仮面の破壊者(プレイ日記)


【第11回】 枯葉の谷にて

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 10(+1*)/10 墓鬼の剣(*技術点+1で原点を超えても可)
 体力点 ……… 21/22
 運点 ………… 8/10
 金貨 …… 15
 食料 …… 4
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、ザクロ石の指輪、鉄の笏(支配する者はただ1人であるべし)、銅の鉱石の塊、つるはし、スナタ猫の牙(11匹の龍の模様と8個のリンゴの種)、女神コランバラの石像
 メモ …… ガーリンを呼び出す場合は100へ進む

〔178〜〕
 ジパングの冒険者の中には、枯葉の谷と聞くと ♪枯葉谷の〜ナウ●カ〜 と歌い出す人がいるに違いない。そんなことを想像するのは管理人くらいか?
 枯葉の谷に入り、私はこの場所について知っていることを思い出す。谷にはいくつかの村があり、人間及びその他の知性を持つ種族が入り混じって住んでいる。村々は谷の中央にある城に住む一人の領主のもとに、緩い連合体をつくっている。現在の枯葉の谷の領主はヘヴァーという男であり、彼の自慢は城の防衛設備の全てが外敵に対するものであることだ。つまり、ここでは村と村の間でも、村と領主の間でも、常に平和が保たれているのだ。これはある意味理想的な治政と言えるだろう。これもヘヴァーという人物が人格者であるからこそできることに違いない。
 これらは一般的な知識であり、残念ながら私はそれ以外の信頼できる情報をほとんど持っていない。アリオンでは住み慣れた土地を遠く離れて旅をするなど今の私くらいのものだし、ましてわざわざ枯葉の谷へ旅をする者など滅多にいない。私が初めてと言ってもよいくらいではなかろうか。逆も真なりで、枯葉の谷からアリオンへ旅をするような行商人も滅多にいないのだ。そんなことを考えながら歩いていると、やがて前方にお城が小さく見えてくる。ここは村を通り抜けることにしよう。枯葉の谷の村がどういった人々なのかは実際に見聞しなくては分からないのだ。
 私は村の道を歩いているが、村人はほとんどいない。玄関の扉の前で籠を編んでいた一人の老婆は物珍しそうにこちらを眺め、いくらかトロールの血が混じっているらしい大男の鍛冶屋も、私が通り過ぎる間じゅう仕事の手を休めて眺めている。私が部外者だから目立つのだろう。さて、私が気になったのは2箇所ある。村の旅宿と、治療師の家だ。体力点の減りが些か気になるので、治療師の家へ行ってみることにしよう。治療師の家に着くと、治療師は私が余所者であるにも関わらず、体中を調べてくれた。
「旅の人、酸模(スカンポ)は持っておらんかね。スカンポがあれば強力な水薬をつくることができるのだが。そう言えば、ジパングでは虎杖(いたどり)とも言うらしいがね。」
 生憎だが、スカンポは持っていない。どこかに生えていたのだろうか。
「それじゃあ仕方がない。一通りの手当はしておいたので、幾分かは良くなると思うよ。旅の人、お前さんに幸運があらんことを。」
「ありがとうございます。」
 体力点こそ回復しなかったが、治療師は親切な人だった。この分だとヘヴァーも話の分かる人なんだろうな。そんな感じがしてきた。
 さて、村を出て城へ向かうが、街道を通ると目立ってしまう。大事な任務を抱えて旅をする者が目立ち過ぎるのはあまり良くない。そう思い、先程見えた畑を横切ることにした。畑は思いのほか広かったが、どうにか渡り切ることができた。立ち止まって長靴にこびりついて重くなった泥を落とす。できる限りの泥を落として顔を上げると……
「こんの罰当たりめが。種をまいたばかりの畑を踏み荒らしやがって!」
 私の目の前に飛び込んできたのは、私を睨みつけて怒鳴る農夫だった。農夫の両側には“カラガリの鬣”と呼ばれている狼と犬の血が半分ずつ混じった知能の高い“殺し屋”が唸り声をあげている。こんなことなら街道を通っておけば良かった、と思っても後の祭りだ。それに、街道を通ったら通ったでまた別の厄介事があったに違いない。ロビンはそういう奴だからな。
「おんめぇ、儂に何か恨みでもあんのかえ!」
 確かに、種をまいていなくても畑を横切るのは農家の人達に対して失礼な行為にあたるだろう。一国の領主としてあるまじき愚かな行為を私は恥じた。これは、何かで弁償するしかないだろう。さて、何を渡そうか? 金貨2枚、コランバラの石像、銅の鉱石の塊と、候補が3つあり、幸いにも3つとも持っている。と、ここで脳裡をよぎるものがある。確かコランバラはクール大陸の農業を司る女神だったはず。ならば……。
「あのぅ、これでよろしければ……」
 農夫は、私がおずおずと差し出した女神コランバラの石像を見て、目を輝かせる。
「おめぇ、こりゃまたもらいすぎだべ。コランバラ様がついていなされば、儂の畑は大豊作間違いなしだもんな。おめぇさん、ひょっとして、コランバラ様の使いの人かい? いやあ、すまんことをしたのう。ほれ、もっと畑を踏んでくだされ。」
「あ、いえ、結構です。畑を踏んでしまってすみませんでした!」
 私は農夫に謝りながら、足早に立ち去る。農夫は勿論のこと、“カラガリの鬣”も追っては来なかった。
「気ぃ〜つけて行きなされよ〜〜〜っ!」
 まさかこれほど簡単にこの窮地を切り抜けられるとは思ってもみなかった。それに、あの石像は長旅には少し重く、荷が軽くなったことも事実だ。持つべき者に持つべき物が渡った。レイワのジパングでは、これを“WinWin”(ウィンウィン)の関係と言うらしい。運点を加える。今度は街道に沿って城門を目指すことにした。
 枯葉谷の城門に着く頃には、辺りは暗くなり始めていた。
「この日暮れに、我が枯葉谷の城に何か御用ですかな?」
 そう私に問うてきたのは、2人のドワーフの門衛だった。
「私はアリオンの領主<批判屋>と申します。訳あって、ヘヴァー殿に面会いただきたく存じます。」
「これはこれは。はるばるアリオンからようこそお越しくださいました。さあ、こちらへ。」
 ヘヴァーのお城の待合室に案内された。城の待合室にしては随分と質素だが、これもヘヴァーの人となりを表しているのだろう。
 私が待合室で文字通り待っていると、先程の門衛の1人が戻ってくる。
「ヘヴァー様は只今御食事中ですが、<批判屋>様が御同席されるかどうかを尋ね申しておられます。」
 礼儀を重んじるドワーフならではの表現だった(管理人注:ドワーフの表現についての解説です。もう一度クリックすると閉じます)
 勿論、同席させていただきます。
「承知いたしました。それではこちらへどうぞ。」
 私は宴が催されている部屋に入っていく。席に着いているのは奇妙な取り合わせの生き物たちだ。人間とエルフとが肩と肩とを擦り合わせ、鳥男(バードマン)がドワーフの戦士と語り合い、雄牛のローストの半身肉を腹に詰め込んでいる親しげな巨人さえいる。そして、こうした生き物たちの向こうにある最上位席に座っている人物こそが、枯葉谷の城主ヘヴァーなのだろう。



「よく来られた、我がいとこよ。そう呼ばせてもらいますぞ。まあ座りなされ。ここにおる間は、つまらない旅のことなど忘れてしまうことじゃ。」
 ヘヴァーは声高に呼びかける。ヘヴァーの隣の席は最上位席に準ずる貴賓席で、ヘヴァーが私のために用意してくれた席であることに間違いなかった。お言葉に甘えまして、ヘヴァーの隣の席に座らせてもらいましょう。だが、荷物が少々邪魔のようだ。
「ん? いとこよ、もしよろしければ貴殿の荷物を門衛に部屋まで運ばせるが、どうされますかな?」
 折角だから、お願いしましょうか。先程の門衛のもう1人が、私の剣以外の荷物を部屋に運んで行った

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 10(+1*)/10 墓鬼の剣(*技術点+1で原点を超えても可)
 体力点 ……… 21/22
 運点 ………… 9/10
 金貨 …… 15
 食料 …… 4
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、ザクロ石の指輪、鉄の笏(支配する者はただ1人であるべし)、銅の鉱石の塊、つるはし、スナタ猫の牙(11匹の龍の模様と8個のリンゴの種)、女神コランバラの石像
 メモ …… ガーリンを呼び出す場合は100へ進む
 (Save Number:42→71)



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2024/02/21


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