死神の首飾り(プレイ日記)


【第14回】 首飾りの奪還

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 9/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ、困ったときの書
 メモ ………… 「自然そのものである母なる神よ、我を助けたまえ」

〔222〜〕
 フェル=キリンラの巫女頭ホーカナは、我々の闖入に怒りを込めながらも静かに口を開いた。
「この寺院を汚すとは何事ぞ。女神に話しかけている私を邪魔するとは、何という不届き者じゃ。お前を女神の生贄にしてやる。」
 彼女は拳を宙に突き出し、振り下ろす。



 突如、炎の柱が丸天井から落ちてくるではないか。ここでを行う。結果は……でした。私はすぐさま飛びのく。ほんの一瞬、炎が体を掠めるが、直撃は回避した。体力点3を失う。ホーカナとの戦いは避けられないだろう。このくされアマとの戦いの前に何か使えるものはないか、急いで荷物を検める。すばやさの薬は持っていないし、一角獣の角でつくられたお守りとは何のこっちゃ? だが、ここで脳裡に困ったときの書がよぎる。私は急いで困ったときの書を取り出した。
「レワカ、ヨイメンウ、ガワ!」
 意味は分からないが、取り敢えず困ったときの書にある呪(まじな)いの言葉を読んで、書をホーカナに向ける。
「侵入者よ、死ねい!」
 猛獣のような残忍な声をあげながらこちらに迫る。畜生、あの学者どもは詐欺師か。金貨20枚どころか困ったときの書すらインチキとは……。私がそう思いかけたとき、ホーカナに異変が出た。
「ギャーーーッ!」
 見ると、バチバチ音を立てて、青いオーラがホーカナを包み込んでいる。彼女は頭をのけぞらせて苦悶に喘ぐ。苦痛のあまり床に倒れ、よろよろと起き上がる。
「貴様ァ、一体何をした〜〜〜ァッ?」
 どうやら困ったときの書はインチキではなく確かなものだったようだ。困ったときの書はその役目を果たし、呪いの文字が消えてただの紙切れと化した。ホーカナはだいぶ弱っているようだが、油断は禁物だ。
 〔ホーカナ〕   技術点 12   体力点 14
 〔批判屋〕    技術点 14   体力点 16

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔ホーカナ〕12+18 < 23=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ホーカナ〕体力点−2=4
[2R] ○〔ホーカナ〕12+1022 > 21=14+〔批判屋〕× ⇒ 〔批判屋〕体力点−2=14
[3R] ×〔ホーカナ〕12+20 < 22=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ホーカナ〕体力点−2=2
[4R] ×〔ホーカナ〕12+17 < 22=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔ホーカナ〕体力点−2=0
 私の最後の一撃は、ホーカナの胸板を完全に貫いた。如何にホーカナと雖もこれには耐えられまい。ホーカナが斃れる。私は祭壇まで歩み寄る。あった、これぞ間違いなく死神の首飾りだ。ついに取り戻したぞ! 運点1を加える。さあ、あとはこの寺院を脱出すれば……って、何これ!? 私が何気なくホーカナの方を見ると、なんと彼女の受けた傷がみるみるうちに塞がり始めているではないか。これには頭を殴られたようなショックを受けて、一瞬クラクラきたが、すぐに落ち着きを取り戻した。その間にも、ホーカナは血だまりの中から立ち上がろうとする。ええい、もう一撃を加えるまでよ。そう思い、私はホーカナの方に近づいた。ホーカナを殴ってはホーカナの傷が塞がり、殴っては塞がり、……って、ちぎっては投げ、ちぎっては投げじゃないわ! よく見ると、ホーカナの指輪が緑色に光っていて、それが彼女の傷口を治しているようだった。私はホーカナの指から指輪を外す。よし、もうホーカナは立ち上がらないぞ。ひょっとすると、これって……私はホーカナの指輪を自分の指にはめる。さっきの火傷とホーカナから受けた一撃の傷が治っている。これは復活の指輪だったのだ。体力点6を加える。これでホーカナは滅びた。そうしたら、こんなところに長居は無用だ。聖堂の中を探し回ることはせず、お目当ての死神の首飾りだけを盗って……否、取り戻してあとはとんずらだ(ちと言葉遣いが悪いな……)。
 私は二重扉へ向かう。さっき鍵がかかっていたはずの扉はスルリと開く。ホーカナが滅びたので魔力が解けたのだろう。扉の外にはスカーフェイス達が立っていた。
「おう<批判屋>、うまく行ったようだな。俺達もお前を助けたかったんだが、あいにく扉に鍵がかかっていて入れなかったんだ。」
 明らかに嘘だ。本当は漁夫の利を得たかったに違いない。私は少し嫌味を利かせた
「流石の盗賊組合も、魔法の鍵の前には役立たずの腕前だったというわけか。」
「何だと。俺がその気になれば、こんなボロ扉、目を瞑っていても……」
「だって、鍵がかかっていて入れなかったって、今自分で言ったじゃないか。それとも、ホーカナが怖くて聖堂の鍵を開ける勇気がなかったのか。」
 スカーフェイス達は私の返しで黙り込む。
「まあいいさ。<批判屋>、お前さんが首飾りを取り戻している間に、俺達も寺院から色々と仕入れたからな。行き掛けの駄賃って言うだろ?」
 そう言ったのは、老人の喉を掻き切ったミン殿下だった。彼らの懐には寺院から盗んだであろう金品があった。
「だが、我々の収穫もここを脱出して組合に帰らなければ全く意味がないだろう。早くここを出よう。」
 四人は私の提案を受け入れる。我々は行きとは逆の道をたどる。何やら指が冷たく感じる。ホーカナの指輪だ。さっきまで緑色に光っていた指輪が、今では錆びた灰色の金属に変わってしまっている。指輪の魔力もあの聖堂の中でしか効果がないらしい。

 ガンガンガンガンガン……!

 突然、警鐘が鳴り響く。どうやら我々の侵入がばれたらしい。私達は急いで天井部屋へ急ぐ。その頃には、女兵士達が階段の下に現れている。私達は早い者勝ちでロープを昇る。まずはネズミのジェミー、次にミン殿下、それからスカーフェイス。私も身長6フィートあるが、ブラッドハートは私よりも10センチメートルくらい高い。だから、4番目は“小柄な”私……と、脇で何かが動いたのを本能的に察知する。身をかわすと、そこには短剣を持ったブラッドハートが私を殺そうとしているではないか。「盗賊達に信義なし」とはこのことだったのか。私は驚きのあまり足を滑らせて床に転倒する。ブラッドハートが私目がけてダガーナイフかクックリナイフを突き立てようとする。恐怖に身が竦んで動けない私は……
「侵入者を撃て!!」
 くされアマの兵士の声もこのときばかりは女神の声に思えた。女兵士の弓兵隊が撃った矢がブラッドハートの背中に突き刺さる。ブラッドハートが私にのしかかろうと私の上に屈み込み、尚且つ女兵士と私の間にいたことで、皮肉にもブラッドハートが“身を挺して”私を護る形になったのだ。ブラッドハートは蜂の巣になりながらもロープを握りしめたまま硬直して立ちっぱなしになる。そのお蔭でさっきよりもロープを昇りやすくなった。私はブラッドハートを踏み台にしてロープを昇る。すぐに天井までたどり着いた。他の盗賊は寺院の屋根から隣の屋根に素早く跳ぶ。私もそれに倣う。ここで、DDを行い、技術点と比較する(但し、今回は私の跳躍能力を問われるので武器や防具によるボーナスは適用されません)。DD6≦12で、成功しました。
 私は盗賊達に続いて、しっかり着地する。スカーフェイスが私を見て驚く。
「ブラッドハートはどうした?」
「残念ながら女兵士の矢で蜂の巣になった。彼は“盾になって”私を護ってくれた。だが、私には彼を助ける余裕がなかったから、せめて私だけは逃げ延びようと思い、ここまで来られた。『盗賊達に信義なし』というのは嘘だろう。何しろブラッドハートのお蔭で私は助かったんだから。」
 私の言葉には明らかに棘が籠っているが、ブラッドハートがここにいないこと、そして私が仮にもホーカナを倒したという事実が、私を後押ししてくれた。奴らが私を単なる口先野郎と見ていないことは明白であった。スカーフェイスは私と距離を取りつつ言う。
「<批判屋>よ、お前さんの目的は果たされただろう。だったら、俺達はもう任務終了で解散ということでいいな。さらば。」
 スカーフェイスはそう言い残すと、屋根から屋根へと飛び移り、どこかの廃屋の窓に消える。ネズミのジェミーとミン殿下の姿もない。私は屋根の上でひとりぼっち取り残される。取り敢えず、降りられる場所を探そう。屋根伝いに倉庫へ戻り、路地に降りる。
 ブラッドハートの裏切りには驚いたが、死神の首飾りはこうして戻ったことだし、盗賊組合はきちんと仕事をしてくれたと言ってよいだろう。
 もはや私がこの町に居続ける理由は何もない。早くグレイギルドを去って、スターリーチ山へ向かおう。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ、困ったときの書
 メモ ………… 「自然そのものである母なる神よ、我を助けたまえ」
 (Save Number:163→235)

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2024/12/07


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