奈落の帝王(プレイ日記)


【第23回】 突然変異

 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 … 12/18
 運点 …  9/10
 時間表 … 13
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡、シージュのにおい玉の薬草を食べた
 金貨 … 4
 食料 … 1
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉、銀の呼び子、宝石を鏤めた胸当て、光沢のあるブーツ、金の拳、真珠を嵌め込んだ頭蓋骨、縞瑪瑙(しまめのう)の笏、水晶球

〔68〜〕
 突如、部屋の向こう側の扉が耳を劈(つんざ)くような音を立てて開き、大男が入ってきた。その背丈は優に15メートルもあろうかという巨人だった。普通のビルだとだいたい5〜6階の高さくらいだから、その大きさは察してなお余りある。そして、その巨大な体を隠すように優雅なローブをはためかせている。大男の顔を見た瞬間、全身に震えが走った。それは、以前地上で倒したあのバイソスだったからだ。やつれて意地悪そうな顔はその大きさ故よりいっそう恐ろしく見える。恐怖心のあまり何もできない私を尻目に、バイソスはせっかちにゴブレットの方へ大股で歩いていく。
「もう少しで遅れるところだったぞ、金粉拾い。失策をしたときの罰はわかっておろうな!」
 体が大きいだけに、声も大きい。私は恐怖に打ち震えながらも、地上で戦ったときのことを思い出した。あのときは謎かけ盗賊の瓶を使ったお蔭で何とか勝つことができたが、もう謎かけ盗賊の瓶は使えない。シージュのにおい玉の薬草を食べたとは言っても、この体格差では勝負にならないだろう。如何に蟻が力持ちであっても、象に踏みつけられたらまず払いのけられないのと同じだ。そんなことを考えながら、私はバイソスがスープを飲むのを見守る。
「ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…あーまずい〜〜〜…もう一杯。」
 そのときだった。先ほどバイソスの青汁を飲んだときの吐き気が強く甦ってきた。思わず息を詰まらせ、体をねじり、地面にのたうち回る。
「金粉拾い。何のまねだ?」
 バイソスが問い詰めるも、あまりの痛みにその声は聞こえなかった。体が膨れあがり、マントがちぎれ、更に膨張を続ける。バイソスは私の巨大化を見て、呆気にとられている。
「だめだ!よせ!奈落の帝王は1人だけだ!」
 バイソスは怒鳴り、強く息を吸い込んで、凍りつくような息をこちらに吹きかけた。しかし、私の肌の上で固まった水晶はすぐに溶けて滴り落ちた。
 このとき、バイソスは初めて戸惑った表情を見せた。
「あっ、おまえは私のかわいいスズメバチたちを殺したあの……」
 私はバイソスに向かっていく。だが、バイソスは壁を殴ってぎざぎざの穴を開け、そこから逃げ出した。即座に追おうとしたが、私はバイソスと違い、この体にまだ慣れていない。こんなぎざぎざの穴を通ったら怪我をしそうだ。私は入ってきた扉に向かった
 入口の間はバイソスの召使いでいっぱいだったが、体の大きさがまるで違うので簡単に蹴散らすことができた。宮殿の外に出ると、バイソスは霧の彼方に消え去るところだった。追う術はないのか。と、ここで足下を見る。そこには、ひび割れた水晶の床が見えた。この足跡はバイソスに違いない。私は全速力でバイソスの足跡の方へ向かう。漸く追いついたとき、バイソスは鎖を地面の輪から引きちぎったところだった。鎖が上へと漂っていく。バイソスはこちらを見て嘲笑う。鎖……思い出したぞ、この鎖は虚空に浮かぶ牢獄だ。この鎖を漂い去らせたら最後、牢獄にいるカラメールの人々の魂は永遠に虚空を彷徨い続けることになるだろう。私は即座に鎖をつかんだ。バイソスは私が鎖をつかんだのを見て悪態をつき、こちらに殴りかかった。バイソスの鉄拳が腹にめり込む。グエ〜〜ッ!バイソスの青汁をリバースしそうになったが、ここは我慢だ。命を落としても鎖は離さないぞ。私は鎖を体に巻きつけ、バイソスにお返しのパンチを繰り出した。
「グエ〜〜〜〜ッ!」
 バイソスは驚いて、ふらふらと後ずさる。さあ、バイソスとの戦いだ……あれっ?(今回は本当に“あれっ?”が多いぞ)
 水晶がバイソスの体じゅうで固まりだした。水晶はバイソスの体にしみ通り、全身に広がって、彼を水晶の彫像に変えた。どうやらさっきの一撃がバイソスの不意をついたらしい。
「あのー…」
 私はバイソスの彫像をつついてみる。途端にバイソスの彫像はバランスを崩し、床に倒れた。
 がっしゃーん!
 床には無数の石英のかけらが飛び散った。まるで水晶玉が床に落ちて割れてしまったかのようだった。
 最後は何とも呆気ない勝利…。思い起こせば、この冒険の初戦はワイン塗れになり(第4回参照)、そして最終戦は呆気ない勝利という、“アランシアの英雄”とは程遠い戦いばかりだったなあ……。この冒険における戦歴を思い出しながら、鎖を自分の方へ手繰り寄せた。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは太い赤字
 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 … 12/18
 運点 …  9/10
 時間表 … 13
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡、シージュのにおい玉の薬草を食べた
 金貨 … 4
 食料 … 1
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉、銀の呼び子、宝石を鏤めた胸当て、光沢のあるブーツ、金の拳、真珠を嵌め込んだ頭蓋骨、縞瑪瑙(しまめのう)の笏、水晶球
 (Save Number:108)

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2013/12/31


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