フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第139回】神との最終決戦

 ついに最終決戦ね。戦闘BGMが違うことから、それがわかるわ。



 こいつさえ倒せば、人間界に真の平和が訪れるとまではいかなくても、神々の脅威は消え去るわよ。



 アレクは氷天三連突、あたしは国歌、リーゼルは聖なる息吹、そしてクリスはヴァルキリーズジャベリンを使うわよ。ラスボスだからって、これまでの戦法を変えることはないわ。
 あたしの国歌で全員の各戦闘能力が増加し、他の3人の攻撃でバルドルを襲った。



 お前1人のときに神々の瞑想をしたって意味がないのよ。あたし達の攻撃力の方が高いんだから。
「お前……だと? たかが人の子の分際で何たる口の利き方だ。それから、1人と言ったな。ならば、これはどうだ?」



 しょうらい? どういうこと?



 アークデーモンが現れたわ。確か、ヘイムダルもエンジェルナイトを呼んでいたわよね。流石は強硬派を束ねる力を持つだけあるわ。でも、やり方は同じよ。ヘイムダルと同じで一度につき1体しか呼べないようだし。



「ぬおおおお、小癪な。招来せよっ!」
 また新たなアークデーモンが現れたけれど、バルドルのHPがさっきより減っている分、脅威も減っているわ。



「なぬ。まさか、このわしが負けるのか……。」
 当たり前よ。今、天命を得ているのはあたし達の方なんだから。



 ついにバルドルを倒したわ。
 アレク隊随一の攻撃力を誇るクリスの手にかかっては、バルドルもひとたまりもなかったようね。



 このゲーム、ラスボスも経験値を持っているのね。ウィザードリィでも、ラスボスを倒したときに経験値が得られるからまあいいわ。
 それより、バルドルの奴、まだ息があるみたい。
「くそう、たかが人の子の分際で、神に逆らうとは……」
 まだ言っているわ。お前みたいな神の風上にもおけないような輩は、いない方が人間界のためだわ。
「エル、フレイヤ、今だ! バルドルにとどめを刺して仇を討て!」
 アレクの怒鳴り声であたしは我に返った。そうよ。仇討ちよ!
 あたしの放ったスナイパーズストライクは3本とも正確にバルドルの両目と腹部を射抜いた。
「グオオオオオオォォォ……!」



 ええ、分かっているわよ。これからお前を殺すのよ。
 光の神が光を失うって、ある意味皮肉よね。あはっ。あたしの両目からは自然と涙があふれていた。
 そして、とどめはフレイヤに任せたわ。
 なぜですって? それは、あたしのおじい様に直接手を下したのはヘルだからよ。ヘルはあたし自らの手でとどめを刺したわ。だから、バルドルはフレイヤが討つべきよ。
「オーズの仇、思い知れ!」
 フレイヤは涙を流しながらも気丈に言い、形見のオーズの剣をバルドルの首めがけて振り下ろした。両目の見えなくなったバルドルに避ける術はなかった。
 バルドルの首がヴァルハラ宮殿の赤い絨毯に転がった。しかし、血が流れることなく、バルドルは消滅した。

 全ては終わったわ。
 あたしは、バルドルを倒した達成感と緊張感、そして虚脱感に満ちあふれ、その場で意識を失った。
 そしてそのまま昏倒して……しまうところを誰かに抱き止められた。


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2022/09/23


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