フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第48回】侯爵の討伐

 あたし達は、乙女の敵とも呼べるような人相のゲクラン侯爵と対峙していた。
「チィッ。もうこんなところまで来たのか?」
 そうよ。あなたの部下達って、ブラインドしかスキルを使ってこなかったから、すっかりこちらの勝ちパターンができちゃったのよね。



 ついに要塞の大将自らのお出ましね。と、そこに戦いで傷ついた兵士がゲクランを護衛しようと階段を登ってきたわ。
「ハァ、ハァ、……ゲクラン侯爵をお守りしろ!」
 まだそんな元気はあったのね。
 ここにザウアーが現れた。
「そんな息が上がっている状態で、俺達とまともに戦えるのか?」
「うるせえ、戦えるとも! ハァ、ハァ、……」
「やれやれ。アレク、ザコどもは俺達に任せろ。侯爵の首はおまえさんにくれてやる。」
「承知しました。」
「ほう、貴様が相手か。病み上がりの死に損ないの癖に、我が剣を受けて生きて帰れると思うな。」
 それはこっちのセリフよ。ゲクラン、あんたの穢れた首をバイエルン王国の獄門台に晒してやるんだから、覚悟しなさい。



 アレクは、覚えたての「スパークライトニング」を使う気ね。MPを30消費するけれど、この将軍に勝ったら休めると思うから、今はどんどん使っていくといいわね。あたしは「国歌」を唱えるわ。リーゼルとクリスは「サイレンス」を唱えることにしたらしいわよ。雑魚達だけなら「ブラインド」は鬱陶しいだけで済むんだけれど、ゲクランがどんな攻撃を仕掛けてくるか分からないから、そのときに「ブラインド」がかかると厄介なことになるかも。



 速い……。ゲクランが先制攻撃を仕掛けてきた。あたしより速い攻撃を仕掛けてくるなんて、やはり油断ならない敵ね。流石は侯爵を名乗るだけのことはある……って、感心している場合じゃないわ。
 リーゼルとクリスの「サイレンス」は、ゲクランを除く3人には効いたわ。これでひとまずは安心ね。



 アレクの「スパークライトニング」は絶大な威力だったわ。
 ゲクランが放ったバーストで、アレクが431のダメージを受けたときは一瞬焦ったけれど、その後にあたしが癒しの歌スペシャルですぐにアレクの傷を回復させたから、逆にゲクランが焦ったようね。





 ゲクランですら既に戦意を喪失している。況(いわん)や、雑魚をや。
「おい、投降するなら今のうちだぜ。それとも、俺達にまだ抵抗するか?」
「くそっ……」
 ザウアー達の本業は飽くまでも盗みであって、人殺しではないようね。アレシア兵達は全員ザウアー達に投降したわ。
「さて、アレク、殿下に報告しに……」
「それには及ばぬ、ザウアー将軍。」
 と、そこにはアルベルト公爵が立っていた。
「殿下。いつの間にここに来たんですかい? 普通、殿下は最後列で控えているものなんですがね、殿下自らが戦線の最前列に立つとは。」
「うむ。そうかもしれん。だが、それは私の性分に合わぬものでな。」
「それが殿下のいいところってとこですな。面積の大きい某国の大統領とやらに、殿下の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいところですぜ。」
「まあ、戦争を仕掛けた張本人が戦地の現場を全く理解していないというのは致命的だからな。さて、アレク、ご苦労であった。嘸(さぞ)疲れたであろう。残党の掃除はフォルゲン伯爵に任せて、我々は本陣に戻ろうか。」
 実際、アレクはスパークライトニングの連発で肩で息をしているようだった。あたしですら分かるんだから、アレクが疲れているのは火を見るよりも明らかよ。
「ありがたきお言葉を頂戴仕ります。お言葉に甘えて、そうさせていただきます。ところで、ゲクランはまだ息があるようですが、いかがいたしましょうか。獄門に処しますか。」
「いや、捕虜になってもらおう。これほどの男、何かの使い道があるだろうからな。」
 次の瞬間、ゲクランは舌を噛み切った……かに見えたけれど、ザウアーの方が早かったわ。
「おっと、ゲクラン。勝手に死ぬんじゃねえ。おめえには色々と聞きたいことがあるからな。」
 そう言って、ザウアーはゲクランに猿轡をはめた。
「さあ、本陣に戻ろうか。」
 こうして、あたし達は本陣の寝室に戻ってきた。ここへ戻ってくる度に、普通に寝られることが如何に幸せなことかが分かるのよね。



 そりゃそうよ。アレクったら、あんな凄い魔法を連続で使うんだから。自ら死に急ぐようなものよ。
「じゃあ、お休み。」
 そう言って、あたし達は床についた……。

 明け方……。



「痛ッ!!」
 あたしは、誰かにつねられて目を覚ました。誰なの? あたしをつねったのは。
 見上げると、怒った顔つきのリーゼル、クリス、ソフィーがあたしを睨みつけていた。
「痛ッ、じゃないでしょ。エル、あんた、今どこにいるの?」



 と、この騒ぎにアレクも起き出したわ。
「朝から騒々しいけれど、何の騒ぎ……って、エル、何で私のベッドにいるの?」
 そんなのいつものことじゃない。
「開き直るんじゃな〜〜〜〜い!!」
 リーゼル・クリス・ソフィーが異口同音に叫んだ。
 そして、この騒動の一部始終を見ていた修道院の女性からも……。



 って、それはアレクのせいじゃないわよ。
「だからぁ、あんたの言い分は『逆ギレ』なんだってば!」
 ともかく、アルベルト公爵のところへ行くわよ、アレク。



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2022/04/10


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