フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第23回】災禍の収束

 ロールシャッハ城の当面の災禍は絶った。城下の反応は……。



 みんなに笑顔が戻ってきたようだ。城の厳戒態勢も解除されている。
 ということは、前から気になっていた場所へも行けるのでは。



 予想通りだった。冷静に考えるとこれは泥棒行為なのだが、まあもらえるものはもらっておきましょう。
 そして、登城する。



 城内の様子を見て回り、アルベルト公爵のもとへ。元気そうで何よりだ。
「エル殿、具合はいかがかな?」
「私は大丈夫よ。公爵様は?」
「先日のエル殿の術のお蔭で私は頗る調子が良い。…さて、……本題に入ろう。」
 公爵は急に厳しい顔つきになった。
「貴殿達の尽力によって、私はここに無事に戻ってくることができた。しかし、ゆっくりはしておられぬ。謀られたとは言え、私も領主の端くれ、それ相応の責めを負わねばならぬ。」



「我が首を差し出すので、配下の兵士達の命は助けていただきたい。そのような文面である。」
 ここで、すかさずソフィーとエルが返す。





 アルベルト公爵はソフィーとエルの訴えには答えず、クリスの方を向いて徐に口を開いた。
「クリス殿、あの世で貴殿の叔父上にも詫びねばならぬな。」
「でも、叔父もそれは承知の上で内戦に臨んだはず……」
「いいんだ。覚悟はできている。ところで、アレク、この手紙をバイエルン城へ届けるついでと言ってはなんだが、ペンダントをカールに返してやってはくれぬか。」
「承知しました。」
「では、頼んだぞ。もしかすると、これで貴殿に会うのは最後かもしれぬが、貴殿達のことは来世で先代の国王たちへの語り草にさせてもらおう。」
 私は無言で公爵からペンダントを受け取る。誰も何も言えなかった。
「失礼します。」
 それだけ言うのがやっとだった。
 城を出た後、リーゼルが口を開く。
「ねえ隊長、公爵様を本当に打ち首にする気?」
「公爵も相当な覚悟だったんだ。私達が口を挟む筋合いはない。それに、私が打ち首にするわけではないからな。」
 たとえ公爵が公開処刑されるとしても、今はこの書状を女王陛下に渡すことだ。そうしないと始まらない。
 我々はロールシャッハ城を後にする。





 イザール大橋の陣は東西ともに撤去されていた。ドイチュのベルリンの壁が崩壊したかのようだ。やはり国境がないというのは気持ちがいい。
 私たちはバイエルン城へ急ぐ。



 温泉にも寄ったが、異常なし。そう言えば、誰か忘れている気がするがまあいいか。フォルゲン伯爵と同じく影の薄い存在ということだ



 思い出した。パウラだ。だけど、パウラはもう登場しないんじゃないの?
 あれから何回か温泉に訪れたが、パウラが登場する気配はなかった。そして、さっきもいなかった。
 嫌だと言ってもどうせ物語の進行上会いに行かせられるんだろう。
 わかりました。本当は嫌だけれど顔を出していいよ。
 でも、さっきは温泉にいなかったぞ。
「隊長、温泉じゃないわよ。」
 温泉じゃないの? じゃあ一体どこにいるんだ?
 そんな私の疑問を察知したかの如く、ソフィーはパウラのいる場所へ向かう。
 普通はパウラが私を出迎えて然るべきだ。よくこんな礼儀知らずがヴァルキリー隊の隊長なんぞ務まるものだ。


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2020/05/29
2020/06/26 一部修正


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