 金貨 …… 5
 食料 …… 6
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、ザクロ石の指輪、鉄の笏(支配する者はただ1人であるべし)、銅の鉱石の塊、つるはし、スナタ猫の牙(11匹の龍の模様と8個のリンゴの種)、女神コランバラの石像、剣歯虎の鉤爪、ヘヴァーの角笛(邪悪な敵の技術点-1)、宝石入りの首飾り、回復の水薬(体力点が最大6点回復する)、透明人間マント、耐凍薬、宝珠(21は支配者の支配をあらわす数字)
 メモ …… ガーリンを呼び出す場合は100へ進む、ジュジャのいる場所は『地面じゃないけど支えられる、水じゃないけど流れられる、空気じゃないけど噴き出せる、火じゃないけど爆発できる』場所、ジュジャを探す詩『迷うべからず、さまようべからず、常に真ん中の道を行け』、乙女の谷(208ページ『時間のない国――入るには樫の木を、出るにはリンゴの木を――』)、3つの扉に行き当たったら木の扉から入る

〔37〜〕
 夜中に、私は目が覚めた。今やケヴィンの形見の品となった寝袋の中は寝心地が良いだけではなく、暑さや寒さもある程度防いでくれる逸品だ。だが、それでも寒いのはなぜだろう。その答えはすぐに分かった。空を見上げると、雪が降っている! 確かにここは山地に近い場所だから雪が降ってきてもおかしくはないのだが、それにしても気温がどんどん下がってきている。ここから先は、山の奥に入っていくに従って雪は深くなり、身を切るような寒風がうなりをあげて吹きつけるようになるだろう。何か寒さから身を守る手段は……ある! 今こそ錬金術師から買った耐凍薬を飲むべきときだ。私は耐凍薬を飲む。すぐに身体が温まり、体力を消耗させる北部山脈の寒さも感じなくなる。やはりあの錬金術師の商品は確かな品質だった。朝になり、私は樫の木とリンゴの木の門を立ち去り、山岳地帯へ入っていく。
 山岳地帯の入口に達したばかりだが、遠く前方にはクリル・ガーナッシュの5つの峰が姿を見せている。ある朝、雪の中を滑りながら歩いたような巨大な足跡が見つかる。恐らく、雪男(イエティ)かビッグ・フットの足跡だろう。そんな答えが私の頭に浮かぶが、間もなく足跡の正体が判明する。



 足跡の正体は、雪靴を履いた山岳部族の2人の男だった。彼らは革の服を着ており、手には短いが頑丈そうな攻撃用の投げ槍を持っている。戦えば相当手強い相手のようだ。2人とも煙草を吸っているように見えるが、そうではない。吐く息が単純に白くなっているだけだ。耐凍薬のお蔭で私は寒さを感じないのだが、彼らはこの場所にしては薄着の私を見て訝しがる。友好的な連中とは言えないだろう。透明人間マントを使うことも考えたが、この雪の中においては彼らの方が素早いと思われるので、あまり役に立たないだろう。となれば先手必勝だ。私は攻撃を仕掛けることにする。その前に、久しぶりのヘヴァーの角笛だ。だが、ここで驚くべきことが起こった。山岳部族の片方はヘヴァーの角笛でひっくり返ったが、もう片方は耳を塞ぎはしているものの、ヘヴァーの角笛をものともせずに襲いかかってくる。これはどうしたことだろうか? だが、考える暇もなく、ひっくり返った方も体勢を整えて2人同時に襲いかかってくる(管理人注:これは飽くまでも管理人がこのゲームをクリアしている前提での話ですので、普通にプレイされる方は両方の技術点を1点減らして構いません)。
 〔山岳部族1〕  技術点 7  体力点 10
 〔山岳部族2〕  技術点  7  体力点 10
 〔批判屋〕    技術点 11  体力点 22

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔山岳部族1〕7+13 < 18=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族1〕体力点−2=8
   △〔山岳部族2〕7+16 < 18〔批判屋〕△
[2R] ×〔山岳部族1〕7+14 < 15=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族1〕体力点−2=6
   △〔山岳部族2〕7+14 < 15〔批判屋〕△
[3R] ×〔山岳部族1〕7+1017 < 18=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族1〕体力点−2=4
   △〔山岳部族2〕7+14 < 18〔批判屋〕△
[4R] ×〔山岳部族1〕7+1017 < 19=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族1〕体力点−2=2
   △〔山岳部族2〕7+14 < 19〔批判屋〕△
[5R] ×〔山岳部族1〕7+12 < 17=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族1〕体力点−2=0
   △〔山岳部族2〕7+16 < 17〔批判屋〕△

 ここで〔山岳部族1〕が斃れた。以降は〔山岳部族2〕と普通の戦闘を行うことができる。

[6R] ×〔山岳部族2〕7+14 < 23=11+12〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族2〕体力点−2=8
[7R] ×〔山岳部族2〕7+10 < 22=11+11〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族2〕体力点−2=6
[8R] ×〔山岳部族2〕7+16 < 22=11+11〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族2〕体力点−2=4
[9R] ×〔山岳部族2〕7+1017 < 19=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族2〕体力点−2=2
[10R] ×〔山岳部族2〕7+14 < 15=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔山岳部族2〕体力点−2=0
 墓鬼の剣は2人目の山岳部族の剣を跳ね飛ばしはしたものの、とどめを刺すには至らなかった。2人目の山岳部族はヘヴァーの角笛を吹いてもひっくり返らなかった。彼は本当の意味で邪悪ではないという証拠に違いない。私は墓鬼の剣を鞘に収め、2人目の山岳部族に話しかけようとした。
「なぜだ。なぜとどめを刺さぬ。儂は隙あらばお前を攻撃しようと思っているんだぞ。」
「見え透いた嘘はよせ。貴殿が邪悪な心を持っていないことは先刻お見通しだ。この角笛のお蔭でな。」
「すると、お前さんは儂の娘がこの山岳地帯を抜け出して矛槍草の大草原に向かったことも知っているのか。」
 娘? そんなことは知らないぞ。だが“山岳部族の娘”は1人だけ心当たりがある。もしかすると、ジュジャを探していた山岳部族の女戦士とは……。私は、そのことを2人目の山岳部族に聞いてみた。
「貴殿の娘さんとやらは、もしかするとジュジャを探して旅をしていたのではないか。だとしたら、残念ながらその娘さんは瘴気の沼付近で亡くなった。これに見覚えはないか?」
 私は山岳部族の女性が身につけていた装飾品を彼に見せた。こういうこともあろうかと、実は彼女を埋葬するときに装飾品を一品取っておいたのだ。
「これは、間違いなく娘のもの。お前さんの言っていることは本当だったのか……」
 山岳部族の目に涙が浮かんでいた。私は、話を続けた。
「私はモルガーナを倒すために旅をしている。今の私の望みはここを通ること、それだけだ。」
 山岳部族の男は、しばらく黙っていたが、やがて重々しく口を開いた。
「私はモルガーナを心底嫌いながらも逆らえないでいた。そのモルガーナをお前さんは倒すと言っている。そして、お前さんはその準備が整っているとみえる。儂はお前さんに賭けることにしよう。ここを通るが良い。だが、その前に……」
 山岳部族の男は、死んだ仲間が着ていた革の服と雪靴を脱がせ、私に差し出した。
「この服は見ての通り防寒服だ。お前さんはかなりの薄着だが全く寒そうには見えない。恐らく別の方法で寒さを防いでいるのだろう。だが、この防寒服を着ていても損はあるまい。それから、この靴は雪の中でも素早く動けるようにできている。どちらも彼にはもう不要のものだ。お前さんが倒したこの男は根っからのモルガーナ派だった。だからお前さんの角笛が彼を許さなかったのだろう。実は、お前さんが現われたとき、儂らはお前さんを捕まえてモルガーナのところへ連れていこうかどうかを話し合っていた。儂はお前さんの素性を聞いてからにしようと言っていたが、彼は問答無用でモルガーナのところへ連れて行こうと言っていた。彼はいずれお前さんか儂に殺される運命だったのだろう。儂の娘の死を無駄にしないためにも、是非モルガーナを討伐してくれ給え。」
「承知した。もとよりそのつもりである。」
 私は彼にお礼を述べ、雪靴に履き替える。山岳部族の男の言葉通り、この雪の中では重宝する逸品だ。私が雪靴に履き替えている間、彼は死んだ仲間を肩に担いでいた。然るべき場所に埋葬するのだろう。お互い準備ができた頃、私は彼に別れを告げた。
 山岳部族の男達は、モルガーナを心底恐れていたのだろう。そして、生き延びる手段として、定期的にモルガーナへ貢物を捧げる代わりにある程度の自由が保障されていたわけだ。モルガーナを討伐すれば、もうこんな悲劇は起こらないに違いない。
 私は山岳地帯に深く分け入っていく。斜面はいずれも松の木でびっしり覆われている。何日か進むと、時折左右の山々から不気味な山鳴りの音が低く聞こえてくることがある。ある正午頃、私は前方に人影を認める。真っ白に輝く雪のせいで人影は黒く見えている。一人きりで何日も旅をしていたので、人影の姿を見て嬉しくなる。このピリッと張り詰めたような澄んだ山の空気の中ならよく声が通るだろう。私は人影に向かって大声で呼びかけてみることにする。
「お〜い!」
 だが、人影は反応しない。この距離からでは、人影がこちらへ向かっているのかどうかわからないし、こっちの声が向こうまで届いているかどうかも分からない。もう一度呼びかけてみようか? だが、私はここで3つのことを思い出した。
 1つ目は音速のことだ。地球上においては、気温が0℃のときの音は秒速331メートルで、5℃上昇(下降)につき秒速3メートルの割合で速く(遅く)なっていく。現在の気温を推定−15℃とすると、現在の音は秒速322メートルで、音速にしてはかなり遅くなっている(気温が15℃のときの音は秒速340メートルです)。夏と比べると、冬は音が伝わりにくいのだ。2つ目は、この人影はブロッケン現象と呼ばれるものであることだ。太陽が登山者を背後から照らす位置にあるとき、前方の峰に大きな人影を映し、その人影の周囲が虹色で覆われることがあるという。ドイチュのブロッケン山でこの現象が発生しやすいことからこの名前がついた。今の時刻は正午頃、太陽は私の南にある。そして、私は北へ向かって旅をしている……そう、前方の人影の原因は私そのものなのだ。だが、これら2つのことはそれほど恐ろしいことではない。3つ目が最も恐ろしいことで、雪山で大声なんか出したら、その声の振動で雪崩が起こる可能性があることだ! いや、本当は起こらないのかもしれないが、ロビンの陰謀ならばあり得る。
 私は大慌てで口を塞ぐ。まだ雪崩は起きてはいないようだ。これ以上人影には関わらず、そのまま歩き続けることにする。人影は間もなく私の視界から消えてしまう。危ないところだった。
 それからの二日間は、夜になると狼の遠吠えが薄気味悪い程近くで聞こえたりはするものの、人間であれ何であれ、生きている存在には全く出逢わない。北部山脈に入ってから早1週間、だいぶ山脈の奥地に入ってきた。クリル・ガーナッシュの5つの峰は、まるで巨大な太古の怪獣が覆いかぶさってくるように感じられるほど間近に見える。やがて道は東西に分かれる。西への道か、東への道か。ここは、東側へ行く道を行こう。多分、西側へ行く道へ進んでも大差はないと思うけれどね。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 10(+1*)/10 墓鬼の剣(*技術点+1で原点を超えても可)
 体力点 ……… 22/22
 運点 ………… 10/10
 金貨 …… 5
 食料 …… 6
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、ザクロ石の指輪、鉄の笏(支配する者はただ1人であるべし)、銅の鉱石の塊、つるはし、スナタ猫の牙(11匹の龍の模様と8個のリンゴの種)、女神コランバラの石像、剣歯虎の鉤爪、ヘヴァーの角笛(邪悪な敵の技術点-1)、宝石入りの首飾り、回復の水薬(体力点が最大6点回復する)、透明人間マント、耐凍薬、宝珠(21は支配者の支配をあらわす数字)、雪靴
 メモ …… ガーリンを呼び出す場合は100へ進む、ジュジャのいる場所は『地面じゃないけど支えられる、水じゃないけど流れられる、空気じゃないけど噴き出せる、火じゃないけど爆発できる』場所、ジュジャを探す詩『迷うべからず、さまようべからず、常に真ん中の道を行け』、乙女の谷(208ページ『時間のない国――入るには樫の木を、出るにはリンゴの木を――』)、3つの扉に行き当たったら木の扉から入る
 (Save Number:341→142)



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2024/04/07


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