フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第101回】ラツィオ再び

 おばあちゃんは、いつもと変わらない口調で言った。
「昨夜、私は長老の遺体を見た。もう、本当に長老はおらんのじゃな。」
 おばあちゃんのその言葉に、あたしの目から一粒の涙が……。昨夜、もう涙は出ないほど泣いたのに、まだ流す涙が残っていたのね。



「はい。絶対に神を倒すという保証はありませんが、私にできる限りのことは何でもします。」
「是非とも、我が良エルフ(良人)の仇を討ってくれ。」
 長年連れ添ってきた愛する人を失う悲しみは、あたしにはわからないでしょう。本当はおばあちゃんの方が泣きたくて仕方がないのに、あたしったら……。
 ここで、おばあちゃんからアレクに、アルベルトに「電話」をかけるように要請があったわ。



 今後、あたし達はラツィオのビアンカ王妃のところへ行くことになるわ。その前に、バイエルン城でアルベルト達と打ち合わせをするそうよ。
 おばあちゃんとの話も終わった。
「エル、末永く幸せになるのじゃぞ。」
 はい、おばあちゃん。



 長老の仇は、あたしが取ったわよ。ううん、まだだわ。あの憎きヘルは実行犯に過ぎないのよ。本当の黒幕を倒すまで、あたしの、いいえ、エルフ族の復讐は続くのよ。
 いつまでも悲しんではいられないわ。
 おじい様の命と引き換えに得たエルブンシールドと風の腕輪をおじい様の形見と思ってこれからも戦うわよ。
 新たな決意を胸に、あたし達はバイエルン城に行くのでした。



 パウラの家に? 何でなんだろう? まあいいわ。



 ここね。お邪魔しまあす。
 アルベルトにパウラ、フォルゲン、ザウアー、それにエリーまでいるわ。どうなっているの? そもそも、エリーはお城から出たらだめでしょうが。
 取り敢えず、アレクはアルベルトに挨拶をしたわ。
「殿下、ただいま戻りました。」
「ご苦労であった。それと、エル殿、今回は誠に辛い思いをしたであろう。心中お察し申し上げる次第である。」
 ありがとう、アルベルト。あなたにそう言ってもらえるだけでも心が救われるわ。



 アルベルトは2通の書状を用意していた。1通はジルベルト前王宛てに、そしてもう1通はビアンカ王妃宛てに。
 そして、驚くことに、アルベルトはパウラと結婚したそうよ。
 まずは、おめでとう、アルベルト、パウラ。末永くお幸せにね。
「ありがとう、エル殿。」
「ありがとう、エル。あたし達は2人で生きていくわ。」
 何だか、ザウアーの機嫌が悪そうね。
「ったく、何でオレがバカップルの家に来なくちゃいけねえんだよ。いくら殿下の命令だからってよ。」
「ザウアー、新婚早々で悪いが、新しい魔法実験をしてみたくなった。実験台になってくれ。」
「あ、いえ、遠慮しておきやす。」
「では、アレク達はラツィオに出立してもらいたい。不届きな輩はこのアルベルト自らの手で成敗しておく故、安心いたせ。」
 みるみるうちにザウアーの顔が青ざめていったわ。大丈夫よ。別に、アルベルトはあなたを本当に実験台にしようなんて思っていないわよ。
 後で聞いたけれど、ザウアーはあの後アルベルトとパウラ夫妻の引っ越しの手伝いをさせられたそうよ。まあ、それで済んだんだから、いいんじゃないの。クスッ。
 さて、あたし達はラツィオに再び向かうことになったわ。
 そう言えば、アルザス鉱山の山道が開通したって聞いたけれど……。



 こんな簡単に進めちゃうの。坑夫さん達、ありがとう。スキールニルがいた痕跡はもうどこにも残っていないわ。



 この山に地の精霊が住んでいるのね。後でまたここに来ることになりそうだわ。
 今は、ジェノヴァへ急ぎましょう。



 ジルベルトにとってもかなり酷な状況になったわね。一旦国王の座を退いた人が再び国王の座に就くということは、どんな理由があるにせよ、後任者に問題があったからということになるわ。エドアルド王は弟を救うために勇敢に戦って死んだことは事実だけれど、それでもエドアルド王に力がなかったから死んだという見方もできちゃうわよね。



 素直に即位おめでとうございますとは言えないわよね。アンジェロ王子が成人して王になったときに初めては即位おめでとうございますと言えるかも。でも、その前にジルベルトが老衰で亡くなっている可能性も否定できないしね。
「ん、使者殿。何か言われたかな?」
 あ、何でもないです。アハハハハ……
 ジルベルト王からは、ビアンカ王妃にも会うように勧められたわ。
 では、ビアンカ王妃のところへ行ってきます。


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2022/08/16


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