フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第94回】国王と公爵の会談

 あたし達は、以前通れなかった北の関所までやって来た。
 別に、ペニン山脈を東西に抜ける山道を通ってもいいと思うんだけれどね。





 本陣のBGMを久しぶりに聞いたわ。ここにアーサーを連れてくればいいのね。
 今はカーディフ城へ急ぎましょう。
 道中はカットするわね。



 キャメロン子爵? こんな白豚みたいな奴を連れて行くの? あ、そんなこと言ったら失礼ね、白豚に。白豚のお肉はおいしくて栄養があるけれど、こいつの肉はまずそうで食べたらお腹をこわしそうだわ。
「お待ちください、閣下。これは恐らく罠ですぞ!」
 ちょっと黙りなさいよ、このブタもどきが。あたし達が罠の親書を持ってきたとでも言うの?
 でも、アーサーの返答は意外なものだった。
「正直、罠なら罠で構わぬ。」
「何と……閣下はお分かりのはず。現在のブリタニア国王ではこの国は治められませんぞ。」
「だから、それを含めて罠でも構わぬと申しておるのだ。陛下の首を取れば、フィンブルの冬が到来するのだ。そうしたら、私とて生きては行けぬ。この戦に勝っても負けても同じなのだ。否、この戦はどちらかの勝利ではなく、双方の敗北で終わるのだ。」
 アーサーの覚悟に、流石のキャメロンも黙ったようだわ。
「キャメロン子爵、そなたも栄光あるブリタニアの貴族なら覚悟いたせい。それに、私はブリタニア国王陛下からの恩義がある。東部の土地をもらって領主になっておるのだ。」
 ということは、ブリタニア国王の「恩義も忘れて」は完全に嘘ね。
「内戦は終わりにせねばならぬ。内戦で苦しんでいるのは民だ。民がおらねば卿も私も生きてはおられぬ。まずそのことを考えなくてはならない。使者殿、しばし待たれい。書状を認める。」
 そして、あたし達はアーサーから書状を受け取った。これをブリタニア国王に届ければいいのね。
 それにしても、あのキャメロン子爵っていう人、本当に感じが悪いわよね。何であんな白豚もどきをアーサー公爵は会談に連れて行こうとするのかしら? 他に従者がいないからかなあ。
 あたし達はブリタニア国王の間に着いた。



 ここで、アレクから提案があった。
「ところで、陛下、その会談ですが、私達も同席することはできますか?」
「残念じゃが、これはブリタニア王国内の問題だ。外国人がこの会談に口を挟むことはまかりならぬ。」



 ブリタニア国王、あんた本当に間抜けね。仕掛けられるものならとっくの昔に仕掛けているわよ。神や魔族は文字通り神出鬼没なの。こっちから仕掛けようがないじゃない。それに、戦うのは親衛隊であんたは実際には戦わないから分からないでしょうけれど、神や魔族に仕掛けるなんてそう簡単にできることじゃないわ。返り討ちに遭うのが関の山よ。こんな質問をしていること自体、ブリタニアの馬鹿さ加減をさらけ出しているのも同然よ。せっかくのシンシアの助け舟も何の役にも立たなかったわ。
 アレクはブリタニア国王に必死に説明するけれど、ブリタニア国王の返答はそっけなかったわ。
「何のためにわしは王なのか? 何のために親衛隊がおるのか? 護衛は無用じゃ。」
「しかし……」
 アレク、もういいわよ。こんな分からず屋、血を抜かれても仕方がないわ。悪いけれど、ブリタニア国王の血は抜かれたと思って次のことを考えなくてはならないようね。
「今日は下がるがよい。宿屋は自由に使ってよいぞ。」
 アレクは社交辞令的にブリタニア国王やその他の王の間にいた人たちに挨拶をしたけれど、あたし達はもうブリタニア国王には見向きもせずに城を去った。
 宿屋にて。
「停戦には持ち込めそうだが、あの国王、死ぬかもな。」
 アレク、仕方がないわよ。あたし達にできることは全部やったんだから。ブリタニア国王が死んだら、それは天命よ。
と、ここでアレクの「携帯電話」が鳴った。
 アルベルトは千里眼で、あたし達のやり取りの一部始終を見ていたらしいわ。と、ここで、アルベルトからアレクに質問があった。



 確かに、キャメロン子爵は最初からあたし達を歓迎していない様子だったし、内戦が治まるのが不都合のような発言が多かったわ。でも、ブリタニア国王ではカーディフを治めることができない点については同感よ。もしかして、ブリタニア国王の愚かさに付け込んでキャメロンが内戦を引き起こすようなことをしているとしたら……。
 アレクはアルベルトに3日後の会談を見届けることを伝えた。レオンとレイリアのときと同じね。でも、前回と違うのは、レオンとレイリアのときは双方の誤解が解けた後の会合だったから割合と順調だったけれど、今回は、ブリタニアとカーディフの調停から始めなければならない点ね。

 そして、3日後、北の関所にて……。



 ブリタニア国王側は王と大臣、カーディフ側は公爵と子爵、そして双方とも親衛隊長が座っていた。
 そろそろ、会談が始まる頃ね。



 自分で問いかけておいて「バカな」はないでしょうが。アーサー公爵には身に覚えのないことなんだから。でも、ブリタニアの国王がカーディフに寄せたということも身に覚えのないことは確かだわ。
「先にエディンバラに寄せたのは卿の親衛隊であろう。証拠をこれへ。」
 そう言って、ブリタニアの親衛隊が出したのは、カーディフの親衛隊が持つ剣だった。
「これは……」
 ブリタニア国王の言っていた「証拠」というのはこれのことだったのね。しかも、捏造されたものでもない。これは正真正銘カーディフ親衛隊の「標準装備」の剣だった。と、ここでアーサーが合点がいったというようにうなずいたわ。
「キャメロン子爵、その方の剣を見せてみろ。」
「ほう、我が剣と似ておりますな。」
「とぼけるな! この形の剣は、親衛隊に必須だからとそなたがカーディフの鍛冶屋に造らせたものであろう。」
「親衛隊の標準装備ですな……」
「なぜこれを国王陛下が持っておられる! 答は一つしかあるまい!」
「我が軍も、戦で多くの兵士が捕虜になりましたからな。そのときの戦利品のつもりでしょう。」
と、ここで、アーサー公爵の疑問が確信に変わった。
「語るに落ちたな、キャメロン子爵!」



 やっぱり首謀者はキャメロンだったのね。最初から嫌な奴だと思っていたけれど、この白豚もどきめ、もう言い逃れはできないわよ。覚悟しなさい。
 しかし、キャメロンの反応は意外なものだった。
「フフ……フフフフ…………」



 続く……。


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2022/08/12


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