雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第20回】 悲しき夢の世界へ

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃2つ、銅の腕輪

〔217〜〕
 火吹山の頂上にある赤い草は快く甘い香りを放っている。私はすっかり気分が休まる。
 ふと、これまでのことを振り返ってみる。思えば、今回の冒険は、隊商の護衛から始まった。そして氷指山脈で出会った毛皮猟師の遺言。水晶の洞窟に棲んでいる雪の魔女がアランシアを征服しようと企んでいると聞き、洞窟に入った。そして私は首尾よく雪の魔女を討伐し、赤速やスタブと出会った。今思えば、この二人との出会いは金貨50枚よりも遥かに価値のあるものだった。だが、雪の魔女は最後に我々に対して復讐を行った。そう、それが<死の呪文>だ。無念にも、赤速は<死の呪文>の前に斃れてしまったが、私は幸いにも生き延びた。月岩山地で赤速の兄秦皮(とねりこ)に出会った。秦皮には本当にお世話になった。そして、ついに癒し手ことペンティ・コーラに出会った。親友ニコデマスにかけられた<死の呪文>を打ち破ったときに醜い姿になってしまったと聞くが、それ程でもなかったなぁ。むしろ雪の魔女の方が醜かった。
 宵の口になる。流石は山の頂上だけあって景色も良い。私は、星を鏤(ちりば)めた空を見つめている。時が止まるようだ。いくつもの痛みを乗り越えて、ついにこの火吹山の頂上までやって来た…。ふと、思わず眠たくなる。いかん、夜明けまで待たなくてはならないのに。だがどうしても睡魔には逆らえない。後でわかることだが、これらの赤い草は眠り草と言って、眠りを誘う植物だったのだ………。
 私のこれまでのことが走馬灯のように駆け巡る。どこか空虚さがあった。この虚しさは一体どこから来るのだ?
 何事も根本から追究しようとする男がいる。その男は、今や自明となっている定理や法則をそのままの形では受け入れられなかった。他の者は半ば鵜呑みとも呼べる形で受け入れ、そして成果を出していった。だが、その男だけはなかなか成果が出なかった。何をするにも不器用で、他人の数倍時間がかかってしまう。いつかは報われると何度も自分に言い聞かせた。だが、報われなかった。人間というものは弱い生き物で、成果が出ないと分かってしまうと途端に努力しなくなってしまうのだ。男は苦痛の日々を送っていた。早く成果が出ることに何の意味がある?ただ単に失敗しなかっただけではないか。だが、世界は失敗しなかった輩を優遇する流れになっていた。世界には様々な賞がある。それらを取得すること自体が悪いこととは言わない。だが、それを10代で取ることに何の価値があるというのだ。14歳で金メダルや主演男優賞を取ったから何だというのだ?10代で芥川賞を取ったから何だというのだ?史上最年少記録に何の価値がある?ただ失敗しなかっただけではないか。失敗を知らない輩が「努力は必ず報われます」などと言っても腹立たしいことこの上ない。報われない努力もあることを奴らは知らない。失敗しなかったことこそが最大の失敗であることを奴らは知らない。しかし、こういった真理というのは受け入れがたいものだ。世界が、早く成果を出したものを過剰に評価する流れになっていることに問題がある。
 アンチと言えばそれまでだが、このような他人とは違った考えこそが〔批判屋〕という名の由来なのだろう。自ら〔批判屋〕と名乗るくらいだから当然相手の第一印象は悪くなる。〔批判屋〕とは、孤高な自分に対する蔑称なのかもしれない。しかし、なぜ私は自らを〔批判屋〕と名乗ったのだろう…。
 対人関係、特に異性との交流関係で努力が報われないというのがあるかもしれない。故国ジパングの大学において私は3つのやり遂げられないことがあった。逆の言い方をすると悔いが残ったのはこの3つだけだ。3つのうち2つは学業関係のことで、これはまだ挽回の可能性はある。だが、残る1つが……。私と親しくなった異性は私の前からいなくなるという、ジンクスにも似た法則性が出来上がってしまった。私は物事を軽く考えられない。単なる偶然とは考えられないのだ。
 過去の冒険を振り返る。どうしても助けたかった友達は助けられず、どうでもいいような輩に限って助かってしまう。努力とはそんなものなのか。このまま現実の世界に生きていても仕方がない。もういっそのこと、奈落の世界に君臨するか……。そんな諦観が私の脳裡を満たす。
 私は今、鮮明な波乱万丈の夢を見ている。刻一刻と夜明けが迫ってくるのを私は知らない。

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃2つ、銅の腕輪
 (Save Number:217)

← 【第19回】へ | 【第21回】へ →


2014/12/01


直前のページに戻る

『雪の魔女の洞窟』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。