雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第16回】 赤速の兄

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 11/12
 体力点 … 12/19
 運点 … 5/9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 2
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾

〔205〜〕
 薬草医者のお蔭で体力点にやや余裕が出来た。この機会に、冷静になって今の自分のステータス(技術点・体力点・運点の状態)を考えてみる。技術点と体力点はまあまあだが、現在の運点は5点。これでは運試しで凶と出る確率の方が圧倒的に高い(吉と出る確率は18分の5、つまり約28%です)。今こそ、長い間保存していたツキ薬を飲むべきときだ。ツキ薬を消費し、現在の運点を原運点+1の値まで回復させる。これで運点は10点になった。以降の運試しはだいぶ楽になるぞ。
 川の向こう岸の木々の間に小さな空き地が見える。そこで何かを火の上で料理しているらしく、煙が立ち昇っているのが見える。だが誰の姿も見えない――向こうの方で先にこちらを見つけて身を隠したのかも知れない。川の流れは速いがこの辺りは川幅がかなり狭くなっている。大きな岩がいくつも水の中から突き出ている。岩づたいに渡ることは可能が、今の状態では足を滑らせて川に落ちるのは目に見えているし、仮に向こう岸にたどり着いたとしても、何者かに襲われる可能性はあるだろう。それに冷静に考えてみれば、他人のつくった料理を食べるのは単なる泥棒ではないか。ということで向こう岸には渡らず、そのまま歩き続けることにする。
 左側の木々の間に、尖った耳と淡い色の髪を持つ男の姿が見える。緑のマントを身につけ、小刀で矢がらを削るのに余念がない。この者はエルフであり、赤速に似た外見をしている。赤速に似ている…ということは、このエルフは少なくとも敵ではなさそうだ。このエルフに声をかけてみる。エルフはこちらに気づいたのか、矢がらを削る手を止める。
「すみません。ちょっとお尋ねしたいことがあるのですが…。」
「はい。何でしょう。」
「月岩山地に癒し手がいると聞いたのですが、どこにいるかご存じでしょうか。
「一応知ってはいますが……なぜ癒し手を探しているのでしょうか。」
 やはり、このエルフは癒し手の所在を知っていた。私は包み隠さず話した。自己紹介から始まり、氷の洞窟での戦いのこと、<死の呪文>のこと、そして赤速が死んだ理由も物語る。
「赤速だって?僕の弟だ!」
 エルフは自分を<秦皮(とねりこ)>と名乗り、弟が雪の魔女の奴隷にされていたことを今初めて知ったのだと説明する。赤速の死の報せに急に悲しさがこみ上げ、秦皮は私を離れて黙ったまま日なたに立ち尽くす。
「本当にすまない。私が赤速にあんなものを読ませなければこうはならなかったんだ。」
 私は秦皮に平身低頭あやまる。それで済むことではないのは重々承知の上でだ。しかし、秦皮は数分のちに口を開く。
「<批判屋>と言ったね。君の話からすると、弟は君を恨んではいないと思う。むしろ、雪の魔女の奴隷から解放されたことに感謝をしているはずだ。私はそう信じている。それに、悪いのは君じゃない。雪の魔女だ。」
 さすがは赤速の兄、言うことも弟に似ている。
「癒し手を探す手伝いはするが、会うのは君1人でなくてはならないよ。病人としか接触を持たないんだ。夜の邪悪な精である<闇の民>がニコデマスという魔法使いにかけた<死の呪文>を破ってやったばかりに、今度は自分が疫病や苦痛によって見る影もない姿にされてしまってね。今では山に1人籠って仕事をしている。ついて来たまえ。一刻の猶予もならないと見た。」
 秦皮は、絶えず危険に目を配りながら先に立って歩き出す。我々は谷間を1時間ほど歩いたのちに川にかけられた吊り橋にさしかかる。
「さあ、渡ろう。」
 普通のときでさえ吊り橋は怖い。今の体調とあらば尚更のことだ。だが、渡らなくてはならないようだ。
「<死の呪文>のせいで力が抜けていくばかりだ。少し休ませてくれ。」
 ここまで歩いてきて疲労が増した。体力点1を失う。十分休んだと判断した後、吊り橋を慎重にわたり始める。半分くらい渡ったころだろうか、突然、いくつもの怒鳴り声が聞こえる。周囲を見回す。畜生、また山トロールかよ。私は山トロールどもが襲い掛かってくると思ったが、実際はもっとまずい状況だった。なんと、我々がいま渡っている吊り橋の綱を切ろうとしているではないか。早く渡らなくては。ここで運だめしを行う。DD=7≦10でだ(運点:10→)。幸いにも吊り橋が川に落ちるのとほぼ同時に向こう岸に着くことができた。ツキ薬の先見の明があった。さもなくば、今頃は川の中に落ちていたに違いない。秦皮は、自分について来るように促す。
 丘の頂を極めたころにはぜいぜい喘いでいる。またもや体力点1を失う。<死の呪文>は留まることを知らない。畜生。疲労のあまり周囲を見回す用心を怠ってしまう。
「<批判屋>、危ない!」
 秦皮に言われたときには死鷹が空から襲いかかっている。秦皮がこの猛禽類に矢を射かける。ここでDDを行う。DD=9≦9で、ギリギリではあるが秦皮の技術点以下になった。秦皮の手並みは見事だ。矢は舞い降りてきた死鷹の頭を貫く。翼が羽ばたくのをやめ、鳥は丘の斜面に墜落する。丘の裏側は峡谷になっている。
「僕はここまでだ。ここから先は、君1人で行って癒し手に会いたまえ。さっきも言ったけれど、癒し手は病人としか接触を持たないから。峡谷を東に進むと不死鳥の頭が刻まれた岩肌が見える。癒し手はその上の斜面にある洞穴に住んでいる。」
「秦皮、本当にありがとう。何とお礼を言って良いやら。」
 私はそう言って、秦皮に赤速の形見の品を渡す。
「<批判屋>、こちらこそありがとう。この品は大切にもらっておくよ。君が<死の呪文>から解放されることを願っているよ。」
 私は秦皮と別れを告げる。そして、峡谷をゆっくりと下りて行く。下に着くと秦皮の指示にしたがって左へ曲がる。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 11/12
 体力点 … 10/19
 運点 … 10
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 2
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾
 (Save Number:175→252)

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2014/09/04


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