龍の瞳(新版)
『龍の瞳(原題“Eye of the Dragon”)』の新版(2005年版)はウィザードブックスより刊行されたFFシリーズ第21巻目の未邦訳作品です。
旧版(1982年版)との変更点をいくつか挙げてみます。
まず、旧版独自のルールが廃止され、新版では従来のFFシリーズと同じになっています。
それから、背景に若干の変更点が見られます。主人公の泊まっている宿屋の名前が「青豚亭」に変わっていたり、主人公に「遅効性の毒」と飲ませた男の名前がヘンリーデレイガーとより素性が明確化されてきたりしています。
また、冒険中に出てくるアイテムのうちFFシリーズに登場したものが再び出てきます。167番の青銅の胸当てと鉄の胸当ては1巻「火吹山の魔法使い」では青銅の兜と鉄の兜に相当します。また、101番に登場するクリスナイフは、10巻「地獄の館」に相当します。
そして、新版に出てくる新しい登場人物として欠かせないのはドワーフのリトルビッグです。リトルビッグは、シャークルという男によって地下迷宮に監禁されていたのですが、主人公に助け出されて仲間になります。リトルビッグの存在なくしてこの冒険の成功はありえず、道中リトルビッグの人情(ドワーフ情?)あふれる描写が多々出てきます。主人公とリトルビッグの名コンビが誕生するわけです。
本文の構造も、途中で1本でも道を間違えるともう戻れずにデッドエンドという旧版に比べ、新版はクリア必須アイテム(瞳型のエメラルド)以外の「真の道」は必ずしも通らなくてもよいようになっています。宝物庫(185番)の手前にある壁(378番)には5種類の武器が突き刺さっていますが、これらの武器を抜く順番を間違えると感電死(38番)してしまいます。5種類の武器を抜く順番の手がかりは5種類(鉄、青銅、銀、銅、金)の鍵が必要です。これら5種類の鍵は全部集める必要はなく、実は4種類でよいのです(4つの順番がわかれば残る順番は一つしかないからです)。ちなみに、私は旧版では数回失敗しましたが、新版は1回で(しかも鍵を5本とも入手して)クリアしました。
龍の瞳を手に入れた主人公とリトルビッグは青豚亭に凱旋しますが、そこには主人公に「毒」を飲ませたヘンリーデレイガーが立っています。リトルビッグはヘンリーデレイガーを見て叫び声をあげます。実は、
ヘンリーデレイガーとシャークルは同一人物だった
のです。ヘンリーデレイガーの悪辣さとリトルビッグの人情が、エンディングをより味わい深くしています。最後には、ドワーフ王ジリブランやあのヤズトロモも登場します。
こうしてみると、新版は旧版にはなかった新しい物語を加筆して、最後は達成感を味わえるという点が見受けられます。この点ではFF9巻
『雪の魔女の洞窟』
や26巻
『甦る妖術使い』
と共通しているかもしれません。
1つこの冒険で注意することがあります。それは、食事中または食事の前後には絶対にプレイをしないことです。なぜなら、害虫産巣(197番)と出くわすと気分が悪くなるからです(しかもクリア必須アイテムの通り道だけに個人的には1番恐ろしい厄介な敵です…)。
← 『龍の瞳』旧版(1982年)
2009/11/22
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