フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第54回】ロジーナとの再会

 あたし達は、見るからにこの洞窟のボスという存在と対峙していた。
「……。」
 この骸骨、何もしゃべらないわ。
「こいつは、レイス?」
 アレクが驚いたような声で言った。





 ニース温泉のボスは、不死(UNDEAD)系ね。そうすると、スリープ系と毒系は効かなそうね。あたしは国歌を、アレクはダブルアタック、リーゼルはセイントをレイスに、そしてクリスはトリプルアタックで行くわよ。
 レイスの攻撃が意外に早く、先制でアイスボールのスキルを使われたわ。狙いはアレクに……届かなかった。そうよ、あたしとアレクは氷の指輪を身につけているもの。アイスボールのスキルが効くわけないわ。アイスボールをどんどん打って来なさい。その間に……。
 よし、クリスの攻撃でグールAを倒したわ。しかし……。



「あああうあうあ……」
 クリス! 彼女の腕がグールの汚い爪で穢されて、麻痺の毒牙にかかったわ。
 クリス、あなたは休んでいなさい。あたしは国歌から癒しの歌スペシャルに切り替えた。



 そう、この癒しの歌スペシャルは、麻痺も治せるのよ。以前のアレクみたいな瀕死の重体だったら無理だけれどね。
「ありがとう、エル。」
「いいえ、どういたしまして。」
 あたしの方を向いたときには笑顔だったクリスが、レイス達の方を向いたときには般若のような形相に変わったのは内緒よ。あたしまで怖かったんだから。
 クリスは、トリプルアタックであっという間にもう一匹のグールも屠った。
 残るはレイスだけれど、レイスのスキルはアイスボールだけではなく、シェイドやエナジードレイン(HPを吸収する)など、多彩な攻撃魔法を仕掛けてきたわ。あたしもシェイドの呪文にやられたけれど、あたしは回復役に徹底したわ。そして……
 ついに、レイスも倒したわ! レイスが斃れた後、この階の入口付近で微かに音がした。もしや……
 あたし達はこの階の階段まで引き返す。
 この階へ続く階段は2つあって、あたし達は右側から来たんだけれど、左側には開かない扉があったわ。その扉がなくなっている。きっと、レイスを倒したことによって、鍵の封印が解けたのね。





 ついに、温泉の最奥部までたどり着いたわ。ロジーナと……、あと、誰なの、この人?
「何じゃ? わらわに何か用か?」
 誰なの、このオバさん。しかも、変な言葉遣い。ジパングに出てくる“大奥”の人みたいな言葉遣いね。でも、ここに禁錮されているということは、この人も重要人物なのでしょうね。
「わらわは“オバ”さんなどという名ではない。わらわは……」
 その言葉が終わる前に、ソフィーがロジーナの胸に飛び込んでいた。
「ロジーナ叔母様!」
「あら、ソフィー。また助けられたわね。そして……ああ、あなた、もう体調は平気なの?」
「ええ、お蔭様で。これもロジーナ殿のお蔭です。」
「“殿”はやめて。ロジーナと呼んで頂戴。」
「では、ロジーナ、貴殿と一緒にいるそちらの女性は……え?」
 どうしたの、アレク?
「アレシア王妃……。」
「如何にも、わらわはアレシア王妃、ニーナじゃ。」
「ロジーナ、これは一体どういうこと……。」
「取り敢えず、ここから出ましょうよ。まあ、洞窟をダラダラと行進することになるけれど……。」
 幸いにも、この洞窟のボスであるレイスは倒しているから、引き返すのはさほど難しくはないわよね。でも、それには及ばないわ。
「奥にあるクリスタルが、ちょっと気になるんだけれど、もしかして、あれで出られたりしない?」
 クリスが提言した。



「そのレイスなら、さっきあたし達が倒したわよ。」



 ちょっと、クリス、まだ心の準備が……キャーーーッ!



 この感覚、宙返りジェットコースターを乗り終えた後の解放感というか、ちょっと怖いけれど気持ちいいというか、何回味わっても慣れないのよね。



 そうね。小屋にはヴァレリーが待っているはずよ。
 そこで、今後のことを話し合いましょう。


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2022/05/05


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