フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第51回】ニース温泉にて

 あたし達は、ルテティアの南東にあるニース温泉に入った。一人の女性がいる。あの人がヴァレリーね。
「おはよう、ヴァレリーさん。」
「あら、あなた達は……。」
「私達は、ロジーナ叔母様を救出に来たのよ。」



「立ち話も何だから、あの小屋で話を聞きたい。どうかな?」
「はい。」
 ヴァレリーは、前回のように泣き崩れることはなく、幾分か冷静さを取り戻していた。

 この小屋は、ロジーナの別荘みたいなものね。ロジーナがニース温泉に行くとき、帰りが遅くなったらここで寝泊まりしているようね。
「ヴァレリーさんと仰いましたな。私はバイエルン王国の騎士隊長を務めるアレクという者です。あなたの知っていることを話してもらいたい。ロジーナ殿の救出にあたって、色々と整理しておきたいことがある。」
 ヴァレリーは頷いた。



「モンスターがいて、中に入れないということね。」
 リーゼルが続けた。
「ええ、そうなのよ。どうしよう……私のせいで……」
 ヴァレリーは「私のせい」が口癖になっているようね。余程ロジーナの逮捕が衝撃的だったみたい。しかし、ここでアレクが思わぬことを口にした。
「ヴァレリーさん、本当にあなたのせいなのか?」
 えっ? どういうこと、アレク?
「仮に、スパイ容疑で逮捕されたのならば、罪状が確定するまで、城の牢獄に身柄を拘束し、尋問を受けるはずだ。しかも、ロジーナ殿が逮捕されたのは、私がアレシアの国王へ親書を持って行ったのと同じ頃。大した証拠もないだろうに、随分急な逮捕だな。禁錮刑にしても、普通はルテティア城の地下牢あたりだろうに、なぜ洞窟に幽閉? 明らかにおかしいではないか。」



 ちょっと、しゃべりすぎよ、アレク。アルベルト達との会話の内容をヴァレリーに洩らしたらまずいでしょ。あたしは、思わずアレクの袖を引っ張った。アレクはそれを見て「大丈夫だ」という意味合いで軽く頷いた。
「まあ、これは推測だけれどね。そう言えば、ロジーナ殿が本陣について行くとき、彼女はあなたに何と仰っていた?」
「確か……」



 そう言えば、第42回で、ソフィーがロジーナにお願いをしたとき、誰も「バイエルン軍の本陣」とは言っていなかったわね。ヴァレリー、あなた、本当に「ロジーナがバイエルン軍の本陣に行った」って、門番に言ったの?
「そう言えば……ロジーナ様を逮捕した城の兵士に、私がロジーナ様の逮捕の理由を聞いたら『従者のそなたが、ロジーナ殿が急用ができたから先に帰って来たと言ったではないか。恐らく、バイエルン軍の本陣に行ったに違いない。』と兵士が言って、あとは問答無用で……」
「ということは、あなたからロジーナ殿がバイエルン軍の本陣に行ったとは一言も言っていないわけだね。」
 そう、つまりは何者かがロジーナを逮捕する機会を窺っていて、これ見よがしに口実をでっち上げてロジーナの逮捕に踏み切ったわけね。確固たる証拠もないのに。
「実は、ロジーナ殿が仰っていた『ケガをした彼女達の仲間』とは私のことなんだ。刺客の毒矢を受けてな。」
「え……?」
「結果的に、ロジーナ殿は、アレシア王国の『敵兵』である私を治療したことになる。これは利敵行為であり、スパイ罪よりもはるかに罪が重くなる。かの有名なナイチンゲールも利敵行為と言われたくらいだからな。それをアレシア軍の兵士がロジーナ殿の罪状をスパイ罪と言い張っているということは、何者かが最初からロジーナ殿をニース温泉に幽閉する目的で逮捕したに違いない。」
「そう……なの……?」
「全てはロジーナ殿に会ってみればわかることだ。ところで、これは質問だけれど、ロジーナ殿は王妃に接近できる身分とか。」
「ええ。王妃の病気を治療した方だから、王妃に気に入られていると聞いたわよ。」
「なるほど。王妃にとっても命の恩人ということか。そうすると、ロジーナ殿幽閉の一件が王妃の耳に入っていないのか、それとも、それとこれとは別ということで王妃も黙認しているのか……」



 まあまあ、二人とも落ち着いて。ソフィーもヴァレリーも、いや、ここにいるみんながロジーナを助け出すという気持ちは一緒なのは分かっているから。
「そういう意味でも、ロジーナ殿の話を聞きたい。ロジーナ殿を助け出した後は、バイエルン軍の本陣に来てもらうことになるだろう。」
「まあ、ロジーナ様の安全を考えるならば、それは仕方がないわ。恐らく、ロジーナ様ももうルテティアの家には戻って来られないことは覚悟なさっているはずよ。」
「取り敢えず、私達は洞窟に向かうことにしよう。ヴァレリーさん、あなたはこの小屋から出ない方がいい。ルテティアのロジーナ殿の家よりもこっちの方がはるかに安全だからな。」
「ええ。よろしくお願いします。お気をつけて。」

 こうして、あたし達はニース温泉の奥へ進むことになったわ。アレシアの国王って奴は、最低ね。自分の最も愛する女性である王妃の命の恩人にスパイ容疑をかけるなんて。王族にも顔が利くロジーナの救出は、ルテティアの国民全ての願いよ。
 さて、久しぶりにステータスを確認しましょう。
 ソフィーがステータス画面に登場したのは、第40回だけかも。まあ、今後も載る機会はあると思うから、そのときまで待っていてね。

 (↓現在のステータスです。画像をクリックすると詳細を見ることができます。↓)

 (↑尚、ソフィーはステータス画面には登場しません。↑)

 さあ、温泉の奥へ行くわよ。本当はアレクと2人きりでゆっくりと温泉につかりたいけれど、それは事件が全て解決してからのお楽しみということでね。



 イザール温泉といい、ニース温泉といい、体力を回復できるからモンスターにとっても居心地がいい場所なのね。
 取り敢えず、先に進みましょう。
 


 あら、あんなところに扉が。どうせすぐには開かないんでしょうけれどね。



 ほらね。鍵穴すらないから、アレクの特技も使えないわよ。仕方がないから先へ進みましょう。



 この奥に何かあるのね。



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2022/05/02


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