雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第11回】 洞窟からの脱出

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 8/19
 運点 … 7/9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 250
 食料 … 5
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾

〔23〜〕
 雪の魔女は、冷酷な笑みを浮かべて口を開いた。その氷の微笑は、文字通り寒心に堪えない。
「<金属板>という遊びをすることにした。無論、そちが勝つはずがない。だが、もしまかり間違ってそちが勝ったなら脱出の機会を与えてつかわす。金属板は持っておろうな。なければそちの負けじゃ!」
 遊びの決まりをその場でつくるのが楽しいのか、雪の魔女は意地の悪い笑い声をもらす。金属板だと…?ああ、あるとも。四角い金属板ならばな。だが、余計なことは言わず、単に「持っている」とだけ言う。一応不戦敗は免れたようだ。雪の魔女は自分の考えた遊びのきまりを手短に説明する。この遊びはじゃんけんのようなもので、私が□か○か☆の金属板を手に隠してから魔女が3つの図形のうちの一つを言う。□は○に勝ち、○は☆に勝ち、☆は□に勝つ。私が勝てば脱出の機会が与えられる。負ければ死ぬ。双方の選んだ形が同じだったらやり直しである。
 …って、ちょっと待て。私は□しか持っていないぞ。これはどう見ても不利ではないか。…だが、私の持っていない金属板を魔女が知らない限りは、確率論的に見れば互角なのだ。私は覚悟を決めて、唯一持っている四角い金属板を手に隠す。心臓が高鳴る。なるべく○、悪くても□……。魔女はこちらをしばらくじっと見つめた後に言う。
「○じゃ。」
 ヤッタァ!
 私はにやりとして握っていた手を徐(おもむろ)に開き、雪の魔女に見せる。無論□だ。それまで自信満々だった雪の魔女は一瞬にして青ざめる。
「キィィィ〜ッ、そちが勝つことはありえん。今の勝負はなしじゃ。そちがいんちきをしたとしか考えられんわ。」
 何ぃ〜。散々いんちきをしてきたのはお前の方だろうが。水晶からまたもや光のエネルギーがこちら目がけて発さんとしたとき、地底から低い声が鳴り響いてきた。
「雪の魔女よ。わがままが過ぎるぞ…」
 突如、洞窟の床から巨大な手が伸びてきた。その手は雪の魔女の水晶球をつかむ。
「さっきから奈落で見ていたが、黙って見ていれば見苦しい。雪の魔女よ、そんなに水晶がお気に入りならば良い場所に案内しよう。水晶の平原に幽閉してくれるわ。」
 そう言って、手は魔女の水晶をつかんだまま、現われたときと同じくらい唐突に消えた。雪の魔女の悲鳴がどんどん小さくなる。行き先はおそらく“水晶の平原”とやらであろう。…ん?どこかで聞いたことのある名だな。
「<批判屋>よ、その方たちはここから脱出するがよい。」
 再び、先程の低い声が響いてきた。と、そのとき、足下の地面が震え出し、氷の壁に大きな亀裂が走る。轟音が聞こえ、天井が落ちてくる。脱出できる前触れか?ここで運だめしをする。DD=9>7でだ(運点:7→)。ついに初“凶”となってしまった。巨大な氷の塊が頭の上に降って来る。あいた!体力点4を失う。頭がふらふらしてきた…。赤速とスタブはと見ると、どうやら無事のようだ。
「<批判屋>、大丈夫か。」
 私が起き上がるのに手を貸してくれる。カラン、カラン!何かが地面に落ちた。見ると、2人にはめられていた服従の首輪だった。ついに2人は雪の魔女から完全に解放されたのだ。
 頭上には青空が見えており、驚くやらありがたいやらだ。私たち3人は一刻も無駄にせず氷の洞窟を脱出し、山腹に出る。雪さえ降っておらず、すべてが平和に見える。山を降りながら、それぞれの身の上を話し合う。
「それにしても<批判屋>、君はどうしてこの水晶の洞窟に来たんだい。」
「わしも知りたいのう。お前さんは服従の首輪をつけていたわけでもないし、なぜこの洞窟に入れたんじゃ。」
「ああ、それは話せば長いんだけど。もともと私はビッグ・ジム・サンという商人が頭領を務める隊商の護衛だったんだ。氷指山脈の前哨砦を襲った雪男を追って雪山に入った。雪男を追っているうちに、水晶の洞窟の入口を見つけた毛皮猟師に出会ったんだ。気の毒に、その毛皮猟師は雪男に襲われて死んでしまったんだけどね。猟師は死に際に、雪の魔女の洞窟が世界を支配しようとしていると私に告げた。だから、私は水晶の洞窟に入り込み、雪の魔女を倒した。そして、君たちに出会ったというわけだ。」
 あれ?……何か忘れているのではないだろうか?………そうだ、金貨50枚だ!雪男の死んだ証拠を持ってビッグ・ジム・サンのところに戻ろうとしたのだが、寄り道をしてからでも遅くはないと思い、水晶の洞窟に入ったのだ。だが、だいぶ時間が経ってしまった。ここは、前哨砦とは正反対の位置だ。もう間に合わないだろう。長く洞窟にいたせいで昼夜の感覚がなかったが、ビッグ・ジムと別れてから数日は経っている。恐らくビッグ・ジムは私が死んだと思っているのに違いない。まあいいか。金貨50枚は逃したが、邪悪など腐れ女は完全に滅びたし、今の私の手元には金貨が250枚もある。欲はかかない方がよい。
 ということで、スタブと赤速の故郷へ行くことにする。まずは、スタブの故郷であるストーンブリッジへ向かおう。

 前哨砦では、ビッグ・ジム・サンとその配下の者達が律儀に護衛の帰りを待っていた。
「頭領、あの護衛はもう死んじまったに違いありませんぜ。」
「あきらめて帰りましょうよ。命あっての物種じゃありませんか。」
 しかし、ビッグ・ジムは信じていた。<批判屋>という護衛、多少変わっているが、腕は確かだ。必ず帰ってくる。とそのとき、氷指山脈の奥で巨大な地響きがした。何事か?すぐさまビッグ・ジムは偵察隊を氷指山脈に向かわせた。半日後、偵察隊はエルフとドワーフの集団を引き連れて戻ってきた。
「なぜ、エルフとドワーフたちが…。これはどういうことだ?」
 不思議に思ったビッグ・ジムが偵察隊に問い質した。
 偵察隊の報告によると、前哨砦を襲った雪男は、雪山で斃れた猟師のそばで死んでいたという。そして、偵察隊と一緒に帰ってきたエルフとドワーフは雪の魔女の洞窟に入り込んだ一人の英雄の手によって助け出された集団だったのだ。
「やはり<批判屋>は約束を果たしたんじゃな。でも、なぜ当の本人がいないのじゃ?」
 エルフとドワーフによると、エルフのリーダーである赤速とドワーフのリーダーであるスタブとともに、彼らの故郷へ向かったという。
 ビッグ・ジム・サンは決心した。いつか護衛に出会ったら必ずや金貨50枚を支払おう。そう心に固く誓ったのだった。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … /19
 運点 … /9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した、<グル・サン・アビ・ダァル>
 金貨 … 250
 食料 … 5
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント、魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉1つ、金の指輪、銅の指輪、ミノタウロスの角の粉末ニンニク、龍の卵、四角い金属板、盾
 (Save Number:90→104)

← 【第10回】へ | 【第12回】へ →


2014/06/21


直前のページに戻る

『雪の魔女の洞窟』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。