フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)
【第78回】レオン国王との謁見
レオン城の入口は草木が生えていた。水源がある城ならではね。
またなの? さっき橋の兵士に見せたでしょうが。アレクはまた黙って親書を差し出した。
「ラツィオ王国の使者殿でしたか。これは失礼いたした。では城内に入られよ。」
本当、失礼ね。
「前までは、異国の者は誰でも歓迎していたのだがな……」
まあ、兵士さんもそれがお仕事だから仕方がないけれどね。朝から晩までずっと立ちっぱなしのお仕事も大変でしょう。
1階は住み込みでお城で仕事をする人たちの住居となっているらしいわ。さて、2階へ行きましょう。
うるさい! だから、あたし達はラツィオ王国の使者だって言っているでしょう!
「これは使者殿でしたか。失礼しました。さあ、通られよ。」
「失礼よ! 国境の橋の兵士と城の入口の兵士とあなたに同じことで3回も呼び止められて、その度にいちいち親書を差し出すのも結構手間なのよ! 国境の橋の兵士は仕方がないとして、どうしてあたし達がラツィオ王国の使者ってことが城の兵士に伝わっていないのよ!」
「ですから、失礼しましたとお詫びをしているのでありまして……」
何度も同じことを聞かれるなんて、本当、役所仕事よね。与えられたことしかしなくて、自分でものを考えなくなるから、本当の意味で頭がバカになっていくのよ。もういいわ。あなた達みたいな指示待ちに何を言っても無駄だから、ここは通してもらうわよ。ジパングの企業でそんなことをしたら、無能物の烙印を押されるんだからね。
他の4人はこういったことに慣れているみたい。アレク、あんたもただイエスマンになるんじゃなくて、自分の意見があったら上にきちんと言うのよ……って、言っているわね。
あたしは少し腹が立ったまま玉座へ向かうことになった。
あら、レオン王国の王妃はアネットそっくりじゃないの。アネットもユーグと結ばれたらああいう感じになるのかなあ。
アレクがラツィオ王国からの親書を国王に差し出した。
「では、拝読しよう。……ふむ、風の噂でエドアルド王が亡くなったと聞いてはおったが、真であったとはな。親書には、卿らの話を聞くように書いておる。して、その話とは……。」
ここで、アレクの「携帯電話」が鳴った。アレクがアルフォンソ国王に代わる。当然のことながら、アルフォンソ王もこんな機械は初めてよ。
「はじめまして」が声のみの対談って、ある意味画期的よね。例によって箇条書きにするわ。
アルベルトはアルフォンソにフィンブルの冬が迫っている(8人の王のうち4人が魔族の犠牲になっている)ことを伝えた
レオン王国は隣国のレイリア王国と戦争中であるが、それを停戦できないかとアルベルトがアルフォンソに提案する
アルフォンソは、向こうから仕掛けてきた戦争だからそれはできないと返答する
アルフォンソの弟フェリペも重傷を負ったし、何よりも戦死したレオンの国民が納得しないというのがレオン王の言い分である
戦争の発端の原因を解明してはどうかとアルベルトがアルフォンソに提案をする
レオン王国のセシリア王妃もレイリア王国の出身であるから、このまま戦争が長引くのは得策ではない
少し前まではレイリアとレオンは仲が良かったはずであるが、戦争が勃発した理由は魔族が唆(そそのか)したからとも考えられる
アルフォンソの弟フェリペによると、この戦争の調査団が戻って来ないという。使者はレイリア王に惨殺されたと聞いた
さっきまで笑顔だったセシリア王妃が厳しい表情でフェリペに言った。王妃が嘘を言っているようには到底思えなかったわ。どうせアレシアのときと同じパターンでしょ。味方どうしの仲を悪くさせて、その隙に乗じて自分の思うままにしようとする卑劣な手法よ。ジパングにもそういった奴がいるわ。
アルフォンソが派遣した調査団は、レオン王国の西方、賢者バジャルドの住処へ向かった
バジャルドは偏屈者で、人が寄り付かない廃墟に身を潜めているから、調査団はその廃墟にいるモンスターにやられたという噂もある
アルフォンソは取り敢えずバジャルドを諦め、レイリア王国に使者を派遣し直したが、その使者は死者となって帰って来た
これがレイリア王国の回答と解釈し、レオン王国は今でもレイリア王国と戦を続けている
戦況は、レオン王国が優勢と見ている
しかし、アルベルトはそれだけではレイリア側が使者を惨殺した証拠にならないと主張する
そこで、アルフォンソはアレク達をレオン王国第2の使者としてレイリア王国に派遣することを提案する
親書の内容は、この戦を仕掛けた真意と、レイリア王国が望めば停戦してもよいとする
アルフォンソとアルベルトの話がまとまったようだわ。何だか、あたし達が使者の代行サービス業をしているみたいだけれど、レイワのジパングにもそういった業種があるからね。家事代行サービスとか、退職代行サービスまであると聞くわよ。昔は人と人との関わりが深かったと言われるけれど、今だって人と人との関わりがあるわよ。昔と関わり方は違うけれどね。
「それから、先程兵士達がそなた達使者に対して無礼があったようだが、隣国レイリアとの交戦中故、ご容赦願いたい。兵士達に代わってお詫び申し上げる次第である。」
そう言って、アルフォンソ国王はこちらに深々と頭を下げた。あ、いや、別にそこまでしなくてもいいんだけれどね。あたしも少し言い過ぎたわ。それまで仲の良かった両国がある日突然裏切るようなことがあれば、疑い深くもなるわよね。それもこれも、みんな魔族とマルクスのせいよ!
今日はレオンの宿屋に泊まり、明日また王に会うことになったわ。
こうして、あたし達はお城を後にした。
今度は港の橋を渡れたわ。レオン城の西側にチラッと見えた廃墟、もしかしてここに賢者バジャルドが住んでいるのかも。ちょっと行ってみましょう。
どうしてよ、アレク? アルフォンソ国王が言っていたじゃないの。ここ以外に廃墟があるっていうの?
「エル、君の言い分は尤もだ。私もここに賢者バジャルドがいると思う。でも、私も作者の都合でそう言わせられているんだ。作者は今の私達をどうしてもこの廃墟に入れないつもりらしい。今はレイリア王国へ急ごう。いずれここに戻ってくることもあるだろうし。」
はあい、わかりました。逆に、次の行先を決められてしまうと迷わなくなるという見方もあるしね。
これで3回目の「待て・・・」ね。
待ってあげてもいいけれど、今、あたしは相当苛立っているんだから、あなたでストレスを発散するわ。それでもいいのね?
あなたの魂が永遠に地獄をさまよう覚悟でかかってきなさい!
← 【第77回】へ
|
【第79回】へ →
2022/07/13
直前のページに戻る
『フィンブルヴェトル物語』のトップに戻る
電源系ゲームプレイ録のトップに戻る
トップに戻る
(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。