死神の首飾り(プレイ日記)


【第16回】 グレイギルドからの脱出

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 16/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ、困ったときの書
 メモ ………… 「自然そのものである母なる神よ、我を助けたまえ」

〔301〜〕
 事態は絶望的だったが、火事場の馬鹿力の如く、私の脳裡にアポテカスの言葉が過る。
 〜〜これから先本当に危険な目に遭ったら、母なる神の助けを呼びなさい〜〜
 そうだ。今こそ緊急脱出……これはシュリュズベリィ博士だったな。まあ何でもいいや。
「自然そのものである母なる神よ、我を助けたまえ」
 突然、私の体は空高く舞い上がる。振り向くと、巨大な白い鷲の爪に捕まえられていることがわかる。すぐにテュチェフ達の姿は私の眼下遥かに小さな芥子粒のようになってしまう。奴らに私の姿は見えないか、あるいは見えたとしてもどうすることもできないだろう。何しろ、今私はフェル=キリンラの寺院の屋根よりも遥か高いところを飛んでいるのだから。こんな体験、滅多にできることではない。グレイギルドの住民達がこちらを見上げていないところを見ると、私達の姿は見えていないようだ。
(この母なる神に助けを求めた者よ)
 頭の中に声が響く。最初は白い鷲が話しかけたと思っていたが、じきに母なる神が直接私の頭に話しかけているのが分かった。
(あちらをご覧なさい)
 私は言われた通りの方を向く。南東の方角だ。そちらには、大きな台地の中心に山があった。



(あれがスターリーチ山、あなたの目的地です。あの頂上にあなたの世界に戻る異界の玄関があるのですよ。)
 母なる神は再び私の頭に話しかける。私も母なる神に返事をした。
(母なる神よ、私<批判屋>を助けてくださり、ありがとうございます。白い鷲は私をスターリーチ山まで連れていってくれるのでしょうか。)
 母なる神は続けた。
(残念ですが、あなたの持っている首飾りがそうはさせてくれないようです。せめてあなたをグレイギルドの外まで運びたいのですが……。)
 そう言われてみると、首飾りが鉛の玉のように重くなってきている。鷲は私をストアストリートの一角に降ろす。
(<批判屋>よ、あなたに幸運を。私はいつでもあなたを見守っています。)
(ありがとうございます。白い鷲も、ありがとう。)
 鷲は再び舞い上がり、町の上空遥か彼方に飛んでいく。母なる神の救済にも支障をきたすほどの死神の首飾り、恐るべき存在だ。だが、これで私は二度とテュチェフ達に遭うことはないだろう。
 ここで、現在地を確認しておきたい。ストアストリートはムーアゲートの延長だ。この道をずっと行くと、私がこの町に入った門に着く。今日は市場の立つ日だから、町民が道にあふれている。市場の立つ日とは、バグラントも言っていた。いや、バグラントだけではない。バグラントの前に誰か言っていなかったか? と、思い出したように、私の着ている銀の鎖帷子がシャランと音を立てる。そうだ、リランサだ。私はリランサの言葉を思い出す。
 〜〜この町の門についてです。これから三日間、市場を開いている日の夕方は、母なる神に従う者達が門番をします。ですから、誰にも知られずにこの町を出たいのであれば、そのときにしてください。〜〜
 グレイギルドの外にこそ出られなかったものの、母なる神のお蔭で私はグレイギルドの出口に近くて尚且つ誰もいないところという最善の場所にいる。ここで夕方になるまで待とう
 やがて夕方になる。私は隠れ場所を出て、ムーアゲートに向かう。この銀の鎖帷子があるから、母なる神に仕えている兵士が見張りについているのなら、容易に通れるはずだ。ストアストリートからムーアゲートに差し掛かろうとしたとき、何者かが物陰から現れる。頭巾をかぶっているから最初は誰だか分からなかった。しかし、鋲の打たれた鎧と黒光りする鋼鉄の剣で、その正体がわかる。あの魔窟で十字軍の四人の騎士達を殺したダークエルフだ。畜生、こんなところまで追ってくるとは。奴は一言も物を発せず、剣を抜く。明らかに私を殺しに来たのだ。このストーカーめ、返り討ちにしてくれるわ!
 〔ダークエルフ〕 技術点  8   体力点  8
 〔批判屋〕    技術点 14   体力点 16

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔ダークエルフ〕8+1018 < 22=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ダークエルフ〕体力点−2=6
[2R] ×〔ダークエルフ〕8+17 < 22=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ダークエルフ〕体力点−2=4
[3R] ×〔ダークエルフ〕8+18 < 24=14+10〔批判屋〕○ ⇒ 〔ダークエルフ〕体力点−2=2
[4R] ×〔ダークエルフ〕8+14 < 20=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ダークエルフ〕体力点−2=0
 ダークエルフは、声もなく息絶える。私は足早にムーアゲートに向かう。
 ムーアゲートの門番は、緑色の制服を着た男女の兵士だ。男性の兵士が笑顔でこちらに向かってくる。
「あなたが<批判屋>さんですね。リランサ様から話は聞いております。どうぞこちらへ。」
 男性の兵士の後、女性の兵士が継ぐ。
「<批判屋>さん、あなたをグレイギルドの外までお連れします。私を信じてついてきてください。」
 私は、女性の兵士に同行する。と、途中でフェル=キリンラの女兵士と出くわす。また遭いたくない輩に……。
「その者は何者だ。」
 相変わらずフェル=キリンラの女兵士はきつい口調で問い質す。しかし、母なる神の女性兵士は、先程までの優しい口調からは信じられない程の強い口調で話すのだった。
「この者はグレイギルドの町に“無断で侵入した者”故、これから“追放する”ところだ。手助けは無用。」
「追放、だと……? なぜその場で切り伏せぬ。だからお主らは甘いのだ。」
「その言葉、そのまま返そう。お主らは血の気が多い。もっと穏便に図れぬのか。それに、今は我らの役儀である。」
「勝手にするが良い。だが、お主らのときに揉め事があれば、リランサ殿の責めは免れないことだけはご承知おきを。」
「忠告、心得た。今はこの男を“追放”する故、これにて。……さあ来い!」
 そう言って女性の兵士は私の手首を強引に引っ張る。フェル=キリンラの兵士は不満げな表情はしたものの、それ以上の詮索はせずに己の寺院へ向かった。女性の兵士と私はグレイギルドの外の荒野まで来た。彼女は既に私の手首を握ってはおらず、代わりに手を握っていた。傍から見ると、恋人どうしが手をつないでいるようだった。女性の兵士が口を開く。
「私を信じてくださり、ありがとうございます。フェル=キリンラの兵士を欺くためとは言え、あなたに無礼なことをしてしまって申し訳ございませんでした。」
 そういう女性の兵士の目には涙が浮かんでいる。彼女も相当無理をしたのだろう。
「いいえ、あなたのお蔭で私は無事に町を出ることができました。これでグレイギルドから追手がくることはないでしょう。ありがとうございます。リランサさんにもよろしくお伝えください。」
 すると、女性の兵士が覚悟を決めたかのような口調で言った。
「<批判屋>さん、私からもあなたの道中の無事を祈らせてください。」
 そう言うなり、女性の兵士が私の唇を……。女性の兵士は、私がリランサと唇を重ねたことを知っていたのだ。それを承知で、彼女も……
 一分程経過の後、女性の兵士は私から離れると、手を振って見送ってくれた。
「<批判屋>さん、さようなら。」
 その顔は涙と笑顔にあふれていた。私も手を振り返す。グレイギルドを出ることができたので、運点1を加える(ですが、原点数……、久しぶりにこの表現を用いました)
 リランサ、アポテカス、ディオドラス、そして母なる神に仕える女性の兵士……。ますますこの任務を達成しなくてはならないと心に固く誓うのだった。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 16/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ、困ったときの書
 メモ ………… 「自然そのものである母なる神よ、我を助けたまえ」
 (Save Number:249→8)

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2024/12/18


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