フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第28回】故国への潜入

 先程素通りした三日月湖へ。



 今度は入れたぞ。
「あ、こんなところに階段が。」
 一番初めに気づいたのはエルだった。
 いよいよ潜入開始だ。

 一方、アルザス城では……。



「しかし、ベルニエ将軍、バイエルン王国軍を率いているのはアルベルト公爵とのことです。」
「アルベルトだと? バカな! 奴は我らの味方ではなかったのか?」
「間違いありません。旗に書かれている『天下布武』の文字……あれは間違いなくアルベルト公爵のものです。」
「そうか。それは厄介じゃな。アルベルトの奴めが如何なる手を打ってくるか、見当もつかぬ。じゃが、兵士数が3000ならば勝算はあろう。」
「なるほど。で、野戦をしかけましょうか。」
「うむ。その方は全軍を集めよ。我は野戦の準備をする。」
「承知しました。」

 誰だ、こいつらは? 上の兵士は主君に忠実そうな顔をしているが、下のおっさんはどう見ても悪役にしか見えない。故川合伸旺氏の悪代官ぶりも、このおっさんには及ばないだろう。
 城へ潜入している我々は、無論そんな話など知らない。これがメタ構造というものだろう。
 我々アレク小隊はアルザス城の地下に潜入することに成功した。諜報部隊のソフィーが先頭となって歩く。



 待った。迂闊に歩くと……。
 「キャーーーーッ!」
 エルの悲鳴と足下の床が崩れるのとがほぼ同時だった。我々は落下していく……。

 私の顔の上に何か柔らかい感触がある。ちょうどその柔らかい感触が私の鼻と口を塞いでいて、息をするのもままならない。



 クリスの言葉を聞いて、私は落下するときに無意識のうちに一番近くにいたエルをかばっていたことを思い出した。リーゼルとクリスとソフィーは床にぶつかったが、お尻を打った他は特にこれといった怪我はしていないようだ。問題はエル……のお尻の下にいる私とエルの状態である。私はエルを抱きかかえた状態で見事に着地したが、その後バランスを崩して床に倒れ込んでしまった。床に倒れた私の顔の上にエルがまたがる状態となった。これが何を意味するか、もうお分かりであろう。偶然とは言え、エルは少女として非常に恥ずかしい姿を私に晒してしまったのである! しかも、エルは穿いていない
「エル、早く隊長からどきなさいよ。」
 リーゼルがエルを責め立てる。普通こういう場面では私が何か言われる可能性の方が高いが、エル以外の3人の私に対する非難は一切ない。
 エルは3人の冷たい視線の中、渋々私から離れた。しかし、その間もエルの秘密の部分が丸見えになっていた……。
「アレク、私のスカートの中見たでしょ。後で責任取って、私をお嫁にもらいなさいよね。」
 その言葉を聞いた瞬間、私は一瞬心が凍り付いた。
 その後は予想通り他の3人がエルの言葉に反論し、4人で口論が始まった。こうなるともう収拾がつかない……。
 取り敢えず、先へ進みましょうか。
 先には、猛獣がいた。



 この猛獣、後ろの梯子を守っているように思える。つまり、この洞窟は我々のような侵入者を阻むための罠が仕掛けられているということだ。彼女達も口喧嘩どころではなくなったようだ。
 上へ戻りたいのならば、この猛獣を倒すしかなさそうだ。



 久しぶりの戦闘だ。しかも、戦闘BGMは通常戦闘なのに、逃げられない。それはそうだろうなあ。
 久しぶりの戦いなので、スキルを忘れている面がある。エルの葬送行進曲はこの敵には効かなかった。相当強い敵なのだろう。最後は私がとどめを刺した。



「って、戦闘に参加していないあんたが言わないでよ。」
 エルがすかさず突っ込む。
 リーゼルが私に尋ねる。
「でも隊長、アルザスの間道って、こんななの?」
 いや、以前はこうではなかった。洞窟はあったが、落とし穴もないし、こんな猛獣はいなかった。恐らく、現在のアルザス城城主が潜入ルートを阻むために拵えた罠なのだろう。
 この先も罠があるかもしれないが、先へ進むしか道はない。



 梯子の上は、洞窟の続きになっていた。
 梯子の右下にあるサークレットを手に入れた。



 落とし穴の先に見える階段は、私達が潜入してきたスタート地点だ。
 帰り道は別の場所を探すしかない。取り敢えず、奥へ進もう。
 道中1000マルクを入手、そして魔法陣にたどり着いた。魔法陣の前には岩があったが、何の問題もなく岩をどかした。
 イザール温泉の魔法陣以来である。



 私の記憶が正しければ、洞窟の先に上り階段がある。その先はアルザス城へ直通しているはずだ。



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2021/03/26


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