フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)
【第70回】ルーシ帝国への対抗策
目覚めはスッキリしていた。考えてみると、仮にも神を倒したのだから、あたし達の実力は相当なものになっているはずよ。
あら、あなたはラインマイヤー子爵じゃないの。フォルゲン伯爵が呼び寄せたのね。
全員揃ったところで、アルベルトが口を開いた。
「まずは、礼を申し上げる次第である。諸君のお蔭で、首尾よくジャガン要塞を陥落させることができた。」
まずは上出来ね。でも、できればもう少し弱い敵がいいなあ。その方が楽だもん。
「先程、ベルナルト公爵からつなぎがあり、公爵も無事に作戦を終え、首尾よくクラクフ城を攻め落とすことができたようだ。」
ここからは長くなりそうなので、例によって箇条書きにするわね。
ジャガン要塞はクラクフ側に渡す方法もある
しかし、事前の取り決めでは、ジャガン要塞を陥落せしめた暁には、そのままジャガン要塞にバイエルン軍の守備兵を置くことになっている
そのジャガン要塞の指揮は、ラインマイヤー子爵が執ることになる、即ちルーシ帝国最前線はラインマイヤー隊となる
ロールシャッハ城の統治はリヒター将軍(ソフィーがバカと言っていた大臣)に委ねる
ここで、アルベルトが昨日のアレク達の戦いについて報告したわ。アレクが豊穣の神フレイを倒したことも含めて。
まだ確固たる証拠はないが、もし、フレイの言っていることが本当(神がルーシ帝国に与している)ならば、ルーシ帝国との戦いはある程度慎重にならざるを得ない
今後、敵を同じくするラツィオ王国との緊密な連携が必要となる
とは言え、アルザスからラツィオに抜ける山道は地震によって封鎖されてしまった
アルザスには、一刻も早く山道を復旧するようアルベルトから指示を出してある
アルベルト公爵は、その部分も含め、女王陛下に相談したいことがある
知らないわよ! そんなこと。
「……。まあ、女王陛下の名で、ラツィオ王国のエドアルド国王宛てに書状を出したいと思う。妹の安否も気になるのでな。」
ラツィオ王国へ向かう山道が使えない今、海路で行く方法もあるが、海路も危険である
そこで、廃坑になったアルザス鉱山を抜ける手段を採る
アルザス鉱山の中で、地震でもビクともしなかった第1鉱山を使いたい
アルベルトの千里眼によって、地震が発生してから第1鉱山の奥にある死火山と空洞がつながったことがわかった
死火山の噴口の向こう側がラツィオにつながっているので、それを使うのが今のところ考えられる道である
国境の向こう側はラツィオ王国の領土故、復旧作業は慎重にならざるを得ない
ラツィオへの使者は、アルザス地方について詳しいアレクが適任とアルベルトが決断を下した
あたし達の次の目的地はアルザス鉱山になったわ。この任務、いつまで続くのかなあ。でも、あたし目線になってからだいぶ進んでいることは確かね。
明日出立ということで、今日は解散になったわ。
翌日、あたし達はバイエルン城の伯爵の間にいた。
「うむ、アルベルト殿下の話を聞くように。」
って、フォルゲン伯爵がアレクをここに呼んだのでしょうが。
だから影が薄いと言われるのよ。
まあいいわ。
「レイワ」と呼ばれている現代のジパングではかなり懐かしいものでしょうけれど、この物語の時代では最新の発明なのよね。「電話」というのを世界で初めて作ったのはグラハム・ベルで、鐘のことをベルというのもこの人の名前からとったという説もあるわ。でも、この機械は国民に普及しないと意味がないわね。だから、どちらかというと「トランシーバー」に近いのかも。
「それと、鉱山に行く前に、ロールシャッハ城の大臣……リヒター将軍に会って『例の物』を受け取ってもらいたい。鉱山は広いから必ず役に立つであろう。」
あたし達は、これからロールシャッハ城へ寄って『例の物』を大臣から受け取って、それからアルザス鉱山に向かうのね。
そうだ。久しぶりにエリーに会ってみましょう。欲求不満を自分で解消しているのか、心配だわ。
確か、女王陛下にとってビアンカは姉だったわよね。任せて。ちゃんとラツィオ王国までたどり着くから。
さあ、ロールシャッハ城へ行くわよ。
ソフィーの顔色がだんだん悪くなっている気がするけれど、大丈夫よ。
「おお、アレク卿ではないか。久しぶりじゃのぉ。」
ソフィーは過去に自分の言ったことを悔いている、または恥じているのか、大臣に目を合わせようとしなかった。
「これはこれは、ソフィー殿もよくいらした。アレシア国王と女王まで偽者と見破ったそうで、やはりソフィー殿は審美眼が備わっておる。」
「本当ですか?」
「ああ、本当じゃとも。」
「ありがとうございます。」
そういうソフィーの目尻には涙がにじんでいた。大臣に対する気負いはもう感じられなかった。
一通り大臣とソフィーの話が終わったところで、アレクが用向きを話し出した。
「ところで、リヒター将軍、殿下から……」
「ということは、このアイテムを使えないダンジョンというのは、マルクスの真の本拠地みたいな、かなり強力な魔法がかけられている場所ということですか?」
そう質問したのは、なんとソフィーだった。これまでのソフィーだったら、不完全なアイテムとか軽口を叩いていたでしょうね。
「う〜む、わしもそこまで詳しくはないから、何とも言えんのう。そうかもしれない。」
「これは、何回でも使えるアイテムですか?」
「うむ。何回でも使えるアイテムじゃな。」
「だったら、新しい洞窟に入るたびに、入口で使ってみるのも手ね。それで分かるわ。」
「なるほど、ソフィー殿、頭がいい。」
「ありがとうございます。」
ソフィー、あなたは戦闘に参加しないからこそ、裏方で色々努力しているのね。あたし、ソフィーを見直したわ。
「アレク卿よ、道中気をつけて行くのじゃぞ。」
「はっ。」
こうして、あたし達はロールシャッハ城を後にした。
さて、新しいアイテムを紹介するわね。
多分、これはゲームの進行上勝手に使われるパターンね。次は、大臣からもらった『例の物』よ。
この『例の物』は、ドラゴンクエストでいう「リレミト」、ウィザードリィでいう「ロクトフェイト」みたいなものね。洞窟から脱出する際アイテムを失ったりしないから、「リレミト」の方に近いかも。ファミコン版ウィザードリィの「ロクトフェイト」だと、呪われたアイテムも含めてほとんどすべてのアイテムを迷宮内に捨てて城へテレポートするから。でも、死んだキャラクターのアイテムは「ロクトフェイト」でもなくならないらしいわよ。これは管理人も最近知ったことらしいわ。ウィザードリィプレイヤーにとっての生活の知恵みたいなものよね。
話がそれちゃったから、とっととアルザス鉱山へ行きましょう、アレク。
「何、その『とっとと』って。」
とっととはとっととよ。
以前、ここに来ても、アレクが「鉱山に用はない」って言ったものだから入れなかったけれど、今度は入れるわね。
さむ〜〜い! 雪が降っているじゃないの。ジパングではこれから暑くなる季節だっていうのに。
これじゃあ季節感が狂ってしまうわ。風邪を引かないようにしなくちゃ。
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2022/06/24
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