フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第93回】アレシアの使者

 あたし達は、宿屋の入口で待っている従者に声をかけた。



 従者があたし達をカーディフ城の港まで案内してくれた。そして乗船することに。



 あたし達は無事にアレシアの大陸に戻って来たわ。従者たちにお礼と別れを告げ、あたし達は宿屋で「アレシアの使者」を待った。
 数日後…。



 宿屋の入口に立っていたのは、ロジーナとニーナだった。ということは……。



 やっぱり、アレシアからの使者というのはニーナのことだったのね。アルベルトが「これでダメならばバイエルンとしてもこれ以上ブリタニアに関与できない」と言っていたことからして、ニーナという切り札を出してきたんだわ。
 そして、あたし達はニーナとロジーナと一緒に、バイエルンの船に乗った。
 ブリタニア王国の港は2回目だけれど、前回と違ってあたし達はブリタニア王国から国外退去処分となった身。ニーナがいなかったらあたし達はすぐに捕まっちゃうわ。



 そして、あたし達は「アレシアの使者ニーナの護衛」としてブリタニア国王と再会することになった。



 ブリタニア国王も、実の妹の言葉とあっては無下に否定できないようね。
 さて、ニーナから改めてフィンブルの冬を説明されたブリタニア王は動揺の色を隠せないようだったわ。
「兄上、単刀直入に申す。兄上の血を魔族らの手に渡らせてはならぬ。そのようなことがあれば、フィンブルの冬はほぼ完成じゃ。」
「フッ、わしはそこまで間抜けではない。」
 いいえ、あんたが一番間抜けよ。なぜあんたが一番最後か、わかる? 魔族の連中も、あんたみたいな間抜けの血はいつでも抜けるから、後回しでもいいと判断したからよ。その言葉は、ニーナが全て代弁してくれた。
「大陸の王たちは皆そう思ったことじゃろう。わらわの良人も含めてな。なぜブリタニアだけ狙われなかったか、不思議に思っていたがのう。」
「無礼な! いくら妹でも、それ以上の愚弄は許さぬぞ!」
 あ〜はいはい。そうですか。妹だから許せないのね。
 じゃあニーナがあんたの姉でも同じ言葉を言えるのかしら? 年功序列のようなことばかりこだわるから、あんたみたいな間抜けを魔族達は放っておいたのよ。いっそのこと、あんたが一番最初に狙われた方が良かったかもしれないわね。そうすれば、他の王国の人達も少しは警戒できたのに。



 ブリタニア国王は玉座から立ち上がり、ニーナに歩み寄った……と、アレクも動いた。アレクはニーナを庇う形でブリタニア王の前に仁王立ちをした。
「おっと、何をなさるおつもりで。たとえブリタニアの国王と雖も、我が使者ニーナに手をあげようものならば、私はニーナの護衛としての役割を果たしますので、そのつもりで。」
「貴様! ニーナを呼び捨てにしおったな!」
「王様もニーナを呼び捨てにしているではありませぬか。それに、私がニーナを呼び捨てにしているのは、彼女の本意でして。そのくらいのこと、見当つけられい。」
 そう言ってアレクはブリタニア王を睨みつけた。ブリタニア王は拳を震わせながら、玉座に戻った。
 6フィートあるアレクが睨むと、どうしても上から目線になるのよね。流石のブリタニア王も、アレクの眼光には勝てなかったみたい。
「王様は、私達と話すことで何か不都合でもおありでしょうか。」
「そのようなもの、ありはせぬ!」
「ならば、お聞きください。」
 そして、アレクはアーサー公爵の言葉を伝えた。

  • アレクは、アーサーがこれ以上内戦を望んでいないことをブリタニア国王に伝えた
  • 国王は、それならばアーサーの首を取って来いとアレクに命じるが、ニーナにそんなことでしかカタをつけられない兄を情けなく思うと窘(たしな)められた
  • アレクは、アーサーも国王に命を狙われたこと、そして使者を送ったと言っていたことを国王に話した
  • ブリタニア王は、使者など来ていないと主張した
  • そこで、アレクはアーサーから預かった書状の写しを国王に提示した



  •  ブリタニア国王の反応が少し変わってきたわ。と、ここで、国王の娘が口を開いた。



     何よ、こいつ。娘の言葉だけはきちんと聞くのね。
     でも、これで分かったわ。ブリタニアの国王は間違いなく本物ということと、まだ望みはあるということが。
    「時に、国王陛下。こちらは証拠を提示しました。以前、陛下の仰った『アーサー公爵が仕掛けた証拠』というのを見せてもらえますかな。」
    「何と、無礼な! わしが嘘をついていると申すか。」
    「無礼とか嘘をついているとかいう問題ではなくて、こちらが証拠を提示したのに、そちらが証拠を提示しないのは、明らかに不公平だと申し上げているのです。それとも、御自分にとって都合の悪いことは全部『無礼』扱いですませようという魂胆ですか?」
    「何を申す! ……分かった。アーサーとの話し合いのときにお見せしよう。」
    「承知しました。では、そのときに必ずお見せ願いましょう。」
    「くどい!」
    「あの…お父様……、あまり怒らないでください。」
    「おお、シンシア、すまんのう。」
     あたし達は、呆れ返るばかりだった。
     取り敢えず、話はまとまったわ。明日、北の関所でブリタニア国王とアーサー公爵が話し合いをする。あたし達はカーディフ城まで行ってアーサー公爵を迎えに行って、北の関所に連れて行く。こんな感じね。
     今日は疲れたので、解散となったわ。

     ニーナはシンシアの部屋に泊まり、あたし達は宿屋に泊まることになったわ。
    「アレク、以前の背中の傷を見せてごらんなさい。」
     以前の背中の傷……ああ、あたしを庇ったときに背中に受けた毒矢の痕ね。



     何で今更アレクの傷痕を見るのかって聞くと、薬師として経過状況を見たいかららしいわ。まあ、それなら分かるわ。リーゼルとクリスとあたしは安心したけれど、ソフィーだけは何だか不安そうな表情をしていた。
     朝になり、エディンバラ城の従者がアレクに親書を届けに来てくれたわ。これをアーサーに渡せばいいのね。


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    2022/08/11


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