フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第76回】ラツィオ国王の死

 SMの女王はアレクの声を聞いても別段驚かなかったようね。むしろ、大胆不敵な笑みさえ浮かべているわ。その笑みは、同性のあたしですら吐き気を催すくらい気持ちの悪い表情だった。



 あたしのスナイパーズストライクは決して遅くはなかった。それは、あたしが言っているんじゃなくて、後でアレク達4人全員があたしに対して言ったことよ。でも、SMの女王の動きはそれ以上に速かった。
「どこを狙っているの。あたしはここから立ち去るから、あとはお願いね。」
 悔しい〜〜! でも、どうすることもできない。



 SMの女王の手下が、あたし達の前に立ちはだかった。
「こいつはヨルムンガンド!」
 アレクが叫んだ。
 ヨルムンガンドって、確か北欧神話で大きな毒蛇っていう意味でしょ? じゃあ、こいつの正体は毒蛇の化身?
 でも、今はこいつの正体どうこうよりもこいつを倒すことが先だわ。



 SMの女王の手下のヨルムンガンドと、そのまた手下のレッサーデーモンだった。
 今回も、アレクは氷天三連突、あたしは国歌、リーゼルは聖なる息吹、クリスはトリプルアタックで行くわよ。



 さっきはあまり目立っていなかったリーゼルがこの戦いで大活躍した。レッサーデーモンを倒し、ヨルムンガンドもリーゼルがとどめを刺したわ。すごおい。リーゼルはプリーステスだから、どちらかというと回復系が得意だと思うんだけれど、聖なる息吹を使うようになってからは戦闘でも活躍しているわ。あたしがアレクの毒矢を回復させられなかったときに、アレクに応急処置を施したのはリーゼルだったわ。すごおい。
 この戦いで、経験値10200と1800マルク、そしてパワーアップを手に入れたわ。
 アレクがレベル27に上がりブレーズギルティを覚え、あたしとリーゼルはレベル28に上がり、クリスはレベル28に上がりパワーボムを覚えたわ。

ぐわあああああああ!!

 あなたの断末魔の悲鳴なんて興味ないわ。早くSMの女王を探さなくちゃ。けれど、残念ながらSMの女王は既にどこかに逃げのびてしまっていた。
 と、ヨルムンガンドの断末魔の叫び声を聞きつけて、何者かが4階まで昇って来た。



「馬鹿者! 誰に向かって言っておるのじゃ。わしに向かって何も言う必要はない、こちらの御方達に対して詫びろと言っておるのじゃ。」
「はっ。貴殿達、誠に申し訳なかった。」
 どうしてこうも下っ端の門番は、表面的にしか判断しないのかしら。そんなことだからいつまで経っても下っ端なのよ。でも、上官の兵士さんが理解ある方でよかった。



 このガリバルディ将軍という人は、まず自分の名前から名乗っている分しっかりしているわ。下っ端の門番みたいに名前がない人は名乗りようもないけれどね。
「お役に立てず、申し訳ございません。」
「いや、卿達に責任はない。貴殿達がいなかったら、陛下と殿下はただ亡くなられただけでなく、魂すら無間地獄に落ちていたことであろう。」
 そういうガリバルディ将軍の拳は震えていたわ。感情を表に出さない分、辛いでしょうね。
「使者殿、私達と一緒にジェノヴァへ来てくださらんか。陛下……いや、前国王様にも事情を話していただきたいのでな。」
「承知いたしました。」

 こうして、あたし達はガリバルディ将軍と一緒にラツィオ城に向かうことになった。
 エドアルド王と弟の遺体は門番達が運んでくれた。



 確かに、親より先に死ぬのは最大の親不孝と言われているわよね。それは、アレシアのニーナ王妃にとっても同じことよ。



 ということで、あたし達はガリバルディ将軍に案内された宿屋に向かったわ。
 一晩寝たら、前王もある程度落ち着くと思うわ。

 翌朝。あたし達はジェノヴァの人達の意見を聞いてみた。



 彼女達が、本心からなのか、社交辞令で言っているのかはわからないけれど、確かに王族の人達にとっては大打撃よね。
 けれど、これも天命よ。だって、国同士の一部の人達の意見が対立しただけで戦争に発展して、それによって家族全員を失った兵士達や国民達はたくさんいるんだから。それも遺体すら見つからなかった人達だっているのよ。厳しいことを言うようだけれど、王族の人達は、自分達が如何に安全なところからでしか物を見ていなかったと言われても仕方がないわよ。エドアルド王だって、自分の力を過信していた可能性もあるわけだし。
 まあ、前王に追い討ちをかけるような発言は控えるけれどね。前王が理不尽なことを言わない限りは。



 宿屋の外には、既にガリバルディ将軍の使いの門番が待っていた。
 あたし達はラツィオ城2階の前王の間に。


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2022/07/08


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