雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第18回】 生と死による戦い

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 14/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃3つ、銅の腕輪

〔75〜〕
 石段を全て昇り切り、洞穴を覗き込む。山のかなり奥まで通じているのがわかる。松明が不気味な光を内部に投げかけ、壁にかかった木彫りや仮面を照らし出している。中に足を踏み入れると、長い衣を纏った人影が床に座ってこちらに背を向けているのを見る。謎の人物は振り向きもせずに言う。
「わしは癒し手だ。癒されるために来たのなら、すぐにわが前に立つがよい。」
 山小屋の“自称癒し手”とは雰囲気がまるで違う。この人は本当に癒し手なのだ。癒し手の前に立とうと歩み寄る私の心臓はいっそう轟く。目の前にいる男は二目と見られぬ姿で、体はねじくれ、顔は苦痛に歪んでいるにも関わらず昂然と腰を下ろしている。
「あ…あの……」
 癒し手はただ黙って私の言うことに耳を傾ける。
「わたくし批判屋は<死の呪文>に祟られているのです。治してもらうことはできるでしょうか。」
 癒し手はうなずく。良かった。どうやら治してもらえそうだ。
「じゃが…」
 私は思わず生唾を飲み込む。まさか、薬草医者と同じように金貨を要求するのでは……だが、癒し手の返答は予想とは異なっていた。
「<死の呪文>の力を打ち砕くのは難しい。破ったことは一度しかないが、容易なことではなかった。」
 私は秦皮の言葉を思い出した。ひょっとすると、その破った相手というのはニコデマスのことではないか。確か、『タイタン』(1990年・社会思想社)によると、この癒し手の本名はペンティ・コーラではないのか。私が思考をめぐらしている間にも、癒し手は話を続ける。
「<死の呪文>を打ち破るにはある儀式を執り行う必要があるのだが、お前がそれに耐えられるとは限らぬのだ。だが、試みるしかあるまい。わしも出来ることはする。」
 どうやら癒し手が私に要求するものは、金貨ではなく儀式に耐え抜く力のようだ。<死の呪文>によって斃れた赤速のためにも、儀式を耐え抜く覚悟を決める。癒し手は、壁から太陽を象徴するべく彫られた奇妙な仮面を下ろす。
「まず、<死の呪文>をこれ以上拡がらせぬために<生命の面>を顔につけねばならぬ。生と死による最初の戦いに生き延びることが出来れば、呪文の効き目を覆す第二の過程にも直面できよう。」
 そう言って癒し手は私に仮面を手渡す。私はその仮面を顔につける。と、その瞬間、私は全身が真っ二つに引き裂かれるような激痛を感じる。

キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!

 もともと声の高い私は、女性の絹を引き裂くような悲鳴を挙げた。癒し手は絶叫を上げる私を無言で見守る。体力点を失うの値は…である(体力点:14→10)。しばらくすると、激痛は治まった。どうやら“生と死による最初の戦い”に生き延びることが出来たようだ。これで<死の呪文>の進行は停止した。だが、依然として<死の呪文>は私の体内に巣食っている。癒し手は歩み寄って両手を私の額に置く。そして何やら耳慣れぬ言葉をつぶやく。恐らく儀式の一環であろう。癒し手は一歩下がって言う。
「作業の今後の過程もやはり危険だが、お前が持っている物によっては危険を軽減することも可能だ。<死の呪文>を完全に破るためには他の場所へ赴く必要がある。だから、わしがこの先与えられる援助には限りがある。ついて来なさい。」
 癒し手は洞穴の奥に入って行って、私を奈落の縁に立たせる。ほとんど光が入らないので、動き回っている癒し手の輪郭を見るのも一苦労だ。
「目の前の奈落には丸木橋がかけられている。内なる洞穴に至るためにはこれを渡らねばならない。行く手が見えればそれだけ渡りやすくなるのは言うまでもない。蝋燭を持っておるか?」
 癒し手は尋ねる。蝋燭…そうだ、マン・オークの隠れ家にあったあの蝋燭がある!私は火口箱で火を熾し、蝋燭をともす。まだ薄暗いが、どうにか周りを見渡すことができる。奈落の幅は15メートルほどもあり、丸木橋はかなり細い。
「用意が出来たら渡るがよい。」
 ちょっと待った、まだ心の準備が…。だが、遅かれ早かれ渡らなければならない。ここは平坦な道だと思い込めば何とか…ゆっくり慎重に歩いていく。ここで技術点チェックDD≦12で成功するが、蛮人の銅の腕輪のお蔭で自動的に成功する。どうにか奈落の向こう側にたどり着き、ほっと胸を撫で下ろす。結果からすると、エルフの長靴を履いていなくて良かったのかも知れない。蛮人の銅の腕輪がなければ技術点は原点ではなく、もしかすると奈落の底へ落ちていったかも知れないからだ。さて、癒し手を見ると…なんと、奈落など存在しないかのように無造作で丸木橋を渡ってくるではないか。サーカスの一団やアクロバットの名手も顔負けの癒し手の動作に、思わず見とれてしまう。
「よろしい。では、次の過程に臨む。覚悟はよいか。」
 私は黙って頷く。
「次の過程を生き延びるためには飽くまで冷静を保つ必要がある。龍の卵を持っているなら気持ちを寛(くつろ)がせる薬を調合してやれるのだが。」
 龍の卵……ゾンビーのいた部屋にあったあの龍の卵か。持っています!私は癒し手に龍の卵を渡す。癒し手は卵を取ると殻のてっぺんを割り取る。首に下げていたペンダントから青い粉薬を少々取り出して卵の中に注ぎ込む。棒で掻き回したのちに言う。
「さあ、飲みなさい。」
 殻の中を見てみると、卵の黄身と癒し手の青い粉薬が混ぜ合わさって緑色になっている。う〜む……例のものを彷彿させるが、私は癒し手の知識を信じて生卵の薬を飲む。ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…あ〜〜まず…くないぞ。口当たりは割と良い。これはいける。と、例によって頭の中に音楽が流れてきた。
♪この星(アランシア)のために いいえ私のために 勇気の印〜  この空の果てに そうよあなたの心に 黄色と青は 勇気の印〜
 またリ●インかい。この調子でいくと、このプレイ日記が栄養ドリンクだらけになってしまうぞ。それはともかく…何だか気持ちが和らいできた。その証拠に、目の前にいる癒し手の姿を見ても、あまり動じなくなった。まあ、癒し手の姿に慣れてきたというのもあるが。そんな私を見て、癒し手は満足げにうなずく。そして、先に立って歩くように私に命じる。
 突然、洞穴の奥の方でぞっとするような女の泣き声が聞こえる。次の過程の到来だ…。
 次の試練の到来かも知れん。といった洒落は活字の無駄使いなので言わない(もう言っていますが)。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 9/10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 1
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク龍の卵、四角い金属板、盾、蝋燭、火口箱、銀の鏃3つ、銅の腕輪
 (Save Number:154)

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2014/10/20


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