死神の首飾り(プレイ日記)


【第7回】 罠とともに去りぬ

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 ……… 12(+1)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 10
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ、
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)

〔186〜〕
 ブッカーの散歩道を歩き続ける。通りにはほとんど人影がなく、町のこのあたりには街燈も見当たらない。宿屋、宿屋……痛ッ!! 何の前触れもなく、地面に隠されていた鋼鉄の罠に足を取られてしまう。これはジパングでは虎ですら挟んでしまうほどの強力さからその名がついたトラバサミと呼ばれるものだ。激痛のあまり体力点2を失う。痛みというのは一瞬で気力をも奪い取るものだ。私を包んでいる暗がりの中に朧げな姿がいくつか浮かび上がる。月の光がそれらの青白い陰気な顔を映し出す。それらは黒のローブを身に纏い、首元を縮んだ人間の頭蓋骨で留めている。一人が言う。
「我々は死神の僧兵。我々の宝である死神の首飾りを返してもらいに来た。」
 さっき使徒を追い払ったと思ったら、また新手の使徒が来やがった。罠で足を挟まれている私に勝ち目はなく、体中を調べられてしまう。首飾りはすぐに見つけられ、奴らの首領格の者に渡ってしまう。
「見つけたぞ、みんな。ついに取り返した。これで我らの死神様も死の王国に入城できようというもの。」
 彼らは喜んで叫ぶのだった。しかし、そんな喜びも束の間、使徒どもは騎馬の一団が近づいているのに気づかない。
「立て。そして動くでないぞ。」
 これは例の偵察隊の女兵士だ。使徒の一人がもぐもぐと不吉な呪文を唱える。女兵士と馬に恐怖の表情が広がっていく。命令した女兵士は一番近くにいたせいか、呪文の効果が最も強く、恐怖のあまりショック死してしまったようだ。それを見ていた女兵士の何人かは膝をがくがくいわせ、その場を動くこともできない。だが、呪文の効果がなかった別の女兵士が鬨の声をあげながら使徒たちに突進する。使徒達は完全に不意をつかれた形になった。使徒側の僧兵の首を刎ねられた途端、使徒達は一目散に逃げる。しかし、女兵士の方が速かった。首飾りはブッカーの散歩道に転がり落ちる。
「この首飾りは、フェル=キリンラの寺院に持って行こう。これで何人たりとも手は出せまい。」
 彼女達は殉職した仲間を担ぐと、馬の向きを変えて暗闇に消えてしまう。罠にかかった私など眼中にない様子だ。私の持っていた死神の首飾りは罠とともに去りぬ(去ってしまった)。十字軍との約束を守れなかったか……いや、まだ運命は定まっていない。首飾りを取り戻せばいいじゃないか。だが、今はこの罠からどうやって脱出するかを考えた方がよさそうだ。私は何度もトラバサミをこじ開けようと奮闘した。だが、これは人間の力で開けられないくらい強いばね仕掛けらしく、如何ともし難い。と、軽い足音が近づいてくる。どうやら一人の男がこちらに向かってきているようだ。
「何ということを。さて、君を助けよう。」
 男は軽く呪文を唱える。すると、トラバサミが徐々に溶けだしているではないか。おおよそ現代科学では説明できない出来事が起きている。やがて、私は罠から脱出した。
「ありがとうございます。」
「いいんじゃよ。そう言えば、こんな夜更けまでここにいて、どこか泊まる場所はあるのかね。もしよかったら、私の粗末な家に来ないかね。」
 地獄で仏、渡りに船とはこのことだ。私は何のためらいもなく彼の家について行くことにした。
 彼の家は小さな石造りの小屋だ。彼は私を寝室へ導き、ベッドへ案内する。自分でも気づかないほど疲れていたのだろう、私はぐっすりと眠る。体力点4を加える。朝目覚めると、昨夜傷ついた足に包帯が巻かれていた。彼が治療してくれたに違いない。私が寝室を出ると、命の恩人が椅子に座っていた。



「十分な休息が取れたのなら良いのだが。随分寝言を言っていたね。君には手助けがいるようだ。何者かが君から何かを奪ったのだね。あんな夜遅く、たった一人で町にいて、罠にはまったのはどうしてかな。何があったのかね。」
 ここまで助けてもらって、今更何を隠す必要があろう。私はこれまでの顛末を話した。その間、彼は私の話を真剣に聞いていた。
「まだ自己紹介をしていなかったのう。私の名はアポテカス。歴史の研究をしておる。この町の連中は私を歴史学者と言っておる。」
「私は<批判屋>と申します。昨夜は色々とありがとうございました。」
「うむ、<批判屋>君、私も死神の首飾りのことを聞いたことがある。君は何があっても首飾りを取り戻さないといけない。あの首飾りは、このオーブの世界にはもともとなかったのじゃ。それを死神の王が勝手にオーブに持ち込み、死神の世界とこの世界とをつなぐ“門”になってしまったのじゃ。死神の首飾りがオーブの世界にとって良いことなど一つもない。しかも、破壊することができないから尚更厄介なのじゃ。首飾りは、今フェル=キリンラの寺院にあるはずだ。私が断言しよう。フェル=キリンラの寺院は守りが堅く、君一人で首飾りを取り戻すのは無理じゃろう。かくなる上は、盗賊組合の助けを得るしかない。奴等にはあまり関わらない方が良いのじゃが、首飾りを取り戻すためには他に方法が思いつかんのじゃよ。盗賊組合の場所は私も詳しくは知らん。そうじゃな……セブンスィンストリートにある酒場レッドドラゴンに行きなさい。危険なところじゃが、君はそこで盗賊達に会えるはずじゃ。」
 SevenSinStreet(七つの大罪の通り)、トリプルSか。だが、ここでアポテカスに出会ったのも天命と言えるだろう。
「朝食ができたぞ。一緒に食べながら続きを話そう。」
 彼は私に小麦のパンケーキをふるまった。おいしい。
「私は夕食までに色々調べておく。その間、レッドドラゴンで用を済ませてきなさい。それから、これを差し上げよう。」
 そう言ってアポテカスが出したのは三つの品だった。まずは金貨5枚、それから剣術の指輪、最後に陶製のバラだ。
「剣術の指輪は君の技術点に1を加えてくれるじゃろう(銀の鎖帷子と同様の扱いになります)。そして、陶製のバラは今夜私の家に戻ってきたら見せておくれ。君が変身怪獣ではないという証になるから。」
「アポテカスさん、何から何までありがとうございます。」
「なんのなんの。オーブの世界の平衡は<批判屋>君にかかっておるからな。」
 私はアポテカスにお礼を言い、家を出る。さて、レッドドラゴンへ行く前に寺院に下見でもしに行くか? いや、やめておこう。私は「耳の聞こえない」兵士だし、昨夜の騒動で顔を見られている可能性がある。私はまっすぐ酒場レッドドラゴンに向かった。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 ……… 12(+2)/12 (戦闘時のみ)
 体力点 ……… 19/19
 運点 ………… 11/11
 金貨 …… 15
 宝石 …… 死神の首飾り
 食料 …… 8、黄金のリンゴ、
 飲み薬 …… ツキ薬(原運点+1まで回復)
 装備明細 …… 剣、革の鎧、ザック、たいまつ5本、銀の鎖帷子(戦闘時のみ技術点+1)、剣術の指輪(戦闘時のみ技術点+1)陶製のバラ
 (Save Number:98→57)

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2024/10/25


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