雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第4回】 雪の魔女の信者たち

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 15/19
 運点 … 8/9
 特筆点 … なし
 金貨 … 0
 食料 … 8
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、、マント、魔法の銀の笛、ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>

〔198〜〕
 遠くで何やら唱える声が聞こえる。まもなく地下道は大きな洞窟の入口で行き止まりになる。魔人の格好をした像の前に跪(ひざまず)き、頭巾に覆われた顔を氷の床に押し当てて崇めているのは雪の魔女の家来十人だ。出口は二つある。一つは私の正面、もう一つは右側だ。どうやら右側の方が奥へ通じる道らしい。幸い、エルフがくれたマントがある。ここでおどおどすると、逆に怪しまれる可能性があるから堂々と入っていこう。しかし、顔はつい伏せ気味になってしまうが…。ここで運だめしをする。DD=7≦8で吉と出ました(運点:8→)。像の崇拝者達は、私が侵入者であることを疑いもせず、難なく彼らの祠を通り抜けてもう一つの地下道に入り込む。地下道はじきに丁字路に行き当たる。左の方から助けを求める声がする。何だ?さきほどのエルフみたいに服従の首輪を着けられた者か?ならば放ってはおけない。よし、へ行こう。
 地下道は奈落の縁で行き止まりになる。そこでは、一人のドワーフが奈落から壁を登って出ようとしている。だが、何度試みても滑り落ちるだけだ。奈落の底は上に続く縦穴から降ってきた氷の塊で覆われている。新たに降ってきた氷塊がドワーフに当たり、ドワーフを再び底にたたき落とすと、縦穴の上から歓声が聞こえる。なるほど、ドワーフが奈落から出られないわけだ。ドワーフは私を認めて、叫ぶ。
「他所のお人、助けてくれないなら呪ってやるぞ。首輪もつけていないくせに。」
 その言い方が、かつて私がジパングで勤めていたところの無愛想な上司(とも思いたくない輩)に似ていて、頭に血が昇った。ドワーフは礼儀を重んじる種族と聞いていたのに。そこで、私はドワーフに一喝する。
「それが助けを求める者の態度か!!」
 ドワーフは私の声にびっくりしてまた底へ滑り落ちる。再び氷塊が数個ドワーフに当たる。そして、今度はもう少し丁寧な口調で言う。
「頼む、私を底から引き上げてくださらぬか。お礼はいたします。」
 それならばよろしい。何も見返りを求めるために助けるのではなく、服従の首輪によって苦しめられている善良な者を放ってはおけないからな。よし、ドワーフを助けてやろう
「おい、私の腕につかまれ!」
「ありがたい。恩に着る。」
 私は腹ばいになって奈落の縁から身を乗り出した。ドワーフは奈落を脱出する。途端に、上の方から怒声が挙がった。
「誰だよ、あの糞チビを助けやがったのは。」
「許せねえ。」
「ぶっ殺してやる!」
 ここに長居は無用だ。私とドワーフは走って分かれ道に戻る。右に行けば先程の信者の洞窟へ戻ることになるので、私はまっすぐ進んで雪の魔女を探すことにする。ドワーフは、自由になった今は急いで自分の村に帰らなくてはならないので、右の道を行くことにする。
「助けてくれてありがとう。先程は無礼な物言い、大変失礼した。切羽詰まっていると礼儀を忘れてしまいがちになるが、最低限の礼儀は弁(わきま)えなくてはな。この中に入っているものはきっとお前さんの役に立つだろう。それでは、またいつか会おう。」
 そう言ってドワーフは私に革袋を渡すと走り去る。だが、姿が見えなくなる前にこちらを振り向く。
「一つ言い忘れていた。白ネズミに気をつけろよ!」
 あのドワーフは悪い奴ではなかった。切羽詰ると礼儀を忘れがちになる…一つの教訓だ。ドワーフがくれた革袋を開けると、中には石投げと鉄の玉3つが入っている。それらをしまい込み、地下道を歩き出す。
 氷河の中の道は間もなく山腹に入り込み、壁が氷から剥き出しの岩へと変化する。私は大きな洞窟に入るが、そこには出口が3つある。左に1つ、右に1つ、そして一番大きいのは巨大な髑髏(どくろ)の形に刻まれていて真正面にある。洞窟に入っていくと同時に、髑髏の口から長い衣を纏った醜い男が歩み出る。差し伸べた手にガラスのプリズムを持っている。
「何の用だ。山へ入ることが許されるのは雪の魔女の直接の部下だけだ。直ちに引き返せ。」
 ここまで来て引き返せるかってーの。とはいえ、この男は何か術を使いそうだし、攻撃されたら厄介だな…。そうだ、ここは雪の魔女に演奏を依頼されて来たと言っておこう。幸い魔法の銀の笛を持っている。私は笛を取り出し、男に見せた。男はうなずく。
「よし、ついて来い。」
 左手の出口に歩み寄り、地下道の奥を指差した。
「あの地下道の行き止まりが雪の魔女の部屋だ。」
 ん?……どうも怪しい。この男はどう見ても雪の魔女の部下の中でもかなりの権力者だ。その権力者が出てきたのは真ん中の髑髏の口からで、そして雪の魔女の部屋が真ん中ではなく左の道……。これは罠だ。左の地下道は恐らく罠に違いない。よし、ここは男の忠告に従うふりをして……振り向きざま、剣を抜いて男に襲いかかった。だが、男はそれを見てせせら笑う。男がプリズムをこすると、いきなり男の姿が3つになって見える。忍法分身の術か?だとすると、本物は1体のみで、残る2体は幻影…。左、中、右、右、中、左、…。ええい、ここはだ。これまでの分かれ道の多くは、右側がラッキーな道だった。だから、今度も右だ。
 ザクッ!!私の手に重い衝撃が走る。見ると、幻術士が私の剣で腹を斬られて苦痛の悲鳴を挙げている。幻術士が腹を押さえて床に倒れ込んだ瞬間、2つの影が消える。勝った…。私は倒れた幻術士の身体をまたいで先へ進もうとする……が、同時に幻術士が笑い出して、立ち上がるではないか。見ると、腹の傷はきれいにふさがっている。この男には切腹の沙汰は効かないのか?何とかしたいが、剣でもう一度斬りつけても無駄だろう。何しろ、剣で斬りつけた結果がこれなのだから。そういえば、男が持っているプリズム……何か怪しい。あのプリズムさえ何とかすれば何とかなるかもしれない。私は、やけっぱちになったふりをして幻術士にとびかかる。一瞬のスキをつき、幻術士からプリズムをもぎ取って床に投げつける。プリズムは粉々に砕け散る。
「貴様、何ということを!うわ〜〜っ!」
 男は絶叫しながら髑髏の口に逃げ込む。去る者は追わず、床に砕け散ったプリズムの破片を眺めていると、煙が立ち昇り、その煙は坊主頭の太った男の形になる――魔神だ!宙に浮かんだまま、魔神はこちらにお辞儀をする。
「私は魔神と申す者。この度は、私をプリズムから救っていただき、誠に有り難き候(そうろう)。この先、貴殿の望みし時、一度だけ姿を見えなくする魔法をかけ申す。入用の際は気軽に声をおかけくだされ。では。」
 それだけ言うと、煙が煌き、魔神は姿を消す。後には静寂と床に砕け散ったプリズムだけが残った…。
 この洞窟の出口は3つある。向かって左の地下道、真ん中の髑髏の口の地下道、そして向かって右の地下道の3つだ。迷うことなく髑髏の口の地下道に向かう。なぜなら、幻術士が絶叫して髑髏の口に逃げ込んだからだ。髑髏の口の地下道こそが、真の道に違いない。
 ふと思い出す。「プリズム(PRISM)」と言えば、故国ジパングで初めて買ったアルバムCDの名前だったな…。そんなことを思い出しながら、髑髏の口の地下道に入っていく。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 15/19
 運点 … /9
 特筆点 … 魔神をプリズムから救い出した
 金貨 … 0
 食料 … 8
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、、マント、魔法の銀の笛、ルーン文字の刻まれた棒、<勇気の護符>、石投げと鉄の玉3つ
 (Save Number:72→288)

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2014/03/31


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