雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第12回】 故郷への旅路

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 4/19
 運点 … 6/9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 250
 食料 … 5
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾

〔104〜〕
 氷指山脈を経て、かつては雪の魔女が支配していた氷の洞窟を出てから2日目、私たちはコク川にたどり着いた。このあたりの地理に詳しい赤速が説明してくれる。
「この川の50マイル(=約80q)上流にはファングという町があるんだ。ファングでは毎年5月1日に、迷宮探険競技と呼ばれる審査を受ける者達が、サカムビット公の考案した悪名高き<死のワナの地下迷宮>に挑むんだ。」
 その話なら聞いたことがあるぞ。迷宮探険競技の挑戦者は、名声を得る冒険者だったり、奴隷戦士だったり、色々な理由で参加する。勝者には金貨1万枚の賞金が出るが、それは毎年ただ一人、しかもその一人の勝者すら出ない年の方が多い。
「じゃが、この時期のファングは川沿いの他の町と比べても特に面白い場所ではないのう。」
 スタブが赤速の説明を付け足す。まあ、今の我々の目的は赤速とスタブの故郷への凱旋だからな。ファングはまたの機会にしよう。とりあえず、このコク川を渡る手段を講じなければ。どこかに橋や船はないかな。私たちは幅の広い、汚れた茶色の川の岸を下流に向かって30分ほど歩く。やがて、岸に舫(もや)っている筏の上で男が眠っているのを目にする。これはラッキー!文字通り「渡りに船」だ。男を起こしてみる。
「すみません…。向こう岸まで行ってもらえないでしょうか。」
「今日は疲れているんだ。あっちへ行け。」
 何という味も素っ気もない返答だ。取り付く島もない。もういい。こんな男に乗せてもらおうとは思わん。無理やり筏に乗せてもらったとしても、疲労で筏が転覆しました、なんてことになったら洒落にもならない。ということで、この男は放っておき、歩き続けて筏を探すことにする。
 岸に沿って更に行くうちに小さな木の舟が立木に繋がれているのを見かける。周囲を見回すが持ち主の姿はない。どうしようか。ちょっと舟を拝借しようか。…いやいや、それでは泥棒だ。ここは気長に持ち主がやって来るのを待つことにしよう。どうせ急ぐ旅でもないしな…。
 立て続けに色々あったので、疲れてしまった。ちょっと腰を下ろして一休みする。そういえば、氷指山脈で鎌倉を作ったときにもこうして休んだっけな。あの鎌倉はどうなっただろう。そんなことを考えながら、ぐっすりと寝込んでしまう。体力点に2を加える
 赤速とスタブは私が寝込んだのを見て、ふっと笑い出した。
「僕たちの恩人は、今お休みタイムだね。」
「無理もないわい。わしらを助けるのに大活躍だったからのう。そうじゃ。わしは食べ物を探してくるから、お前さんは火を熾しておいてくれんか。」
「わかったよ、スタブ。」
 スタブが食糧調達に出ている間、舟に忍び寄る影があった。その影は、今は休息中の私をめがけて弓を引こうとしていた。今まさにその弓が引かれようとしたとき、赤速の勘が冴えた。
「お前は闇エルフ!何でお前なんかがここにいるんだよ!」
「なぬっ、貴様は赤速。ええい、貴様こそ私の舟に何の用だ。」
「お前の舟?…ふん、どうせどっかから略奪してきたものだろう。」
「何を!貴様から殺してやるわ!」
「望むところだ。返り討ちにしてやる!!」
 カキン!キーン!!
 剣と剣がぶつかり合う音に目が覚めた。見ると、赤速が頭巾のついた黒マントをまとった誰かと戦っているのが見える。赤速が隙を突かれた。
「赤速、危ない!!」
 びっくりしたのは赤速ではなく、黒マントの者だった。思わず黒マントの者がこっちを向く。つり上がった鋭い目つきと痩せこけた頬は、赤速たち森エルフの宿敵ともいうべき闇エルフではないか。しかし、闇エルフが私の方を向いたため、結果的には赤速に背中を向けることになった。それは、闇エルフにとって致命的な失敗だった。
「死ね、この腐れ闇エルフ!!」
 闇エルフは赤速の一撃をまともに背中に受け、地面に崩折れた。いつもはフェアな赤速も、天敵の闇エルフに対しては容赦なく攻撃する。
「赤速、大丈夫か…。」
 赤速は私を見るなり、とげのこもった口調で言った。
「舟の持ち主を待とうと言ったのは誰だったかな?」
 はい、私です。だが、私はそれ以上赤速と争わず、闇エルフの持ち物を調べることにする。何か強力な武器があるかな…?闇エルフの帯につけた袋に緑色の液体を満たしたガラスのビンが入っている。赤速が栓を抜いて匂いを嗅ぐが、無臭で中身が何かはわからない。
「捨てちまえよ、そんなもの。どうせ碌でもないものだろう。」
 だが、闇エルフが「どうせ碌でもないもの」を、帯につけた袋に大事にしまっているだろうか。この液体は闇エルフにとって有益なのだろう。どうせもう持ち主には必要ないものなのだ。ここは液体を飲んでみることにしよう。まずは一口…。うん、悪くない。よし、残りも全部飲み干そう。果たして効き目は…。しばらくすると、体から疲労と痛みがゆっくりと薄れ、代わりに新たな力が湧き出るような気分がした。これは健康の薬だったのだ。このような薬に巡りあえたのは僥倖とも言えるだろう(何とまあ大げさな…)。技術点1、体力点4、運点1を加える
 ほどなくスタブが、木の実、草の根、緑の葉、そして丸々としたウサギを一羽抱えて戻ってくる。随分と豪華な食事になりそうだ。舟底で見つけた鍋を使ってうまいシチューを作り始める。ドワーフは器用な種族なのだ。赤速はシチューができるまでの間、闇エルフとの戦いの自慢話を聞かせる。間もなく私たちは栄養満点の食事を楽しみながらお互いの話を聞かせ合う。雪の魔女のおぞましい記憶が消し飛ぶようだ。体力点4を加える(今回だけで、体力点を10も回復しました)
 やがて私たちは、闇エルフの舟に乗り込んで岸を離れる。向こう岸にたどり着くのに長くはかからない。コク川を無事に渡り終えると、再びストーンブリッジを目指して異教平原を南に横切っていく。
 平原を足早に横切って行くが別に邪悪な生き物に出会うこともない。東の方に火吹山の恐ろしげな姿が空高く聳えているのが見える。
「火吹山の山奥は、まだ魔法使いによって治められているのか?」
 スタブが好奇心を起こしてたずねる。
「ああ、確かね……。ん?ちょっと待った。」
 何かが近づいてくる。人影がくっきり見える。何者だ?私は剣を抜き、身構える。人影が更に近づくと、袋を肩にかついだ小柄な老人とわかる。老人は私の前に立ち止まって言う。
「剣はしまいなさい。わしを殺してもなんにもならない。」
 どうやらこの老人に敵意はなさそうだ。私は言われた通り、剣を鞘に収める。老人は話を続ける。
「わしが持っているのは情報だけじゃ。ただではやれんがな。金貨2枚でどうかな。後悔はさせんよ。」
 金貨2枚か…まあいいでしょう。別に、ボッタクリの金額ではないしな。タイタンの世界の原則としては、こういうところで金を惜しむと後で泣きを見る。金貨2枚を老人に払うと、老人は金貨を注意深く秘密のかくしにしまう。その後、老人は話してくれた。
「方角からすると、あんたがたはストーンブリッジに行こうとしているのかね。」
「そうですが…」
「それならば、2つのことに気をつけなされ。第一に、最寄りの池の水には毒が入っておる。第二に、ストーンブリッジの北側に山トロールが大勢集まり始めておる。わしに言えるのはこれだけじゃ。金貨はありがたくいただくことにするよ。」
「ご忠告、ありがとうございます。」
「いいんじゃよ。あんたがたの幸運を祈っていますぞ。」
 老人は別れを告げると歩み去る。
「<批判屋>、赤速、早く出かけよう。」
 スタブが赤速と私をせかす。山トロールがストーンブリッジを襲う可能性を案じているのだ。私と赤速も、言われるがままに平原を再び歩き出す。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 14/19
 運点 … /9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 248
 食料 … 5
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾
 (Save Number:69→348)

← 【第11回】へ | 【第13回】へ →


2014/06/26


直前のページに戻る

『雪の魔女の洞窟』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。