雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【最終回】 美しい一日

〔400〕
 美しい一日の始まりだ。おそらく生涯で最も楽しい一日となるだろう。邪悪な雪の魔女の霊は完全に滅ぼされ、恐るべき呪いも破られた。新しく昇る太陽の下で、私は親切で無私無欲な癒し手のこと、友となった赤速とスタブのことを考える。そうだ、癒し手にお礼を言いに行こう。そう思い、銀の鏃を用いてまた天馬を呼び寄せる。琴別府…いや、不死鳥の刻まれた洞窟まで行った。しかし、癒し手の姿はそこにはなかった。声を出して呼びかけてみたが返事はなかった。やはり、癒し手は病人としか接触を持たないというのは本当だったのだ。
「ペンティ・コーラさん、ありがとうございました。お蔭様で呪いは打ち破られました。これからも、成功することばかりを求めずに自分の信じた道を進んでいきます。」
 そう言って、私は無人の洞窟を後にした。これからどうしよう…そうだ、スタブだ。スタブに会いに行こう。スタブはダークウッドの森からもう戻って来ているだろうか。そんなことを考えながら、ストーンブリッジへ向かう。無論天馬に乗って。

 私がストーンブリッジに着いたとき、スタブをはじめとするドワーフ達が出迎えてくれた。
「おう、<批判屋>。喜んでくれ。戦鎚は取り戻したぞ!」
 そう言って、スタブは高々と戦鎚を掲げる。戦鎚のお蔭でトロールどもを撃退することができた。まさにストーンブリッジの守り神である。
「あれ、<批判屋>、赤速はどうしたんじゃ?」
 私の表情が一瞬曇った。だが、隠しても仕方がない。私はドワーフ達に赤速のことを話した。
「そうか……赤速は死んだのか…。あの羊皮紙を破いたときから何かあると思っていたのじゃがのぅ……。」
「その代わり、赤速の兄に出会った。私は赤速の分も生きなくてはならない。」
「まあ、赤速のことは残念じゃったが、せめて<批判屋>が戻って来てくれただけでも嬉しいことじゃ。みんな、今夜は祭りじゃ。<批判屋>という新しい友人を客として迎えるのじゃ。死んだ赤速の追悼も兼ねて、今夜は飲み明かすぞ!」
 陽気なドワーフ達は、早速祭りの準備にとりかかった。そんなドワーフたちを見て、私はこれまでの苦労が一瞬で吹き飛ぶような気がした。同時に、これまでの疲れがどっと出た。
「おお、我らの新しい友人は疲れていると見える。まあ、友人にはしばらくの間眠っていてもらおう。おい、<批判屋>をベッドまで担いで行ってくれぬか。」
 スタブのそんな声を聞きながら、私は眠りに落ちる。私は休息を必要としており、また、それに値するだけのことをした…はず……だ………。
「<批判屋>、ありがとう。君は僕の兄秦皮(とねりこ)にも会ったんだね。僕はいつも君を見守っているからね。」
 そんな赤速の声が聞こえたような気がした……。

〔最終STATUS(最終的な値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃2つ、銅の腕輪

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 当サイトゲームブックプレイ日記『雪の魔女の洞窟』をここまで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。「意外な結末」で彩られるFFシリーズ第2弾として始めました『雪の魔女の洞窟』ですが、アレンジというものはなかなか難しいものです。ただ原作通りではつまらないですし、かと言って原作の雰囲気ぶち壊しでは意味がないですし(もうぶち壊しているかも…)、なかなか進みませんでした。ですが、何とか完結いたしました。
 この作品に関しては、私自身の考え方や生き方をもう一度見つめ直すという意味合いがかなり出ています。私の座右の銘を私なりに表現したつもりです。
 基本的には社会思想社のFF9巻『雪の魔女の洞窟』の文章表現を用いていますが、主人公<批判屋>の一人称表記は“私”に統一しました。また、物語の進行を一部変更した箇所もあります。ご了承ください。


2014/12/31


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