雪の魔女の洞窟(プレイ日記)


【第3回】 水晶の洞窟

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 12/12
 体力点 … 16/19
 運点 … 9/9
 特筆点 … なし
 金貨 … 0
 食料 … 8
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、

〔25〜〕
 雪男との死闘で気づかなかったが、先程から降っていた雪は既に止んでいた。空は青く澄んでいる。空気は冷たく乾燥しており、雪を踏むと軋む。毛皮猟師の言っていた目印を探しながらゆっくりと山腹を登っていく。いきなり、はるか上の方で地響きが聞こえる――恐ろしい雪崩の音だ。ここで運だめしを行う。DD=7≦9でだ(運点:9→)。雪の層が滝のごとく山を流れ落ちて行くのが見える。だが、それは今登っているところの隣の尾根だ。ふぅ、危ない危ない…。
 気を取り直して、再び雪山登山を続ける。ついに勾配が急すぎて登れない岩の面に行き当たる。斜面を回り込むように歩いていくと、山の二つの峰の間の峡谷を完全に埋めている巨大な氷の壁が見える――氷河だ。そして、氷の壁にぶら下がっているものは…毛皮の切れ端だ。これこそが猟師の言っていた目印に違いない。私は期待と不安に胸を躍らせながら、氷の壁に向かって進む。もしかしたら壁にぶつかると思って一瞬目を閉じてしまうが、私は氷の壁を突き抜けてしまう。氷の壁はカモフラージュだったのだ。やはりあの猟師の言っていたことは本当だった。
 目くらましをきれいに通り抜け、氷を刳り貫(ぬ)いて造られた長い地下道の中に入り込む。歩いていくと、やがて丁字路に出くわす。右か左か左か右か…ひとまずにしよう。
 右の地下道は小さな洞穴に通じている。洞穴には何もなかった――氷の台座に乗っている真鍮の鉢以外は。鉢の中には黄色い液体と木の玉杓子が入っている。何やらおいしそうだ。御丁寧に氷の台座に乗っている程だから、何か曰くつきのものに違いない。よし、液体を飲んでみよう。まずは一口…これは……う〜うまい。液体は身体を火照らせ、芯から素敵に暖めてくれる。体力に3点加える。後に分かることだが、今しがた飲んだこの液体は雪の魔女が部下に寒さを感じさせないために拵(こしら)えた魔法の薬だったのだ。また、この薬は凍傷にも効果があるらしい(今は凍傷にかかっていないが)。元気を取り戻し、洞窟を出て、今度は丁字路を左に向かうことにする。
 地下道は右の方に曲がる。角を曲がった途端、前方からやって来た色の白い長身の男とぶつかりそうになる。男は白いマントを着て頭巾をかぶっている。雪の魔女の家来の一人である山エルフだ。さあ、どうしようか。ここは嘘も方便の策で、雪の魔女の家来になりに来たと言っておこう。ところが、山エルフは信じられないという顔でこちらを見つめてくるではないか。
「心正しい者が進んで雪の魔女に加担しようなどと思うものか。僕だってこれがなければここにいない!」
 そう言って、頭巾を押し下げて、薄闇の中で仄(ほの)かに光る金属の首輪を見せる。
「この服従の首輪のせいで言うことを聞かされているだけなんだ。」
 山エルフは沈んだ声で訴えかける。どうやら取り越し苦労だったようだ。山エルフは邪悪の手先ではなく、嫌々ながらも雪の魔女に従わざるを得ない状況下に置かれているだけだったのだ。ここは一つ、本当のことを話してみよう。
「実は、雪の魔女を倒しに来たんだ。」
 山エルフはこの言葉を聞いてにやりとする。
「そう来なくっちゃ。あの腐れ女をぶっ殺して僕たちを自由にしてくれ。ほら、僕のマントで変装するといい。この地下道をまっすぐ行くと分かれ道に出る。そうしたら右の道を行くんだ。幸運を祈るよ。」
 私はエルフと握手し、エルフに別れを告げて、再び地下道を歩き出す。それにしても、さっきの服従の首輪とやらが気になる。西遊記に出てくる孫悟空の頭の輪みたいに、雪の魔女が呪文を唱えると首輪が絞まるのだろうか。そんな首輪なんぞ、死んでも嵌めたくないわ。そんなことを考えていると、山エルフの言っていた分かれ道にたどり着いた。忠告通り、右の道へ行くことにする。
 前方左手の壁が一部途切れているのが見える。歩み寄って覗き込むと、そこは洞穴になっていて、中では原始人が一人、後ろで煮立っている大きなシチュー鍋に入れる大鹿の皮を剥いで下拵えの最中だった。突如、怒鳴り声がした。
「こののろま!さっさと鹿の皮を剥いで中身を鍋に入れろ!晩飯が遅くなっちまうだろうが。」
 声の主は、料理番のノーム小人だった。小人は白い前掛けを着けて木の匙を振り回している。奥へ進むならばこの台所に入るしかなさそうだが、今のタイミングで入ると私までノーム小人に怒鳴られそうな気がするなあ。忍び足で台所をすり抜けるという選択肢もなくはないが、却って怪しまれるかもしれない。ここは堂々と台所に入っていくことにしよう。
「出て行け!」
 台所に入るや否や、ノーム小人の怒鳴り声が聞こえた。あちゃ〜っ、やっぱり見つかったか。
「晩飯ができるのは二時間もさきだぞ。鐘で知らせるから。とはいえ、お前、相当くたびれているようだな。この古くなった菓子で良けりゃあやるよ。あとは晩飯まで待ってろ。」
 小人はテーブルの上に転がっている一切れの菓子を指差す。どうやらこの小人、多少気が短いだけでそうそう悪い奴ではなさそうだが、二時間も待ってはいられない。それに、私の顔を見られてしまっては後々厄介なことになりそうだ。ここは心を鬼にして、先制攻撃といこう。私が剣を抜くとノーム小人は原始人に大声で命じる。
「奴を殺せ!」
 頭の鈍い原始人は盲目的にその命令に従う。鼻を鳴らせて立ち上がり、テーブルを押しのける。肉切り包丁と盾代わりの腰掛を取り上げて襲い掛かってくる。
 〔原始人〕  技術点  7   体力点  8
 〔批判屋〕  技術点 12   体力点 19
[戦闘ラウンド(青字DDの値)]
[1R] ×〔原始人〕7+=14 < 18=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔原始人〕体力点−2=6
[2R] ×〔原始人〕7+=16 < 17=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔原始人〕体力点−2=4
[3R] ×〔原始人〕7+=16 < 20=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔原始人〕体力点−2=2
[4R] ×〔原始人〕7+=16 < 19=12+〔批判屋〕○ ⇒ 〔原始人〕体力点−2=0
 きっちりと4Rで勝負が決まった。如何せん技術点に違いがありすぎた。ノーム小人は原始人の二の舞は演じまいとばかりに助けを呼びながら台所を逃げ出す。安心せい、峰打ちじゃい。原始人は気を失っているだけだ。一時間も経てば原始人は意識を取り戻すであろう。折角の機会だ。先へ進む前に、台所の戸棚の中を調べることにする。
 戸棚は釜や椀や匙でいっぱいだ。一つだけ鍵のかかった戸棚があった。迷わず剣で鍵を叩き壊す。中にはノーム小人の私物が入っている――銀の笛が一管、青と黄色の輪が描かれた棒に魔法のルーン文字を刻み込んだものが一本、萎(しお)れた薔薇が一輪、そして〈カエル族の秘儀〉と題された革装丁の古い本が一冊。一つずつ調べてみよう。
 まずは、笛を吹いてみる。特に何もしていないのに陽気な調べがほとばしる。これは魔法の銀の笛だ。ありがたく頂戴しよう。次に、棒に刻まれたルーン文字を読んでみる。ムムム……読めん!それもそのはず、私はルーン文字についてはほとんど知らないのだ。ひとまずルーン文字の刻まれた棒はザックにしまい、後で解読を試みることにする。それから薔薇の匂いを嗅いでみる。萎れているにも関わらず、薔薇は新鮮な良い匂いがする。薔薇の香りを吸い込むと、新たな生命が肺を満たすような心地になる。体力に3点加える(ですが、さきほどの魔法の耐凍薬のおかげで今は原点数です…)。そして最後は読書タイムだ。この本は留金で閉じられている。本を読もうと留金をはじくと、隠されていた小さな針が指を掠(かす)った。かすった部分が何と倍の大きさに腫れ上がっているではないか。この針には毒が塗られていたのだ。不用心な泥棒を仕留めるためというわけか。何という間抜けな自分…。体力点4を失う。薔薇の香りが無駄になった。こんなことなら先に本を開いておけばよかった…。人はこれを手順前後と言う。ええい、こうなったら本の中がどうなっていようと徹底的に調べ上げてやろうじゃないか。毒を食らわば皿までだ。半分やけっぱちになり本を開く。あれえ?本には何も書かれておらず、ページを刳(く)り貫いた穴に金の鎖のついた護符がしまってあるだけだ。その護符は、翡翠(ひすい)で出来たカエルだった。この護符は多分お宝だ。そうでなければ本に毒針なんぞ仕掛けるわけがない。勝手にそう思い込み、護符を首にかけることにする。護符を首にかけると、頭の中に歌が聞こえてきた。歌を聴いているうちに、勇気が湧いてきた。
♪ 黄色は勇気の印 24時間戦えますか 冒険者〜 冒険者〜 ジパ〜〜ング 冒険者〜
 こんなところでリ●インが出てくるとは…。この護符は<勇気の護符>であり、装備すると技術に2点加えることができる(ですが、原点数…)。
 さて、調べるものは全て調べつくした。いつまでもこんなところでぐずぐずしていないで、先を急ごう。台所を出て左に曲がり、地下道を進んでいく。
 ところで、先程の原始人との戦闘を省みると、完勝はしたものの、サイコロの目は全ラウンド原始人の方が批判屋を上回っていた。高い技術点では気づきにくい、意外な盲点だ。この先気をつけなくては……。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは赤い太字
 技術点 … 12/12
 体力点 … 15/19
 運点 … /9
 特筆点 … なし
 金貨 … 0
 食料 … 8
 飲み薬 … ツキ薬(原運点+1の値まで回復)
 所持品 … 剣、戦鎚(ハンマー)、マント魔法の銀の笛ルーン文字の刻まれた棒<勇気の護符>
 (Save Number:327→198)

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2014/03/24


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