奈落の帝王(プレイ日記)


【第21回】 水晶の平原

 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 …  6/18
 運点 …  10/10
 時間表 … 13
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡
 金貨 … 4
 食料 … 4
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉、銀の呼び子

〔383〜〕
 砂の圧力に体がつぶされそうだ。まるで、砂とおしくらまんじゅうをしているようだ。アリジゴクの巣にはまった蟻の気持ちが分かるような気がする。そんなことを考えていると、体が宙に放り出された。漸く砂を抜けたようだ。眼下には渦巻く霧が広がり、周囲では星明りの荒涼とした空間から大きな音が響いてくる。このまま床に激突するのだろうか?加速度が増してくるうちに、やがて意識を失う。
 目を覚ましてみると、私は滑らかで冷たい地面に蹲(うずくま)っていた。周りでは様々な形や大きさの魔法の宝が、ゆっくりと落ちてくる。濃い霧が渦を巻き、見通せるのは私のすぐ近くだけで、その中に奇妙な形をしたものが見える。ついに私はバイソスのいる奈落に着いたのだ。さて、これからどうしようか。そう言えば、先ほどのメジェム−ノソスとの戦闘で貴重な体力点を4点も失った。残り6点では何かあったときにまずい。そこで、ここで食事にする。背嚢をきつく締めていたお蔭で、幸いにも食料はほとんど濡れていない。一休みして食事をとりながら(体力点+4)、アレセアの言葉を思い出した。――そなたの持っている薬草の塊を謎の境域で食せば、そなたは帝王の水晶の息から身を守ることができる。――そうだ。今こそシージュのにおい玉の薬草を食べるべきときだ。私はシージュのにおい玉の口を切って、薬草を出した。食べてみると……うっ、苦い!ロー●製薬のパ●シ●ン液みたいだ(本当か?)。〜〜苦味が効きます〜〜。だが、このパ●シ●ン…いや、におい玉の薬草を食べると、うれしいことに体が温まってきた。これで準備万端だ。待っていろよ、バイソス。とりあえずは、あたりに散らばるものを調べてみる
 あたりに散らばる魔法の品々は数え切れない。そのうちのいくつかが目に止まる。宝石を鏤(ちりば)めた胸当て(装着するには小さすぎる)、大きな光沢のあるブーツ(明らかに羽でできている)、金の拳真珠を嵌め込んだ頭蓋骨縞瑪瑙(しまめのう)の笏、ビロードの台にのせられた水晶球…このくらいか。そう言えば、バロロから丸盾をもらったときにバロロへ何もお返しをしていなかった。バロロへの手土産代わりに何か持っていくか…。あとは、メマとアレセアと3人の貴族の分…。そうすると、6つ全部持って行くことになる。何と欲張りな私……。ともあれ、私は霧の中を進むことにした。
 何だか足下が滑りやすいな。雨でも降ったのか。いや、違う。この地面は水晶でできているのだ。まさしく水晶の平原といったところか。渦巻く霧の中を歩き進むうちに、半透明の床の表面下で何かが動くのに気づいた。霧に音が消されているが、甲高いひゅうっという音が心にしみ渡る。ここで運だめしをする。DDは…1+2=3<10でと出た(運点:10→)。銀色の形をした何者かが頭上をかすめ、地面に激突して数多の牛乳のようなしずくに変わった。そして、再びグロテスクな翼ある爬虫類――エクトヴァルトという――に姿を変え、手足のない半透明の体を異常な力で脈動させた。ふくらんだ頭から危なげに見える嘴が突き出し、悪意に満ちた乳白色の目がじろりと辺りを見回す。エクトヴァルトは辺りをふらふらと飛び回った後、銀の聖杯めがけて急降下し、聖杯をがつがつ飲み込んだ。エクトヴァルトは聖杯を腹の中で震わせたまま飛び去る。この生き物の正体はよくわからないが、今の私にエクトヴァルトを攻撃する手立てはない。私は空飛ぶ化け物が飛び去るのを見守るばかりだった。
 私は濃い霧に取り巻かれ、単調な水晶の平原の上に立っている。道しるべになってくれそうなのは、濃密な白い蒸気を通して伝わってくるくぐもった音だけだ。いくつか種類の異なる音があり、それぞれ別の方向から聞こえてくる。うめき声ときしみ音とささやき声だ…。まずはうめき声の方へ向かってみよう。
 うめき声をたどると、巨大な金属の輪が地面に埋め込んであるところに出くわした。輪からは私の体ほどの太さの鎖が空中に伸び、その先の雲の辺りから悲しげなうめき声が聞こえてくる。ちょっと鎖を登ってみるか。金属の輪に攀(よ)じ登り、ゆっくりと滑らかな金の鎖を登り始めた。木登りはジパングでもよくしたが、鎖登りは初めてだ…。ここでをする。Dは…。しまった、手が滑った!私はずるずるとすべり落ちて、硬い水晶の床に落下した。幸いにも地面からそれほど離れていないところだったので体力点−1で済んだ。もう一度挑戦してみるが、今の失敗で幾分か恐怖心に苛(さいな)まれている。は…。てっぺんまであと少しというところでまた手を離してしまった。今度は体力点−5だ。三度目の正直…は…。今度は成功だ。私は雲の帯を抜けて、さっき落ちてきた星明りの虚空に出た。頭上には、牢獄の壁が浮かんでいた。まるでヘリウム風船だ。囚人たちの助けを求める声が聞こえてくる。うめき声の正体はこれだったのか。私はアレセアの小屋で見た光景を思い出した。鎖の端に着いてはみたものの、牢獄には入口はなく、太い鉄格子があるだけだった。牢獄を覗き見ると、見慣れた顔があった。地上でバイソス達に操られていた農民兵士たちだった。ついにカラメールの人々の魂を見つけ出したが、彼らをここから出す手立ては見つけられなかった。鉄格子は曲げられそうにないし、第一この牢獄から抜け出せたとしても、何人の囚人が無事に鎖を降りられるだろうか。別の方法を考えなくてはならない。私は鎖を降りた。次は…その前に、休憩だ。さっきは鎖登りに夢中になっていたから気づかなかったが、体力点はあと4点しかない(3回目のDが4〜5だったら墜落死していた…)。食料がどんどん減っていく(食料−1、体力点+4)。
 次はささやき声をたどる。まもなく、私は霧の彼方までずらりと列をなす、多数の水晶の彫像に出くわす。近寄ってみると、それは水晶の殻の中に閉じ込められた人間と分かった。凍った繭に閉じ込められた人々のほとんどがはるか昔に息絶えており、ミイラ化した顔は苦痛に歪んでいた。彫像のあちこちには傷があり、中には頬に傷があるものもあった。ささやき声の源に近づいていくうちに、以前左手に受けた色の変わる傷跡が疼き出した。そう言えばこの声、聞いたことがあるぞ。声に近づくと、水晶の彫像の一つには元はカラメールの貴族であった裏切者の姿があった。
「助けて!バイソスを倒すのに手を貸しましょう。彼は私の運命を弄んだ挙句、他の失敗した手先と一緒に、ここに置き去りにしたのです。」
 裏切者の姿を見た瞬間、頭に血が昇った。私はキャロリーナ男爵夫人の葬儀でこの裏切者に散々罵られたことを今でも憶えている。
「キャロリーナ男爵夫人の葬儀では散々なことを私に言ってくれたな。泥棒だとか、裏切者だとか、嘘つきの無礼者だとか言いやがって。その言葉をそっくりお前に返してやる!」
 裏切者は、私の大声を聞くと気絶してしまった。そう言えば、以前も私の大声で参っていたことがあったようななかったような……。ともかくこれでは裏切者を連れて行くことはできない。バイソスに弄ばされて嘆くくらいならば始めから裏切りなんかするなよな。ということで、裏切者は置き去りにします。私は更に水晶の彫像の間を進むが、他の彫像からは何も聞こえてこない。間もなく前方で不吉なきしみ音がした。
 きしみ音に注意して進んでいくと、水晶の床の下を更に多くの影が飛んでいった。きしみ音はますます大きくなった。突然、足下に亀裂が走り、水晶が砕けた。あっという間の出来事だった。黒い影が現れて、私に黒い水を浴びせた。その影は猛スピードで雲へと上昇し、私はぐらぐら揺れる水晶の上で必死に足場を探す。ここで技術点チェックDD<技術点(=10)で成功する。DD=4+4=8。何とか成功だ。私の乗っている水晶の床がひっくり返り始め、辛うじてそこから飛びのくことができた。すべりやすい水晶の床に着地した。うまくバランスを保てず、つるつるする表面に這いつくばる。黒い影が数メートル先の地面に着地し、こちらに向かってくるのを見る。
 黒い影の正体はアネモラスという汚らわしいほど太っている化け物だった。手足はないが、強力な尾を使ってこちらへ向かってくる。頭のあるべきところにはピンクがかった触手が何本ものたくっていた。その姿を見て一瞬ぞっとするが、愛用のファングセイン鋼の剣を握り締めると、すぐに勇気が湧いてきた。アネモラスよ、来るなら来い!
 〔アネモラス〕 技術点  5     体力点 10
 〔批判屋〕   技術点 10(+1)  体力点 8
[戦闘ラウンド(青字DDの値)]
[1R] ×〔アネモラス〕5+=12 < 18=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔アネモラス〕体力点−2=8
[2R] ×〔アネモラス〕5+=14 < 18=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔アネモラス〕体力点−2=6
[3R] ×〔アネモラス〕5+=11 < 16=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔アネモラス〕体力点−2=4
[4R] ×〔アネモラス〕5+=11 < 20=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔アネモラス〕体力点−2=2
[5R] ×〔アネモラス〕5+=11 < 19=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔アネモラス〕体力点−2=0
 外見はグロテスクだが、如何せん動きが鈍かった。のたくる触手にさえ気をつけていれば恐れるには及ばない。アネモラスをぶくぶくした塊にするが早いか、更に2体が水中から出現した。私は身構えるが、それよりも早く3頭のエクトヴァルトがアネモラスに体当たりをしたのだ。この隙に私は逃げ、きしみ音の方へ向かった。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは太い赤字
 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 …  /18
 運点 …  /10
 時間表 … 13
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡、シージュのにおい玉の薬草を食べた
 金貨 … 4
 食料 … 
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉、銀の呼び子、宝石を鏤めた胸当て光沢のあるブーツ金の拳真珠を嵌め込んだ頭蓋骨縞瑪瑙(しまめのう)の笏水晶球
 (Save Number:357→3)

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2013/12/17


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