『龍の瞳(原題“Eye of the Dragon”)』はウィザードブックスより刊行されたFFシリーズ第21巻目の未邦訳作品です。著者はイアン・リビングストン氏です。私がプレイしたのは社会思想新社というゲームサークルの同人誌で、訳者は浅田豊健氏です。
『龍の瞳』という本のタイトルは、FF50巻『火吹山ふたたび』の18番にも出てきています。FF50巻刊行当時は、この巻でFFシリーズが完結する予定だったために、こういった「総集編」めいた演出があったのかもしれません。そして、FFシリーズ延長という想定外のことが起こり、FF50巻の18番が『龍の瞳』復刻版のきっかけとなり、ついには『龍の瞳』の復刻が現実のものになったとも言われています。
本書は、もともと1982年に刊行されたリビングストン著『Dicing with Dragons』というTRPG(テーブルトークRPG)の入門書の中に収録されていた作品でした。項目数も134項目とかなり短めで、能力値や戦闘システムなども今のFFシリーズのそれとはだいぶ異なっていました。そして、約20年の月日を経て、項目数も従来のFFシリーズと同じく400項目余りに構成し直されたリメイク版が2005年にウィザードブックスから刊行されました。
ここでは、1982年版(以下旧版)と2005年版(以下新版)のそれぞれの作品について見ていきたいと思います。