フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第29回】アルザス城の元兇



 ついに洞窟の終点まで来た。ここからは手筈通りに……。



「オッケ〜」
 エルが返事をする。と、私の手にも花火が……。リーゼルが私に花火を持たせたのだ。
「楽しいわよ。」
 クリスにも誘われる。。こうなったら全員で花火を楽しむとするか。
「じゃあ、一気にいくわよ!」
 ソフィーの掛け声とともに、一斉に花火に火をつけた(って、なぜソフィーが陣頭に立っている?)。

 その頃、アルザス城では……。



 異変に気づいたベルニエの視界に止まったのは、エルの姿だった。



 ベルニエが狼狽(うろた)えるのも無理はない。何しろ、城内の物々しい警備とは場違いのエルフの少女が現れたのだから。心理的な不意打ちは成功した。
「むむ……一体何が起こっておる!?」
 ベルニエは困惑するばかりであった。兵士の一言でベルニエは我に返った。
「敵襲だ!」
「ええい、狼狽えるな!!! 態勢を立て直し…」
「そうはいくか、ベルニエ!」
「なに、お前は……アレクサンデル・イザーク・フォン・アイヒホルン!」
 よくもまあ、そんな長ったらしい本名を覚えていたな(寿限無よりは短いが、当人の私ですら忘れかけていたわ)。こちらとしては光栄だが、しかし、それとこれとは別だ。ベルニエよ、貴様の首をもらい受ける!



 明らかに中ボス格なのに、普通の戦闘BGMになっている。これはどういうことだ。ベルニエは本当は雑魚敵ということか。
 まあいい。戦おう。
 連続攻撃で、アレシア兵のうち一人を倒すことができた。しかし、アレシア兵のもう一人がエルに向かってブラインドの魔法をかけたきた。ブラインドは盲目という意味もあり、文字通り視力を奪う魔法だ。目が見えなくなると心理的にも大きなダメージを受ける。敵もそれだけ強くなってきている証拠だ。
 ブラインドの魔法をかけられたエルとクリスには無理をさせず、休ませる。恐らくこの呪文は永続的なものではなく、一時的なものだろう。リーゼルと私の2人でベルニエを討伐する。
 そして、ついにベルニエを討伐することに成功した。



 私も漸くレベル14になった。今や、私が彼女達に追いつくのがやっとという状況だ。特にHPが……。



 ベルニエよ、気づくのが少々遅かったようだな。戦争においては、ほんの少しの油断が命取りにつながる。24時間体制で緊張していたら身がいくつあってももたないが、状況を見極めるべきときに気づかぬ輩は死あるのみ。
「さすがだな、我らが到着する前に、敵の大将を倒すとは。」
 これはこれはアルベルト公爵。しかし、なぜ公爵自らが?
「ふふふ、忘れたのかもしれぬが、私も魔術師の端くれ。敵を眠らせるくらいは造作もない。」
 そして、アルベルト公爵の前に立ちはだかるのはハスラーとザウアーだった。
「お前たち、この俺様が来る前に、敵の大将首を取るとは、畏れ入ったぜ。俺もこいつの首を狙っていたのによ。」
「はっはっは、ザウアーにはまだしてもらうことがあるぞ。」
「わかってまさ〜、城に残った敵の掃除ですな。そいつらで我慢しますぜ。」



 無益な殺生はしないアルベルト公爵ならではの命令だった。
「じゃあ、行ってきますぜ、将軍……じゃなかった、公爵殿下。」
「どちらでも構わん。何だったら呼び捨てでも構わんぞ。」
「冗談が過ぎますぜ、将軍。では、ちょっくら行ってきまっさ〜。」
 ザウアーとのやり取りも、アルベルト公爵の人徳が為せる業なのだろう。
 ザウアーを見送った後、アルベルト公爵は徐(おもむろ)にこちらを向いた。
「さて、アレク隊長達もご苦労であった。疲れたであろう、本陣で休むがよい。明日、詳しい話をしよう。」
 ありがとうございます。アルベルト公爵のお言葉に甘えまして、休ませていただきます。
 さあ、ゆっくり寝るぞ。私は真っ先にベッドに入ろうとした。……しかし、他の4人がそう簡単に眠らせてくれるわけもなかった。



「それはこっちのセリフよ! なんであんた、隊長と同じベッドに入っているのよ!」
 クリスが怒った表情を見せる。カールに対する怒りの表情以来だな。
「いいじゃん別に…。減るもんじゃないんだし。」
「減るの!」
 リーゼルもエルに憤慨する。とここで、ソフィーが抜け駆けを試みる。
「まあまあ落ち着いて。ここは代表で私が隊長と添い寝をするから、それで丸く」
「収まらないわよ!」
 エル、リーゼル、クリスの三重奏が寝室中に鳴り響いた。
 それを見ていたシスターの方が口を開いた。
「あら、アレク隊長、随分とモテますわね。何でしたら、ベッドを5人分くっつけましょうか。」
 いえ、結構です。しかし、そう言う前に、既に他の4人が同意していた。
 こうして、私は例の格好で(4人に四肢を)拘束される形で床に就くことになった。一人で自由に寝ることも叶わないとは。しかし、数か月も地下牢で一人きりで過ごしていたアルベルト公爵に比べたら贅沢な悩みなのだろう。そう自分に言い聞かせた。
 今のご時世、三密と非難されても文句は言えないだろうなあ。



 ハスラーと、次なる戦いに備えて話し合いをする。



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2021/06/02


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