死神の首飾り(プレイ日記)


【第9回】 アナーキルの狂信者

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ、
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ

〔169〜〕
 酒場レッドドラゴンに二人の新しい客が入ってくる。最初に入って来たのは、のっぽで針金のように痩せ、黒い外套を着た男だ。トウモロコシのような明るい黄色に染められた縮れ髪が異様に目立つ。二人目は女だった。鉄板を貼り合わせた奇妙な鎧を身につけている。



 この二人が入ってきたことで、酒場の雰囲気が一変する。酒場の主人は息を呑むと、無理矢理笑みを取り繕った。
「これはこれはテュチェフ様、カサンドラ様、ようこそおいでになりました。」
 テュチェフ? ということは、この男がさっき主人が話していたアナーキルの信者か。それまで私と話していた盗賊達は別のテーブルに行ってしまう。明らかにこの二人を恐れているようだ。私は席に一人取り残される形となった。今すぐにでもここから出て行こうと思ったが、どうやらそういうわけにはいかないようだ。
 テュチェフがカウンターまで歩み寄り、飲み物を注文する。カサンドラは私の座っているテーブルの真向かいに腰を下ろすが、こっちには全く興味を示さない。やがて、テュチェフがカサンドラのところに来る。こいつら、わざと私の真向かいに陣取ったのか? まあいい。ここは黙って様子を見よう
 テュチェフが私をじろっと見る。
「お前の顔は気に入らねえな。」
 カサンドラも、同意したように頷く。やはり、こいつらは私を標的にしようとしているのだ。なぜ気に入らないかはすぐに分かった。この酒場にいる私以外の全員がテュチェフとカサンドラに対して愛想笑いを浮かべているが、私だけは無愛想な表情だからだ。だが、ここで甘い態度を取ってはならない。私は言い返した。
「確かにそうかもしれないが、お前達よりはずっといい顔をしているつもりだけれどな。」
 私の返答を聞くと、二人は勢いよく立ちあがり、剣を抜く。テュチェフが私に対して言う。
「何だ今の返答は。お前達よりはずっといい顔をしているだと? 今のお前の返答に対して俺はカチンと来たんだ。どういうことだ? 言ってみろ!」
「ああ、何度でも言ってやるよ。俺はお前達よりもずっといい顔をしていると言ったんだ。大体何だ? てめえから嗾けておいて、こっちがてめえの気に入らない反応をしたら気違いみたいに怒る。屑の極みだな。俺の周りにもそういうのがいたよ。ラグビー部の部員を頸椎損傷の目に遭わせておきながらてめえだけは責任逃れした“A級ライセンスコーチ”とやらの元体育教師や、ちょっと同期生よりも先に出世したくらいで横柄な態度を取る輩とか。アメリカにもいるぞ。不動産上がりの元大統領で、自分が勝つためには手段を選ばない糞みたいなのがよ。トランプの塔は風の一吹きで簡単に崩れるんだよ。覚えとけ。」
「貴様、このテュチェフ様に向かってその口の利き方は許さん!」
「うるせえ! 自分に“様”をつけるなんざますます屑の極みじゃねえか! カチンと来ただあ? 勝手にカチンカチンに凍ってろってんだ!」
 酒場の主人も盗賊達も、ただ黙って見ているだけだ。中には、この騒動を機にと逃げ出した盗賊もいる。
「貴様! この俺に向かってそういった口を利いたことをたっぷり後悔させてやる!」
 オーブの世界での第2戦目は、破壊神アナーキルの信者どもとの戦いだ。テュチェフの剣は優に6フィートを超えるほどもある長いものだが、軽々と片手で操る。確かに、力自慢のハイムドルとやらを打ち負かしただけのことはあるようだ。そして、カサンドラの剣が冷たく輝いており、カサンドラとの戦いで私が負けると体力点3を失う。酒場の中が狭いのか、あるいは自分達のプライドが許さないのか、もしくは一人で十分だと思っているのかは分からないが、奴らは一度に一人ずつしか襲ってこない。まずは、カサンドラとの戦闘だ。
 〔カサンドラ〕  技術点  9   体力点 10
 〔テュチェフ〕  技術点 10   体力点 12
 〔批判屋〕    技術点 14   体力点 19

[戦闘ラウンド(青字DDの値)]

[1R] ×〔カサンドラ〕9+16 < 21=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔カサンドラ〕体力点−2=8
[2R] ×〔カサンドラ〕9+1120 < 23=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔カサンドラ〕体力点−2=6
  ここで戦闘での運だめしを行う。DD=5≦11と出ました(運点−1)。 ⇒ 〔カサンドラ〕体力点−2=4

「キャーーッ!」
 私の剣は見事にカサンドラの頬を切り裂いた。女性は顔を切られるのが一番きついと聞く。それはカサンドラとて例外ではなかったようだ。
「あたしの顔が……テュチェフ!」
 カサンドラが叫ぶ。先程までの自信過剰な表情とは程遠い、発狂寸前のような表情だった。
「カサンドラ、俺に任せろ。来やがれ、下郎!」

[3R] ×〔テュチェフ〕10+14 < 18=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔テュチェフ〕体力点−2=10
[4R] ×〔テュチェフ〕10+1121 < 23=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔テュチェフ〕体力点−2=8
[5R] ×〔テュチェフ〕10+18 < 21=14+〔批判屋〕○ ⇒ 〔テュチェフ〕体力点−2=6
  ここで戦闘での運だめしを行う。DD=4≦10と出ました(運点−1)。 ⇒ 〔テュチェフ〕体力点−2=4
 私の剣は、テュチェフの頬も切り裂いた。いい面構えになったな、テュチェフ。もう一撃を加える。テュチェフの頬に2本の縦線ができた。
「お前ら、仲良く頬に傷ができて、お似合いのカップルだぜ。」
 私はテュチェフとカサンドラをわざと嘲笑う。テュチェフは私を鋭い眼力――他の盗賊達だったら恐怖に身が竦むほどの眼力――で睨みつける。今の私にはテュチェフの睨みも、単なる悔し紛れにしか見えない。それはそうだろう。何しろ、無傷で奴らの顔に傷をつけたことで私の方が心理的に優位の状況だからだ。テュチェフは後ろへ飛びのき、叫ぶ。
「秩序を破壊する神、アナーキルよ、我を助けたまえ!」
 次の瞬間、酒場じゅうが揺れ始める。地震が起きて床がひび割れる。壁が崩れ落ちる大きな物音がして、酒場じゅうが土埃でいっぱいになる。奴は自分の守護神を呼んだのだろう。地震が治まった頃、テュチェフとカサンドラの姿はもうなかった。この私に恐れをなして逃げやがったか。まあいい。こっちも、こんなところはもうまっぴらだ。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 9/11
 金貨 …… 14
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)、陶製のバラ
 (Save Number:353→289)

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2024/10/30


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