奈落の帝王(プレイ日記)


【第3回】 謎かけ盗賊

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 10/10
 体力点 … 18/18
 運点 … 10/10
 時間表 … 2
 特筆点 … なし
 金貨 … 5
 食料 … 5
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉

〔139〜〕
 自分のなりすましがあったことで聊(いささ)か消沈気味のまま、馬に戻る。ほどなく、再び森林地帯に入った(《時間表》のますにチェック)。道なりに進んでいくと、行く手に粗末な防御柵が見えてきた。馬を乗り入れると、たちまち十数人の好奇心の強い村人たちに取り囲まれた。これまでに出会った無愛想な村人とは違うようだ。この村には騙りは及んでいないらしい。ここでなら暖かいもてなしを受けられるだろう。思ったとおり、家に招かれ、食事と酒をごちそうになる(体力点+4ですが、もともと原点です)。素朴な村人とすぐに打ち解け、楽しいひとときを過ごす。
 しばらくすると、小屋の外で騒ぎが起こり、数人の村人が外へ出て行った。何だろう?…しかし、今は客人の身、下手に首を突っ込まぬが吉であろう。家の中で待っていると、まもなく一人の村人が戻ってきて、私を家に招きいれた主人役の一人に何やら耳打ちをした。…大体客人の前で耳打ちとは客人に対して無礼千万であろうに。耳打ちをした村人はこちらには一言も話さず、他の村人に手ぶりをした。彼らは一人ずつこちらに丁寧にお辞儀をして一列になって家を出た。家の中に一人取り残された…そして家の戸が閉められた。…何か嫌な予感!
 突如、閂の下りる音がした。家の中に閉じ込められたのだ!慌てて家の戸を開けようとする。しかし、戸はびくともしなかった。
「おい!どういうことだ!開けろ!」
 軋(きし)るような声が家の外から戸越しに聞こえる。
「ようこそ、守護者さま。予言通り、われらをこの呪わしき災難からお救いくださるのですね!どうか、食事をお召し上がりになり、よく休んでくださいまし。これからの試練に備えてくださいませ」
 …早い話、農民にだまされたというわけか。どうやら家ごと丸焼きにするつもりはないらしい。今は村人の言うとおり、休むしかないか。しかし、それにしても「呪わしき災難」とは何だろう。そんなことを考えながら、天井の煙出しから家の中に差し込んでいる月の光を見上げた。村のくぐもったざわめきは次第におさまり、川の虫の羽音や鳴き声がそれにとって代わる。時間が経つにつれ、微かなうなりはだんだん大きくなった。やがて、近くの虫の音を掻き消して、異常なきしみが聞こえた。外にいる村人が悲鳴をあげ、月が恐ろしいうなりの源によって掻き消される――何かがいる!煙出しから蛇のようなものが降りてきた…。いや、蛇ではない、ロープのようだぞ。やがて、煙出しから奇妙なブーツが現れた。と思うと、けばけばしい服を着た人物がロープを伝って、軽々と降りてきた。これは目立つわ。何しろ、彼の衣装は色鮮やかで、この村にはまるで場違いなのだから。
「やあ、旅の人!私は人呼んで、謎かけ盗賊。あなたを助けに来ましたぞ。道中ずっと目を光らせていましたがね、あなたはここまで、なかなかよくやってこられた。」
 …やれやれ、この人にも見張られていたのか。いったい何人見張っているんだ?私をストーカーしたところで何も面白くないと思うのだが。まあいい。
 謎かけ盗賊は体をひきつらせ、含み笑いをし、蛇のようなロープを指差した。
「これが綱の先ですわ。さあ、早く、これをつかみなされ!」
 果たして彼を信用してもよいものだろうか。しかし、この家の煙出しに昇るほどだから彼は相当な腕前だ。その彼がわざわざこんな辺鄙な土地まで来て助けると言っているのだから――よし、ここは一つ謎かけ盗賊とやらに賭けてみよう。ロープをつかむと、たちまち宙に引き上げられた。煙出しを通って更に上昇する。下を見ると、怒った村人たちの声が聞こえてきた。
「あっ、守護者さまをどこへ連れて行くだ!」
 村人たちはどうすることもできない。だが、これで良い。村人たちは「守護者さまが神隠しに遭った」と思うだろう。
 しばらく空中を運ばれ、やがて固い地面に下ろされた。謎かけ盗賊はロープから降りてきて、近くに着地する…鮮やかだ。オリンピックの体操競技に出場したら金メダル間違いなしだ。謎かけ盗賊は、不格好な魚の形をしていた瓶をもっていた。
「たぶん、これが必要になるでしょうな。」
 そういって、瓶をこちらに手渡す(謎かけ盗賊の瓶を入手した)。
「中に入っているのは、もうずっと昔、私が若くて血気盛んだったころに盗んだ、ユーモアのセンスですわ。あなたはもうじきこれのもとの持ち主にお遭いになる。そしたら、返したほうがいいですぞ。ユーモアのセンスをもった悪人ほど扱いやすいものはありませんからな!」
 彼はそれ以上は何も言わず、こちらにウィンクをしてロープを登っていった。…うなりが急に高まり、黒い影は遠ざかっていく。……謎かけ盗賊は、その存在そのものが謎だった……。辺りはまだ暗い。疲れたので、横になって休むことにしよう。
 やがて夜が明けた。ここは道の端だった。更に、馬が少し離れたところで静かに草を食(は)んでいた。鞍に何かが結わえてある。見ると、小さな羊皮紙の巻物だった。
   私はたつよ、君の前
   でも、君はそれに気づかない
   負かした王の言葉にゃ弱い
   美しき歌を残して消える
   さあ、わたしはだれでしょう?
 謎かけ盗賊か?よくわからない詩だが、ともかく彼は悪い奴ではなかったな。この幸運(?)な出会いに運点に+2(しかし、原点数…)される。《時間表》のますにチェック
 さあ、馬に乗って再び旅を続けよう。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは太い赤字
 技術点 … 10/10
 体力点 … 18/18
 運点 … 10/10
 時間表 … 
 特筆点 … なし
 金貨 … 5
 食料 … 5
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶
 (Save Number:331→7)

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2013/06/26


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