雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第21回】 呪縛からの解放

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃2つ、銅の腕輪

〔217〜〕
 夜が訪れ、時が過ぎるが、私はどうしても目を覚ますことができない。晴れた夜空を月がゆっくりと横切る。夜明けが数分後に迫る。
 時に努力は人を裏切る。努力したところで、報われないときは報われないことは分かっている。だがな、なぜ「よりによって」という場面で努力が報われないのだ?もういいや、このまま悲劇の主人公で終わってしまおう。自暴自棄な自分にもそんな諦めモードがあった。
…判屋よ………判屋よ……批判屋よ………批判屋よ……!
 私の悲しげな夢をかき乱す小さな影があるのだが、それが何なのか見極め難い。影は次第に大きくなり、ついに脳裡いっぱいに広がって点滅する。そうか、これは癒し手ことペンティ・コ−ラからのメッセージなのだ。長いくちばしと見事な羽を持った鳥が炎の輪から飛び出そうとしているのだ。癒し手が私を目覚めさせようとしている。精神を集中して、癒し手の力の象徴であるこの鳥の名前さえ思い出せばこの悲しい夢から覚めることが出来る。無論、この鳥は…

 琴別府〜〜〜っ!

「ほえ?」
 私の想定外の返答には流石のペンティ・コーラも呆気に取られる。だが、私は確信していた。元幕内琴別府(本名:三浦要平)は急性腎炎にかかり、医者ですら再起不能と匙を投げていた。だが、相撲を続けようと一年間休業し、その結果番付が序の口39枚目まで落ちてしまった。そこからの快進撃は凄絶なるものだった。平成4年の秋場所の十両優勝は、当時心が奈落の底にあった私にとっては忘れられない出来事となった。努力は報われるとは限らない。だからみんな報われるように努力するものだと悟った。今振り返ってみると、「成功することばかりが能ではない」という座右の銘は、琴別府の影響がかなり大きい。何かを辛抱強く続けていれば、それが別の形で報われるようになる、一縷の希望を見出した頃でもあった。まだ報われていないこともあるが、それはこれから報われるであろう。生涯のうちで努力が報われたのであれば、いつであってもそれは決して遅くはない。逆に、14歳で金メダルを取った輩はそこからの下降線が激しかったであろう。一躍有名になってしまったばかりに自分の望む生活を送れない、そういったこともあるに違いない。
 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で魅惑の深海パーティー中、マーティの父ジョージが母ロレインと踊っている最中にジョージがロレインを見知らぬ男に取られてしまう。そのとき、「EARTH ANGEL」がBGMとして流れる中、マーティの体が半分透明化し、もはやこれまでか、といった緊迫した場面がある(何というマニアック…)。今の私の状況はまさにそのくらい切羽詰まった場面だったに違いない。だが、もう大丈夫だ。

 不死鳥〜〜〜っ!

 その途端、私は目が覚める。なぜ辺りが暗いのだ?私は訝(いぶか)しがるが、何のことはない。ただ単純に寝ていただけなのだ。おおっと、日の出はもう目前だ。私は太陽の仮面を調節すると、曙光を見逃さぬよう、瞬(まばた)きも憚(はばか)りながら東に顔を向ける。地平線に赤い輝きが見え、太陽がゆっくりと昇りだすのが見える。次の瞬間、私の全身が痙攣し出す。一瞬不安になるが、何のことはない。体内に巣食っている<死の呪文>が太陽の仮面に吸い取られていくのだ。そして、太陽の仮面が次第に太陽の光に溶けていく。やがて、太陽の仮面は完全に消滅し、私の体は以前の状態に戻った。

 ついに私は<死の呪文>から救われたのだ。

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2014/12/26


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