『火吹山ふたたび(原題“Return To Firetop Mountain”)』は、FFシリーズ50巻目の作品です。著者はイアン・リビングストンです。日本では、FFシリーズ34巻目以降は未邦訳となりました。私がプレイしたのは、ゲームサークル「スーパーゲームズワークショップ」のZED氏が翻訳した同人誌版です。
当初、リビングストンはこの『火吹山ふたたび』をFFシリーズ最終巻にするつもりだったと言われています。確かに、この作品でFFシリーズを締めくくろうというリビングストンの考えは尤もです。FFシリーズの原点である火吹山に始まり、火吹山に終わるのは妥当な線ではあります。しかし、ここに不測の事態が生じました。この『火吹山ふたたび』の売れ行きが当初の予想をはるかに上回ったため、FFシリーズは60巻まで延長されることとなりました。59巻までは刊行が現実のものとなり、一時刊行中止となった幻の60巻も一昨年刊行されるという事態にまで至ったわけです。
さて、気になる内容ですが、FF1巻『火吹山の魔法使い』と比べて難易度や雰囲気がガラリと変わっています。
FF1巻では火吹山に着いてからのスタートとなりますが、本作品は鉄床村を出てからのスタートとなります。火吹山へ着くまでが一苦労です。火吹山に着くまでに2つの品物を《深海》のダラウンドから購入しないと、終盤に必要なアイテムが揃わずやはりDEAD ENDとなります。そして《深海》から購入するためには予め別のアイテムが必要です。この辺りがリビングストンらしい必須アイテムの多いパターンと言えるでしょう。
火吹山の入り口付近は10年前(FF1巻)のことが思い出されます。例えば、オーク5匹の骸骨(210番)がネズミの骨で言い争っている場面はFF1巻の159番、レバー前のゴブリンの拷問部屋(87番)はFF1巻の102番、レバーの向こうの憩いのベンチ(3番)はFF1巻の58番にそれぞれ対応します。また、地底の川の南岸(158番)はFF1巻218番に対応し、北岸の分かれ道(216番、364番)はFF1巻の214番にそれぞれ対応します。これらのように10年前(FF1巻)と現在(FF50巻)を比べて「懐かしい」と思う場面もいくつかあります。しかし、全体的な雰囲気はガラリと変わっています。
DEAD ENDの罠が多くなり、しかもその罠の描写が恐ろしいものとなっているため、全体的に不気味で恐ろしい雰囲気が漂っています。最悪の場合は、自分の左腕を切断されてザゴールに移植されてしまうという非常に長い苦痛を伴ったおぞましい死を迎えることになります(これが最悪かどうかは読む人次第ですが)。要所要所の関門も難易度が格段に上がっています。出題官か奈落頭のどちらかの関門は必ず通過しなくてはならず、しかも片方の関門はたとえ通過しても最終的にはクリアできなくなる、いわば“罠”の関門です。また、洗脳師の謎(371番)も難しい関門となっています。出題官の出題した問題の解答や洗脳師の謎かけについては研究室の方にて掲載します。
個人的にこの作品で印象深かったのは「羊の目玉喰い競争」とハーフエルフのズート・ジマーです。
「羊の目玉喰い競争」(326番)は一見気持ち悪い感じがします(というより本当に気持ち悪いのです)が、羊の目玉は栄養豊富で体力点1を得られます。しかし、この目玉喰い競争において蛮人には絶対勝たねばならず、しかもその勝敗の行方がサイコロ任せというのはいただけません。
ズート・ジマーはこの作品の中で最も不幸な存在です。ザゴールの撒き散らした疫病で母親を失い、金神��(きんしんちょう)で主人公を火吹山へ送った後、火龍の炎で目をつぶされて火吹山の牢獄に幽閉され、主人公に助けられるも落とし穴に落ちてしまうという至極悲惨な運命です。