雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第19回】 試練の最終段階へ

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃3つ、銅の腕輪

〔154〜〕
 悲しげな咽(むせ)び泣きは次第に高まって、凄まじい怨念の絶叫となる。癒し手がバンシーの声だとささやく。バンシーとは醜悪な妖怪で顔も手も萎びており、歯は1本きり、鼻孔も大きいのが1つあるきりだと言う。一体どんな化け物なんだ?想像だに悍(おぞ)ましい……。
「大丈夫じゃ。恐れずに通り過ぎれば無事に済む。話しかけても、手を触れても、存在を認めてもいけない。わしの指示通りにすれば奴はお前を傷つけることは出来ぬのだ。わしはすぐ後ろにいるが、わしのことは心配せずともよい。」
 癒し手は平然たるものだ。私は更に洞穴の奥に入り込む。……ヒエッ!!ついに恐るべきバンシーを目の当たりにして、思わず息を呑む。目の縁を赤くしてしゃがみこんだその姿は癒し手の描写を上回る醜悪さだ。私は平静を保とうとするが、血のめぐりが速くなったのがわかる。通り過ぎようとする私の真ん前に立ちはだかり、聞いたこともないほど凶兆に満ちた悲鳴を上げる。

 キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!

 それは、まるで<生命の面>をつけたときの私が叫び声のようだった。癒し手の警告を脳裡にこだまさせながらも、私は顔を見据えてこの存在を斬り伏せてやりたい誘惑にかられ、本能的に剣の柄をつかむ。ここで技術点チェックDD≦12で成功するが、蛮人の銅の腕輪のお蔭で自動的に成功する

 死ぬぞぉ、死ぬぞぉ、お前は死ぬぞぉぉぉ〜〜

 バンシーが悲鳴の合間合間に死ぬぞと言い続ける。バンシーの叫び声に耐え切れず、剣を抜いて黙らせたいという誘惑に抵抗できないと思った瞬間、心の中から叙情的な声が聞こえてきた。
♪赤速のため〜に いいえ私のため〜に 勇気の印〜
♪この空の果てに そうよあなたの心に 黄色と青は 勇気の印〜
 ここへ来てこの歌詞が出てくるとは…。さっき飲んだ青…いや、龍の卵の薬の効き目が表れてきた。そうだ、もはや私1人のためではないのだ。雪の魔女の呪いによって斃れた赤速のためにも、私は生き続けなくてはならぬ。そう思うと、私の心に勇気が湧いてくる。またもやリ●インに救われるとは…。もう大丈夫だ。迷うことはない。私は無傷でこの恐るべき化け物のそばを通り過ぎる。後ろはと見ると、癒し手はきちんといた。バンシーは癒し手の存在などまるで気づいていないようだ。
「早く洞窟を通り抜けなさい。」
 はっと我に返り、洞窟を通り抜ける。私たちは黙って歩き続け、ついに洞窟の突き当たりの亀裂から日光が流れこんでいるのを見る。
「うむ。上出来じゃ。」
 癒し手の顔は相変わらず苦痛に満ちているが、どこか安らぎの表情があった。
「これからどうなりますか。」
 癒し手は落ち着きはらって答える。
「わしが行くのはここまでだ。試練の最終段階にはお主1人で臨まねばならぬ。その仮面をつけて夜明け前に火吹山の頂で日の出を見るのだ。東に向かって胡坐をかいて座るがよい――地平線上に日の光が射し初めた瞬間にお前さんは完全に癒されるじゃろう。」
 ついにここまで来たのだ。あと一歩だ。しかし、その最後の一歩が険しい。火吹山の頂で日の出を見るということは、火吹山まで登らなくてはならないということか。これは結構大変だぞ。
「何か銀で出来た物を持ってはおらぬか?あれば天馬を呼んでお主を火吹山まで運ばせられるのだが。」
 銀で出来た物…そうだ、魔法の銀の笛…水晶の洞窟の入口付近にある台所で手に入れた…しまった!あれは確か、金貨を入れるときに邪魔になったので置いて来てしまった。だが、私は別の物を見つけた。――そう、銀の鏃だ。まさか、こんなところで役に立つとは。結果的に、私はエルフの長靴を履けなかったことにより最良の選択肢を得ることが出来たのだ。銅の腕輪といい、銀の鏃といい、入手していなければ、私はこれほど容易にはこの試練を乗り切れなかっただろう。まさしく、成功することばかりが能ではないのだ。
 私は銀の鏃を癒し手に渡す。癒し手はそれを亀裂から外に投げ、指笛を大きく吹き鳴らす。瞬く間に外で翼の羽ばたきが聞こえ、癒し手がちらっと微笑むのが見える。
「銀の鏃をたてがみに結びつけて火吹山へ行けと命じなさい。天馬(ペガサス)は銀と引き換えにならどこへでも運んでくれる。わしとはここでお別れだ。幸運を祈る。」
「何から何まで本当にありがとうございます。この御恩は一生忘れません、ペンティ・コーラさん。」
「お主、なぜその名を…。まあよい。」
 癒し手ことペンティ・コーラはこれまで隠していた自分の本名を呼ばれて一瞬戸惑ったものの、すぐに落ち着きを取り戻す。
「<死の呪文>から解放されたらまた来ます。」
「いや、それには及ばぬ。健康な者はわしに用などないはずじゃからな。」
 癒し手は少し寂しそうな表情をしながらも、気丈に答えた。私は癒し手と握手をし、もう一度お礼の言葉を述べる。そして、亀裂をくぐり抜ける。ついに洞窟を抜け出した!長く暗い洞窟にいたせいか、一瞬光がまぶしく感じられる。だが、外光に目が慣れてくると、目の前に素晴らしい獣が立っている。白い雄馬のようだが翼を持っている。これが天馬か…。さっき癒し手が投げた銀の鏃は亀裂の近くに落ちていた。私は銀の鏃を鬣に結びつけて背中によじのぼる。
「天馬よ、私を火吹山の頂上へ連れて行ってください!」
 その言葉が終わらないうちに、天馬は既に空高く舞い上がっていた。癒し手のいる洞窟が小さくなっていく。山にたどりつくのに長くはかからず、奇妙な赤い植物に覆われた山頂に無事着陸する。私は天馬の背から飛び降り、役目を終えた天馬が彼方へ飛び去って行くのを見送る。そして、日の出まで腰を下ろして休憩しながら待つことにする。これまでのことを振り返りながら……。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃2つ、銅の腕輪
 (Save Number:328→217)

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2014/11/01


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